アイコン 能登半島地震の災害公営住宅、1戸4100万円の衝撃 復興住宅費高騰と将来の空き室リスク

Posted:[ 2026年6月29日 ]

能登半島地震の復興住宅をめぐり、1戸あたりの整備費が約4100万円にのぼるという。熊本地震時の約2500万円、東日本大震災時の宮城県で約2400万円という数字と比べると、かなり重い水準である。

ただし、ここで単純に「高すぎる」と言ってしまうのは少し違うと思う。災害公営住宅は、自力で住宅を再建することが難しい被災者にとって、生活再建の最後の受け皿になる。高齢者世帯や所得の低い世帯にとっては、仮設住宅の先にある現実的な住まいでもある。必要性そのものは否定できない。

問題は、能登の復興住宅が非常に難しい条件の中で整備されていることだ。建築資材は上がり、人件費も上がっている。さらに能登は半島部で、資材の運搬、人員の確保、工事車両の移動だけでも負担が大きい。道路や水道の復旧、公費解体、民間住宅の再建も同時に進むため、限られた建設業者に需要が集中する。工事費が上がるのは、ある意味で構造的な問題である。

国が整備費の75%を補助するとはいえ、残り25%は自治体側の負担になる。1戸4100万円なら、単純計算で自治体負担は1戸あたり1000万円程度になる。能登では約3100戸の整備が予定されており、全体で見れば自治体財政への影響は小さくない。被災地の自治体ほど税収基盤が強いわけではなく、人口減少も進んでいる。ここが一番難しい。

 



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さらに怖いのは、完成した後である。今は住宅が足りない。しかし10年後、20年後も同じだけの需要があるとは限らない。高齢の入居者が退去し、地域の人口が減れば、空き室が出る可能性がある。家賃収入が減っても、建物の維持管理費や修繕費は残る。復興のために建てた住宅が、将来は自治体の固定費になるかもしれない。

だから、今回の復興住宅は「早く建てる」だけでは足りないと思う。将来、福祉住宅、高齢者向け住宅、移住者向け住宅、地域の交流拠点などへ転用しやすい設計にしておく必要がある。住戸の間取り、立地、共用部の使い方、地域交通との接続まで含めて、最初から次の使い道を考えておくべきだろう。

一方で、輪島市町野町では、住民自らが地元の木を使って住宅を建てようとする動きもある。行政の復興住宅だけでなく、地域の人材や山林を生かして住まいを取り戻そうとする試みである。もちろん、こうした取り組みだけで全ての被災者を支えられるわけではない。それでも、地域に残る力をどう復興に組み込むかという点では、大きな意味がある。

能登の復興住宅費の高騰は、これからの災害復興が「建てれば終わり」では済まない時代に入ったことを示している。物価高、人手不足、地方の人口減少が同時に進む中で、被災者の住まいをどう確保するのか。そして、復興後にその住宅をどう地域の資産として使い続けるのか。能登の課題は、今後の日本の被災地すべてに重なる問題である。

 

 


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