米国のバイオ医薬品開発会社Artiva Biotherapeutics(アルティバ・バイオセラピューティクス、カリフォルニア州サンディエゴ、NASDAQ上場・ARTV)は、2026年10月27日、従業員の約94%を削減すると発表した。主力の細胞治療薬「AlloNK(AB-101)」の開発を中止し、合併や事業売却、解散・清算などを含む今後の経営方針を検討する。
同社は2026年5月に約3億ドルの資金調達を実施し、9月には約150人を対象とした第3相臨床試験の計画を公表していた。しかし、臨床試験で患者2人の死亡事例が発生し、治療効果の持続性も開発継続の判断基準を満たさなかったことから、事業方針を大幅に転換した。
今回の開発中止と人員削減は10月22日の取締役会で承認され、27日に公表された米証券取引委員会(SEC)の臨時報告書でも確認された。
従業員94%を削減、2027年第1四半期までに完了へ
Artivaは、主力治療薬の開発停止に伴い、現在の従業員の約94%を削減する計画。人員削減は2027年第1四半期までに完了する予定で、事業縮小に伴う費用の大部分は2026年第4四半期に発生する見通しとしている。
同社の2026年6月末時点の常勤従業員数は115人だった。ただし、今回の削減計画の基準となる10月時点の従業員数や、実際に削減される人数は公表されていない。
事業縮小費用には、雇用関連費用のほか、臨床試験の終了、既存契約の解約、リース契約などに伴う費用が含まれる。総費用については、現段階で合理的な見積もりができないとしている。
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項目 |
内容 |
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企業名 |
Artiva Biotherapeutics, Inc. |
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所在地 |
米国カリフォルニア州サンディエゴ市 |
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事業内容 |
NK細胞を用いた治療薬の研究開発 |
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上場市場 |
NASDAQ(ARTV) |
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常勤従業員 |
115人(2026年6月末時点) |
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今回の削減規模 |
現在の従業員の約94%(人数非公表) |
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削減完了予定 |
2027年第1四半期 |
臨床試験で患者2人死亡、治療効果の持続性も基準に届かず
開発中止となったAlloNKは、免疫機能を担うナチュラルキラー細胞(NK細胞)を利用した治療薬候補。関節リウマチなどの自己免疫疾患を対象に、抗体医薬品のリツキシマブと組み合わせた治療法として開発が進められていた。
第2a相臨床試験では、患者1人が治療後に白質脳症を発症して死亡した。治験担当医師と独立した安全性評価では、試験で使用した前処置薬フルダラビンによる神経毒性との関連が強く疑われると評価された。
この報告を受け、米食品医薬品局(FDA)は第2a相試験での新規登録と投与の一時停止を要請。同社も予定していた第3相試験の患者登録と投与を停止した。
さらに、別の患者1人が治療開始から約2カ月後に突然死した。こちらについては、治験担当医師がAlloNKを含む試験治療との関連はないと評価しており、死因も特定されていない。
一方、長期追跡データでは、同社が開発継続に必要と判断する治療効果の持続性が得られなかった。安全性と有効性、試験の遅延、将来の製品化の見通しなどを総合的に検討し、開発中止を決定した。
今回報告された死亡事例について、AlloNKそのものが直接の死因と確認されたわけではない。同社は今後、新たな患者への投与を行わず、安全性の追跡調査など必要な対応を続けるとしている。
5月には3億ドルを調達、9月時点では第3相試験を計画
Artivaは2019年設立のバイオ医薬品開発企業で、2024年7月に米NASDAQ市場へ上場した。製品販売による売上高はこれまで計上しておらず、外部から調達した資金を中心に研究開発を進めてきた。
2026年5月には株式と新株引受権の発行により、約3億ドルの資金を調達。引受手数料などを差し引いた手取額は約2億8270万ドルだった。
同年9月8日にはAlloNKの開発計画を公表し、難治性関節リウマチ患者約150人を対象とする第3相臨床試験の開始に向けて準備を進めていた。会社側は当時、保有資金で2029年までの事業運営を賄えるとの見通しを示していた。
ところが、10月には主力薬の開発を全面的に断念。5月の大型資金調達から約5カ月、9月の臨床開発計画の公表から約1カ月半で、大規模な人員削減を伴う事業縮小へと方針が転換された。
9月末の保有資金は約3億1910万ドル、清算も選択肢
2026年1~6月期の最終損益は約4852万ドルの赤字だった。6月末時点の現金・現金同等物・投資残高は約3億4940万ドルで、9月末時点でも約3億1910万ドルを保有していた。ただし、9月末の金額は未監査の暫定値であり、今後変更される場合がある。
同社は主力薬の開発中止を受け、保有資金の維持を図りながら、今後の経営方針を検討する。選択肢には、他社との合併・事業統合、資産売却、技術などのライセンス供与、会社の解散・清算が含まれる。
戦略的選択肢の検討に当たっては、金融アドバイザーとしてLeerink Partnersを起用した。ただし、現時点で解散や清算が決定したわけではなく、具体的な取引が成立する保証もない。
今回の事業縮小は、資金枯渇による法的整理の発表ではなく、開発計画を中止した上場バイオ企業が、保有資産と資金を踏まえて今後の事業継続・再編方針を検討する案件となっている。
同社の発表内容は米SECへの臨時報告書(Form 8-K)および2026年10月27日付の会社発表で確認できる。