イラン戦争による米軍のイランへの攻撃により、イラン側が中東各地にある米軍基地向けにドローンや弾道ミサイルでの反撃により泥沼化状態。イラン側はオマーンと手を組み、ホルムズ海峡をコントロール(有償通航方針)しながらも、米国が封鎖解除条件に解除する方針を明らかにしている。
一方、米国はイランを兵糧攻めにするとして、イラン関係船の攻撃を続け、ホルムズ海峡での逆封鎖を続けており、長期戦となっている。しかもこれまでにウクライナ、イスラエル、イラン戦争で弾薬やミサイルを使い過ぎ今や枯渇、米国本土防衛も覚束ない状態に。結果、大規模攻撃の継続はできず、トランプは勝利宣言もできず、消耗戦に突入している。
イランはもはやトランプとの交渉を諦め、次期政権との交渉を念頭に、攻撃と報復の小規模戦争状態の継続を続ける体制となっている。
イラクの絶対君主だったフセインとは異なり、アフガンがそうであったようにイランにとって最高指導者を爆殺された宗教戦争であり、トランプも勝利という撤退の大義もなくなり、引くに引けない状態に陥っている。弾薬・ミサイル不足に加え、戦費も嵩んでおり、トランプ政権は10月から始まる2027年の国防予算を前年比6割以上の増加額を要求している。
これまでトランプと対イラン攻撃の急先鋒FOXマードックの子分ヘグセス国防長官の行動に対して、ヴァンス副大統領は、当初からイラン戦争反対ながら、やり過ごしてきたものの、ここに来て、イラン戦争は原油高・物価高を招き、停止すべきだとの立場を明らかにし、トランプのイラン戦争継続に反対の意思を会議でも発言し始めている。
それに加え、ホワイトハウスでの会議で、米軍制服組トップのケイン米統合参謀本部議長もイランに対する大規模攻撃に反対表明。参謀長はヴアンス副大統領とは異なり、兵器枯渇問題を反対の理由に掲げている。
ウクライナ戦争でウクライナを支援したバイデン前大統領、戦争継続用の兵器を大量にウクライナに供与し、最新兵器の供与へとグレードアップさせていた。特に防衛用の迎撃ミサイルの供与は大量に行われた。
最新兵器以外にも戦車など用いる150ミリ砲弾も米軍はウクライナに供与し過ぎ、在庫不足に陥り、韓国から100万発以上を借用して、ウクライナへ供給していた(バイデン政権当時)。
150ミリ砲弾を製造するにも1年以上かかり、増産ともなるとさらに施設やサプライチェーンの材料増産も必要となり、結果、数年かかる。
それでも露軍の攻撃は続き、今では主力が空中戦、露軍はジェットドローンや超超高速弾道ミサイルも動員、ウクライナではすでに迎撃ミサイルが枯渇、都市部での迎撃体制が崩壊しているともされている。
ウクライナが開発した迎撃ドローンもジェットドローンには対応できない問題も発生している。
そうしたことから、トランプは一時、PAC3の製造設計図面をウクライナに供与し、ウクライナで製造させる計画が持ち上げたが、最終、トランプは技術流出問題から取り消している。
ただ、ロシアの原油精製施設を猛攻しているウクライナの長距離ドローンは米企業製(ジャミングされても有視界飛行に切り替えAI技術により目標を確実に攻撃)であり、トランプにとってイラン戦争を孤立させないためにもウクライナ戦争を継続させ続ける狙いがある。また、PAC3ではなく、少し性能が落ちるPAC2の技術供与を秘密裏に行う可能性も十分ある。
米製兵器の枯渇問題
①地対空パトリオット迎撃ミサイル(PAC3)は、ウクライナ戦争の長期化により、これまでにすでに全世界に展開する米軍基地からかき集め、それでも足りず、日本や韓国など友好国へ売却先した分も借用して使用している状態が続いていた。
そうした中での今回のイラン戦争では特に、イランの弾道ミサイルやドローンによる反撃に、イスラエルへの供与もあり、湾岸諸国への供与、中東米軍施設への供給など、これまでに大量のPAC3を使用し、これ以上の使用は、米本土の防衛に関わる問題になってきている。
PAC3は短距離迎撃、THAADは中距離迎撃、SM3は知用距離迎撃ミサイルでいずれも枯渇している。
イラン奇襲攻撃の戦争では、米軍とイスラエル軍が共同しての軍事行動、イスラエルもイラン軍のミサイル攻撃にさらされ、米国はそれまでにイスラエルのアイアンドーム用にPAC3を大量に供与し、それも枯渇、米国に追加供与を要請したが、米国はすでに満足させられずにいる。
元々中東の米軍施設は攻撃に脆弱とされ、最新防御態勢が予算面からとられていないなかでイラン戦争をトランプがおっ初め、イランの反撃により多くの米軍施設が被害を受け、さらに日本のPAC3や韓国のTHAADも含め中東の米軍施設へ送り出されている。それでも足りていない。
先般もイランが海峡を申請なしに船舶が通航しようとして攻撃、これに対して米軍がイランの140ヶ所を空爆、イランは反撃し、パーレーンの米軍施設へミサイル・ドローン攻撃、PAC3による迎撃体制も限られ、人的被害を受け、トランプは激怒、大規模攻撃を表明していたものだった。
中東に米軍基地は19ヶ所あり、関連施設を含めれば200ヶ所以上ある。また、中東産油国の産油施設や精製施設のほとんどは米石油メジャーなどが行っており、これまでに幾度となくイランから攻撃され、米軍施設の被害も200ヶ所以上に上っている。今後ともそうした施設を守護するため迎撃ミサイルが大量に必要となっている。すでに全世界に展開する米軍基地にあるPAC3はウクライナやイスラエル、イラン戦争から中東湾岸諸国、中東の米軍基地に対しかき集められ、それでも足りず、日本や韓国、欧州などが有するPACも借用して中東の米軍施設などへ送られている。
また、イスラエルもアイアンドームのPAC3はイランからのミサイルやドローン攻撃を撃墜してきたことから枯渇、エルサレムを死守するため地方都市の迎撃率は大幅に落ちている。
②艦対地攻撃用巡航ミサイルトマホークもイラン戦争だけで1200発以上使用している。
生産能力は年間700発前後とされ、米海軍の駆逐艦や潜水艦などに搭載され、友好国への売却もある中、イラン戦争での大量使用により枯渇問題が浮上している。現在は最新のブロック4。
③空対地攻撃ミサイルJASSMも2月28日のイランの最高指導者らを狙った奇襲攻撃でも使用され、精密にイランの最高指導者や最高幹部ら5人を含め、トップの妻や息子の嫁、孫たちも含め数十人を爆殺した。米軍のイラン攻撃は上陸作戦ではなく、ミサイル攻撃や爆撃であり、戦闘機や爆撃機からターゲットを確実に破壊するJASSMも多用されている。
④希少巨大爆弾のGBU-43/B MOABや巨大貫通型爆弾のGBU-57/B MOP(製造数20個)もイラン戦で地下兵器工場や地下ミサイルやドローンの格納庫などの破壊に多数使用しており、在庫も乏しくなっている。
報道では、次のように米国の弾薬庫が空になりつつあると報じている。
これは米国・イスラエル対イランの戦争がもたらした突発的なものではない。すでにずっと前から予告されていた構造的な危機であり、冷戦以降、世界を支配してきた巨大覇権国に訪れた「戦略的更年期」の兆候だとされている。
今や米軍は、長期戦に耐える耐久力が枯渇しつつある老いた巨人となっている。
昨年初めに就任したトランプ政権が、ロシアとウクライナの戦争においてバイデン前大統領がウクライナを支援した政策に対し、「不必要なばらまき」だと強く非難した背景には、米国の戦争予備弾薬(WRSA)が無限ではないという冷酷な現実がある。
すでにイラン戦争以前から、ケイン米統合参謀本部議長をはじめとする軍首脳部は、長期戦が米軍の兵力消耗はもちろん、中核となる弾薬の在庫に致命的な負担をもたらす可能性があると繰り返し警告してきた。
同盟国からの戦力支援が不確実な状態で、中東という単一の戦線に足止めされ、弾薬が枯渇すれば、結局、中国とロシアという巨大な覇権国を標的とした米国の地球規模の抑止力そのものが根本的に崩れかねないという指摘だった。
その懸念はそのまま現実となった。
米戦略国際問題研究所(CSIS)をはじめとする主要な安全保障研究機関の分析によると、今回のイラン戦争により、米軍が保有する主要な精密誘導兵器の消耗量は、戦前の在庫の3分の1から、一部の主要システムの場合は半分以上に達すると推定されている。
トマホークミサイルだけで1200発以上、戦闘機搭載の空対地ミサイル(JASSM)も100発ほどが短期間に使用された。
これを戦前の水準まで回復させるためには、システムごとに短くても3年、長くは20230年代初頭まで待たなければならないという暗い見通しも示されている。
さらに深刻な問題は、イラン戦争以前の既存在庫でさえ、米国と中国間の大規模な全面戦争に対応するには到底不十分だったという事実がある。
冷戦終結以降、米国の防衛産業が効率性とコスト削減のみを追求して導入した「ジャスト・イン・タイム(JIT)」生産システムは、平時の予算運用には適していたかもしれないが、大国間の多層的な長期戦においては致命的な弱点を露呈している。
米国の防衛産業における固体ロケットモーター、
先端探知機、
特殊鋳造部品、
そして熟練労働力のボトルネックは、短期間で解決できるものではない。
ましてや、高精度兵器に使用される半導体やレアアース(希土類)は、国外のサプライチェーンに絶対的に依存している。
米国は今や「弾薬の消費速度が生産速度を圧倒している国」になってしまった。
新しい工場を増設し稼働させるだけでも最低18ヶ月から24ヶ月を要し、国内のサプライチェーンと熟練労働力を再構築するには数十年かかる可能性もあると指摘されている。
戦略国際問題研究所(CSIS)のトム・カラコ上級研究員は、この現実について「通常戦力による抑止力の世代的な崩壊」と表現している。
「米国の力の枯渇と貧血状態」という冷酷な現実を真っ先に看破し、その隙を鋭く突いてきたのは、米国の敵対国たちだった。
イランは8月初旬、米軍が空爆を断念したのを見て、ホルムズ海峡の再開の条件として、制裁緩和にとどまらず、
①制裁の完全解除、
②凍結資産の返還、
③戦争賠償、
④米海・空軍戦力の撤退、
⑤親イラン勢力への攻撃中止
などを含む破格的な「6項目」を掲げ、強硬な対米抗戦に乗り出している。
ペルシャ湾地域に配備された米軍のパトリオットやTHAAD(高高度防衛ミサイル)、スタンダード(SM3・6)ミサイルが枯渇したことを把握しての対米交渉での強硬策に出ている。
ウクライナ戦線は、米国のこうした力の枯渇が招いた悲劇を、より鮮明に示している。プーチン大統領率いるロシアは、ウクライナのパトリオット迎撃ミサイルが完全に枯渇し、「穴の開いた盾」と化してしまった脆弱な防空網の隙を正確に狙い、キーウをはじめとする主要拠点に大規模な弾道・極超音速ミサイルによる空襲を浴びせている。
8月、キーウは完全な無防備状態でロシアのミサイルの攻撃を受けている。
このシグナルが投げかける波紋は、アジア太平洋地域にも広がっている。
ワシントンのインド太平洋戦略は、従来の「同時抑止戦略」(Simultaneous Deterrence)から、現実的な物的限界により、「選択と集中による限定的介入」へと縮小される可能性が高い。つまり、米国は台湾海峡、朝鮮半島、中東、欧州で同時に危機が発生した際、すべての戦線に圧倒的な通常戦力を即座に投入する余力を失った。この点において、私たちは冷静な問いを投げかけなければならない。果たして、いつまで「米国の拡大抑止(Nuclear Umbrella)が、同盟各国の安全保障の空白を完全に埋めてくれる」という同盟の前提は今や崩れかけている。
今やアメリカ合衆国はトランプ合衆国に変貌、トランプ党=共和党支配の連邦議会にあるものの、11月3日の中間選挙で下院だけでも民主党に負ければ、対外政策においても、これまでのようなトランプの放任強硬姿勢は崩れることになる。議会に対して大統領令により議会を無視し続ければ、次期大統領選ではヴァンス(元副大統領)の勝利は覚束なくなり、トランプ自身がエプスタイン問題も含め訴訟対象になる可能性もある。
兵器は使用されなければ、新陳代謝は称せず、国費で強制して代謝させ、再生産させるしかないない。
ところが、日本を除き、世界の主要国は財政問題を抱え、オバマ米政権下でも大幅な国防費の削減が行われた。
これは、イラク戦争やアフガン戦争で戦費が拡大し続け、オバマ政権は両戦争から撤退を宣言し、軍事費を大幅に削減した経緯がある。
本来、戦争が大好きな共和党政権のトランプ政権で、こうしたオバマ政策は見直されたものの、最新兵器などの在庫には支障をきたしたままだった。
2022年2月に米が支援するウクライナ戦争が勃発、2023年10月のガザ戦争、2026年2月にはイラン戦争が勃発。米国の兵器在庫が危険水域に至るまでイラン攻撃に使用し続けている。
米国はウクライナに兵器を大量供給、今に続いている。
ガザ戦争でも大量の兵器をイスラエルに供与し続けている。
イラン戦争ではトランプが一時、イランを殲滅すると宣言し、核以外の持てる兵器をフル動員して攻撃、民間施設や公共施設は攻撃しないとするジュネーブ戦争条約など完全無視して、小学校から大学まで徹底攻撃破壊し、大量の死者を出している。
トランプ政権になり、国防費は急増しているものの、兵器の生産には長期を要し、本土の在庫が減り続け、危険水域に達していることもあり、兵器不足はイランに対して総攻撃できない主要因ともなっている。現在のイランのトップや幹部たち(交渉相手の国会議長と外相を除く)は、米軍とイスラエル軍が共有する殺害リストに掲載されており、イスラエルやCIAがこれまでイラン国内に張り巡らしたスパイ網は、2月28日の奇襲攻撃でトップ5人も殺害されたことから、疑いのある人物らはほとんど粛清され、今ではクロードでも追跡できず、所在不明のままになっている。
しかし、イランの戦時体制の政治軍事組織は維持されているという厄介な相手をトランプは相手にし、引くに引けない状況に陥り、今ではイランを兵糧攻めにして崩壊させると訳のわからないことを述べている。・・・今後もチンタラ戦争状態は続くことになる。
米国の物価も戦争継続のポイントの一つになっているが、ガソリンの先物価格は2月の戦争以前は2ドル前後、現在は3.1ドル水準となっているが、ピークは5月の3.7ドルであり、大幅に下がっている。この間、終戦交渉入りした6月26日の2.8ドル台となったが、3ドルを下回ったのはこの間の1週間だけだった。
米軍がイランの民間船を攻撃する限り、イランがペルシャ湾滞留船舶のホルムズ海峡通過で、イランに事前申請せず許可を受けていない船舶に対して攻撃する限り、報復合戦の米国による空爆、イランによるドローン・ミサイル攻撃の応酬は続く。
原油価格もガソリン価格も終戦交渉入りの下落値には戻ることはなく、下っても前年同月比で20%以上高い状態が続くものとみられる。
ガソリン価格はトランプが下げろと命じているものの、燃料油についてはイラン戦前より40%前後高くなっている。中でも灯油は2月の2.4ドル(1ガロン)付近から4.2ドルまで上昇しており、こうした価格が長引けば、冬の暖房シーズンに影響し、現在37%まで下がったトランプの支持率は、さらに落ち込むことになる。トランプのこれまでの岩盤支持率は42%前後、イラン戦争によりすでに岩盤の底が抜け落ちている。
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米国の国防予算 |
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年 |
百万ドル |
前年比 |
備考 |
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2020年 |
690,363 |
6.6 |
|
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2021年 |
717,577 |
6.8 |
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|
2022年 |
726,458 |
7.1 |
ウクライナ戦争 2月より |
|
2023年 |
775,874 |
7.2 |
ガザ戦争 10月より |
|
2024年 |
859,539 |
7.2 |
|
|
2025年 |
878,467 |
7.2 |
1月 トランプ2政権誕生 |
|
2026年 |
900,600 |
2.5 |
イラン戦争 2月より |
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2027年要求 |
1,500,000 |
66.5 |
戦争権限法行使 |