アイコン アパレル不況が再燃 衣料品小売14.8%減、それでもユニクロは好調 広がる『売れる店・売れない店』の格差

Posted:[ 2026年8月18日 ]

アパレル業界で「売れる店」と「売れない店」の格差が鮮明になっている。

経済産業省が公表した2026年6月の商業動態統計によると、小売業全体の販売額は13兆190億円で前年同月比0.5%増となった。ところが、業種別の「織物・衣服・身の回り品小売業」は前年同月比14.8%減と大幅に落ち込んだ。小売市場全体が前年を上回るなか、衣料品関連の弱さが際立つ結果となった。

6月は前年より休日が少なかったことや天候不順も影響しており、14.8%減という単月の数字だけでアパレル市場全体の長期低迷を断定することはできない。それでも、衣料品販売を取り巻く環境が厳しいことを示す数字の一つといえる。

 



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「服が売れない」だけでは説明できない

ただ、消費者が一斉に服を買わなくなったわけではない。

代表例がユニクロだ。ファーストリテイリングの国内ユニクロ事業は、2026年8月期第3四半期の3カ月間で売上収益2859億円と前年同期比10.0%増、既存店売上高も9.9%増となった。

トレンドを取り入れたボトムスに加え、UVカットパーカやイージーパンツなど、気温の変化に対応した機能性商品の販売が好調だった。国内ユニクロの9カ月累計売上収益も8676億円と8.3%増えている。

さらに最新の7月も、国内ユニクロの既存店とECを合わせた売上高は前年同月比4.3%増。客数は0.2%減だったものの、客単価が4.5%上昇した。新商品に加え、気温上昇によって夏物商品が伸びたとしている。

つまり、衣料品市場が14.8%減った一方で、ユニクロでは増収が続いている。

現在のアパレル不況は「服が売れない」というより、売れる企業と売れない企業への選別が進んでいるとみた方が実態に近そうだ。

小規模な婦人服店では倒産増加

厳しさが目立つのが、中小・零細規模のアパレル販売業者だ。

東京商工リサーチによると、2025年1~11月の婦人服卸・小売業の倒産は128件となり、前年同期比18.5%増加。11カ月の段階で2024年通年の115件をすでに上回った。

さらに倒産企業の内訳を見ると、従業員5人未満が95件で全体の74.2%を占め、資本金1000万円未満も63.2%に達する。破産による退出は114件、89.0%を占めた。

インバウンド需要などの恩恵を受ける大手や有力ブランドが存在する一方、地域の婦人服店など小規模事業者にはその需要が十分届いていない構図が浮かぶ。

円安がアパレル企業の利益を削る

販売不振だけではない。

アパレル業界は、原材料から縫製、完成品まで海外との取引が多く、円安の影響を受けやすい。

帝国データバンクによると、2025年度の「円安倒産」は2026年2月までに69件発生。このうち繊維・アパレル関連は25件に達し、円安倒産の中でも特に目立つ業種となった。

衣料製品や繊維原料の輸入価格が上昇しても、中小企業がその全額を販売価格へ転嫁するのは難しい。値上げすれば客離れを招く可能性がある一方、価格を据え置けば利益率が低下する。

アパレル企業は「売れない」「仕入れが高い」「値上げしにくい」という三重苦に直面している。

7月には婦人服企業が60億円の負債で破産

2026年に入ってもアパレル企業の大型破綻は続いている。

7月には婦人服・子供服の企画販売を手掛けていたカフカが破産し、東京商工リサーチによる負債額は60億円。7月に発生した全国企業倒産の負債額上位5社に入った。

全国の小売業全体でも企業淘汰は強まっており、帝国データバンクによると2026年上半期の小売業倒産は1108件と前年同期の1078件から2.8%増加し、3年連続で1000件を超えた。

ユニクロが示す「売れる理由」

では、なぜユニクロは伸びているのか。

ファーストリテイリング自身が挙げているのは、トレンドを取り入れた商品、UVカットなどの機能性、気温変化への対応、商戦期の販促などだ。

ここから見えるのは、単純な価格競争だけではない。

「安ければ売れる」時代から、価格に加えて機能性、商品企画、ブランド力、ECを含めた販売力、在庫管理などを総合的に持つ企業へ需要が集まる市場へ変わっている可能性がある。

大手は大量調達や為替予約、全国店舗網、EC、データを使った在庫管理などでコスト上昇への対応力を持つ。一方、小規模店では仕入価格が上昇しても販売価格への転嫁が難しく、売れ残った在庫も経営を圧迫する。

同じ「服を売る会社」であっても、経営環境は大きく異なる。

アパレル市場で進む「勝ち組・負け組」の二極化

6月の衣料品関連小売が14.8%減少した一方、ユニクロは第3四半期の既存店売上高を9.9%伸ばした。

この対照的な数字は、日本のアパレル市場で起きている変化を象徴している。

消費者は服を買わなくなったのではなく、「どこで、何を買うか」を以前より厳しく選ぶようになったと考えられる。

円安、仕入価格上昇、ECとの競争、人口減少、店舗維持費の上昇など、アパレル企業を取り巻く環境は厳しい。一方で、消費者の需要を捉えた企業には売上が集まっている。

かつてのアパレル不況が業界全体の縮小だったとすれば、現在進んでいるのはそれとは少し異なる。

市場そのものが消えるのではなく、限られた需要が強い企業やブランドへ集中し、その裏側で中小・零細企業が市場から退出していく――。2026年のアパレル業界では、そうした「選別型不況」が一段と鮮明になりつつある。

 

 


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