
さらに見過ごせないのは、長崎県海砂採取事務取扱要領の問題である。
この要領が、特定の事業者を保護する仕組みになっているのではないか。
事実上、限られた業者だけが採取に関与できる構造になっているのではないか。
その実態は、自由競争ではなく、行政のお墨付きによる閉鎖的な業界秩序ではないのか。
≪申入書≫では、当局担当者がその仕組みについて「実態はカルテル」と自認するかのような発言をしているとも指摘されている。
これが事実なら、耳を疑うどころではない。
行政が制度を管理しているのか。
それとも、業者のために制度が管理されているのか。
主客が完全に逆転している。
本来、行政は海を守る側でなければならない。
公共財を守る側でなければならない。
違法採取や区域外採取が疑われるなら、業者の言い分を聞く前に、まず現場を止め、調査し、事実を明らかにする責任がある。

ところが、これまで長崎県は何をしてきたのか。
平成14年度には、長崎県と佐賀県で境界線協議中であったにもかかわらず、年度をまたぐ形で約20万㎥の海砂採取許可が出されたとされる。
平成15年には、長崎県の採取業者に対し、区域外採取による違法操業が指摘され、改善命令も出されたという。
つまり、これは突然出てきた話ではない。
昔から火種はあった。昔から指摘はあった。昔から危険信号は出ていた。
それでも、今なお同じような疑惑が出ているのであれば、もはや「業者が勝手にやった」では済まない。
監督庁としての長崎県の怠慢。
あるいは、もっと踏み込めば、未必の故意による黙認が疑われても仕方がない。
特に問題なのは、採取許可区域が境界線隣接エリアに集中しているという点である。
なぜ、わざわざ県境ギリギリなのか。
なぜ、紛争が起きやすい場所に許可区域を置くのか。
なぜ、境界線から十分な距離を取らないのか。
本当に越境採取を防ぐ意思があるのなら、境界線から500メートル、いや1キロ以上離すのは当然の措置である。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次