アイコン 【2025年運送業界】倒産件数は一服も危機続く

Posted:[ 2026年1月 2日 ]

――人手不足とコスト高で「あきらめ廃業」が深刻化

2025年(令和7年)の運送業界は、表面上の倒産件数こそ落ち着きを見せたものの、内実では厳しい経営環境が続いた一年となった。人手不足や燃料費高騰を背景に、倒産に至らないまま事業継続を断念する「あきらめ廃業」や、人手不足倒産が深刻化している。

運送業倒産

倒産件数は減少も不安定さ残る

調査会社らによると、2025年度上半期(4~9月)の道路貨物運送業の倒産件数は163件となり、前年同期比で約15%減少した。5年ぶりに前年を下回ったものの、これはコロナ関連融資の返済猶予や、運賃値上げが一部で進んだことによる「延命効果」とみられる。

一方、月別に見ると動きは不安定だ。2025年8月には運輸業の倒産件数が前年同月比36%増の34件に急増し、負債総額も大きく膨らんだ。資金繰りが限界に達した企業が、特定の時期に一気に表面化する状況が続いている。



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「人手不足倒産」が過去最多水準

全業種の中でも、運送業における「人手不足」を要因とする倒産は高水準で推移した。ドライバーが確保できず、黒字であっても車を走らせられないため、事業継続を断念するケースが目立つ。2024年に完全適用された時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)の影響が、時間差で中小事業者を直撃し始めた格好だ。

 

地方中小の破綻が目立つ

2025年は大型倒産こそ減少したが、地方の中堅・中小事業者の破綻が相次いだ。

10月には、群馬県の一般貨物自動車運送業 有限会社T-LINE と関連企業が事業を停止し、破産を申請した。負債総額は約11億3400万円に上り、2025年の運送業界では比較的規模の大きな案件となった。燃料費や人件費の上昇に加え、資金繰り悪化が経営を圧迫した。

1月には岐阜県の 東海物流株式会社 が自己破産を申請。物流コストの上昇や競争激化の中で、事業継続が困難になったとみられる。

また、倒産には至らなかったものの、福島県の グリーン・カーゴ や、宮城県の 東北貨物運送 などが、過労運転防止義務違反などを理由に車両停止や事業停止を含む行政処分を受けた。コンプライアンス違反への取り締まり強化が、信用不安や経営悪化につながる「コンプラ倒産」のリスクも高まっている。

 

三つの壁が経営を圧迫

業界が直面する課題は大きく三つある。第一に、2024年問題によるドライバー不足だ。残業規制による収入減を背景に離職が進み、新規採用も難航している。第二に、燃料価格の高止まりや車両価格の上昇、人件費増加といったコストプッシュである。第三に、荷主との価格交渉の限界だ。運賃値上げは大手を中心に進みつつあるものの、下請けや孫請けまで十分に行き渡っていない。

 

2026年へ向けた試練

2026年1月には改正下請法などの施行が予定され、適正な価格転嫁を後押しする制度整備が進む見通しだ。ただし、体力の乏しい中小運送会社にとっては、そこまで持ちこたえられるかが最大の課題となる。

今後は、倒産という形を取らずに廃業を選択する動きや、大手グループへのM&Aがさらに増える可能性が高い。2025年は、運送業界にとって「件数では見えにくい危機が進行した年」として記憶されそうだ。

 

 


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