アイコン 造船業に国家支援の追い風 長崎、再生の船出なるか

Posted:[ 2025年5月23日 ]

長崎は、かつて日本の近代造船の礎を築いた地である。幕末の出島を経て、明治期には三菱長崎造船所が誕生し、戦後は世界最大級のタンカーを建造するなど、"造船のまち"として栄華を誇った。しかし近年は、中国や韓国の低価格攻勢に押され、国内シェアは大きく落ち込み、地場経済も影響を受けている。熟練工の高齢化、若手の流出、空洞化したドック。もはやかつての面影は薄れつつあった。

そうした中、政府が打ち出した造船業再生の方針は、長崎にとって新たなチャンスとなるかもしれない。経済安全保障の観点から、国主導で休眠中のドックを再整備し、次世代船の建造を後押しするという。とりわけ、ブルーアンモニアを燃料とするGX船や、極地対応の砕氷船の開発支援が盛り込まれており、これらは高度な技術力を要する分野だ。長崎はその蓄積がある数少ない地域の一つである。



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そうした中、政府が打ち出した造船業再生の方針は、長崎にとって新たなチャンスとなるかもしれない。経済安全保障の観点から、国主導で休眠中のドックを再整備し、次世代船の建造を後押しするという。とりわけ、ブルーアンモニアを燃料とするGX船や、極地対応の砕氷船の開発支援が盛り込まれており、これらは高度な技術力を要する分野だ。長崎はその蓄積がある数少ない地域の一つである。

この長崎には、長年にわたり大型船の建造を支えてきた熟練の下請け企業が数多く存在する。鋼材の切断・溶接から配管・塗装に至るまで、それぞれの分野において高い技術力を持つ職人たちが地場産業の土台を築いてきた。しかし、そうした企業の多くが今、深刻な後継者難に直面している。若い世代が造船業に魅力を感じにくくなっている現実があり、技能の継承が危ぶまれている。国の支援が単なる設備投資にとどまらず、人材育成や技能伝承にまで及ばなければ、せっかくの技術資源が失われかねない。再生には、"人"への支援も不可欠だ。

さらに日米の連携強化という視点も見逃せない。「日米造船再生ファンド」構想では、日本の技術と設計力、米国の需要と市場を融合させた取り組みが検討されており、そこに長崎の人材と設備が活かされる余地は大きい。とりわけ、自動車運搬船や修繕ドックの共同整備などは、老朽化した国内インフラの再活用という点でも理にかなっている。

海に開かれたまち・長崎が、再び世界の海へと船を送り出す日。決して過去の栄光にすがるのではなく、気候変動や安全保障といった現代の要請に応える形で、持続可能な造船業を築くこと。それが長崎に求められている新たな「船出」だろう。地元も静かに、しかし確かな期待をもって、その行方を見守っている。

造船

 


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