大村市新庁舎建設工事をめぐる疑惑は、ついに「住民監査請求」という新たな段階に入る。
本紙編集長・中山洋次は、大村市新庁舎(庁舎棟)建設工事の特記仕様書に、供給可能な事業者として「大村市産材供給協議会」の名称が記載されている問題について、地方自治法第242条に基づく住民監査請求を行う。
地元産材を新庁舎に活用すること自体に異論はない。
むしろ、地域経済の活性化や森林資源の循環利用という観点から、正々堂々と進めるべき政策である。
だが、地元産材を使うことと、谷川商事ありきの怪しい特定の協議会を設計図書に名指しすることは、まったく別の問題である。

問題の特記仕様書には、使用する木材を「原則として大村市産木材(桧材)」としたうえで、参考として、供給可能な事業者に「大村市産材供給協議会」の名称が明記されている。
大村市は、「あくまで参考であり、指定ではない」と説明するかもしれない。
しかし、公共工事の設計図書に発注者が特定団体の名前を掲載すれば、入札参加者がそれをどのように受け止めるか。
「ここから調達することが望ましい」
「別の事業者を選べば、市の意向に反するのではないか」
「事実上の指定業者ではないか」
そう考えるのが自然ではないのか。
「参考」と書けば、特定団体を名指ししても何の影響も生じないという理屈は通用しない。
公共工事の仕様書は、観光パンフレットでも業者紹介冊子でもない。
市民の税金を使う工事の競争条件を定める重要な公文書である。
そこに特定の団体名を書く以上、大村市には、その理由と根拠を市民に説明する責任がある。
そもそも、この怪しげな協議会は何者なのか。
本紙が問題にしてきたのは、まさにここである。
「大村市産材供給協議会」とは、いったいどのような団体なのか。
誰が設立し、誰が代表を務め、どの事業者が参加しているのか。
規約は存在するのか。
木材価格は誰が、どのような基準で決めるのか。
供給量や利益配分はどうなっているのか。
大村市、設計者、入札参加者との間に、どのような協議があったのか。
なぜ、ほかの木材供給業者ではなく、この協議会の名前だけが特記仕様書に記載されたのか。
市民が当然知るべき基本的な事項が、ほとんど見えてこない。
関係者から寄せられた情報によれば、同協議会の構成員とされる事業者には、次の名前が挙がっている。
• 長崎南部森林組合
• 株式会社富建
• 谷川商事株式会社
• 伊万里木材株式会社
• 「クロダプレカット」を運営する法人
ただし、これらは現段階で関係者情報に基づくものであり、正式な構成員名簿、加入時期、役員、代表者などは原資料による確認が必要である。
だからこそ、監査委員に調査を求めるのである。
市が資料を出さない。
協議会の実態も見えない。
価格形成の仕組みも分からない。
それでいて、市民の税金だけは予定通り支出する。
そんな話が許されるはずがない。
JC-net・日刊セイケイ編集長・中山洋次