テスラは2022年12月、販売台数が同年11月までに伸びず、値下げして販売増に誘導した(テスラ負担で1月からの政府補助金の前倒し)。その後、売れなくなると値下げを繰り返し、販売台数を回復させていたがそれもマンネリ化、ユーザーは値引きに反応しなくなったのが、2024年の第1四半期の販売台数減と営業利益率減ではないだろうか。24年第1四半期には営業利益率が5.5%まで下落、今年4月からは4月のモデルチェンジ車も含め全世界で値引き販売や販売価格を下げ販売している。
一方で、中国のEV価格競争は熾烈さ増している。
シンガポールの聨合速報の記事では、
「世界最大のEV市場である中国でまた激しい価格競争が起きていると言及。米テスラが4月21日に「モデル3」などEV全4車種を1.4万元(約30万円)規模の値下げを発表したことを挙げ、「同社は理由を明らかにしていないが販売台数の減少と見られている。中国市場でのシェアは23年第1四半期の10.5%から同第4四半期には6.7%減少している」と説明した。
また、テスラに続き中国本土メーカーの「理想汽車」も全車種で最大3万元(約64万円)の値下げを発表、「この大手2社の相次ぐ値下げ発表は新たな価格競争が始まったというメッセージを市場に向けて発している」と言及している。
このほかにも、「吉利汽車」や「小鵬汽車」といったメーカーも値下げや割引を打ち出したことを伝えた。
中国での価格競争を主導しているのはBYD、EVの「シーガル」・「ドルフィン」・PHVの「秦」の3車種が10万元以下からの販売価格となっている。
その上で、昨年も価格競争で多くのメーカーが淘汰されたが、今年はさらに猛威を振るっているようだとし、中国の報道を基に今年4月以降、累計で40近くのブランドの計128車種について割引や値下げが発表されたと紹介している。
この値下げ合戦の背景として、小米(シャオミ)の「SU7」の存在があるとの見方が出ていると伝えた。
「SU7」の予約は受付開始から24時間で9万台近くに迫るなど市場の予想を上回る勢いを見せているが、専門家は「各メーカーが同時期に値下げしたのは、『SU7』の無条件で予約保証金(5千元)を返金する7日間』の前に消費者の心をつかみたかったため。なぜなら7日を過ぎるとシャオミへの注文は確定するからだ」との見方を示した。
一方で、米ブルームバーグは中国の自動車メーカーが昨年、販売目標を達成できなかったことが背景にあると指摘。2023年の年間販売目標を達成しているのは全体の3分の1にすぎないという。また、中国自動車工業協会の陳士華(チェン・シーホア)副秘書長は「価格競争は市場の供給過剰、需要の鈍化にも大きく関係している」との見方を示した。
価格競争はすでに1年半近くに及んでおり、しかも今のところ収まる気配が見えない。ただ注目されているのは、値下げで本当に販売台数が上昇するのかということだ」と言及。
コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーの報告書を基に、
「価格競争が前向きな要素となる消費者の割合は19%、
6割以上の消費者は価格競争に関心を持たず、
17%は購入を控える」要素になっていると伝えた。
また、乗用車市場情報聯席会(乗聯会)の崔東樹秘書長は「価格競争が短期的な販売促進に作用するかは実際には明らかではなく、特に価格が不安定な情況の下では消費者の様子見の感情が特に強くなる」とし、「値下げした車種自体は販売が増えることもあるかもしれないが、そうなると関連車種も値下げしないと売れない事態になる」と述べた。
以上、レコードチャイナ等参照
スクロール→
テスラ
|
販売台数
|
前期比
|
売上高
|
前期比
|
営利益率
|
|
千台
|
%
|
百万ドル
|
%
|
%
|
22/3Q
|
343
|
42.4
|
21,454
|
|
17.2
|
22/4Q
|
405
|
31.3
|
24,318
|
|
16.0
|
23/1Q
|
422
|
36.4
|
23,329
|
|
11.4
|
23/2Q
|
466
|
83.0
|
24,927
|
|
9.6
|
23/3Q
|
435
|
26.6
|
23,350
|
8.8
|
7.6
|
23/4Q
|
484
|
19.5
|
25,167
|
3.5
|
8.2
|
24/1Q
|
386
|
-8.5
|
21,310
|
-8.7
|
5.5
|