【米国】肥料大手モザイクが199人削減へ 硫黄不足でリン鉱石採掘拠点休止、最終赤字2億7300万ドル
米国の肥料大手モザイク(The Mosaic Company、ニューヨーク証券取引所:MOS)が、フロリダ州のリン鉱石採掘・処理拠点「South Fort Meade」で199人の人員削減を計画していることが分かった。世界的な硫黄の供給不足と調達コストの上昇を受け、同拠点の操業を長期間休止する方針だ。
フロリダ州政府が10月14日に受理した大量解雇事前通知(WARN)によると、人員削減の予定日は2026年12月8日。操業休止は6カ月を超える見込みで、実際の再稼働時期は決まっていない。
モザイクはリン酸肥料やカリ肥料を製造・販売する世界的な肥料メーカー。2026年第2四半期(4~6月)は硫黄の調達難などを背景に生産を縮小し、最終損益は2億7,300万ドルの赤字となっていた。
199人を12月8日に削減予定、操業休止は6カ月超
今回の対象となるSouth Fort Meadeは、フロリダ州のポーク郡とハーディー郡にまたがるリン鉱石の採掘・選鉱拠点で、1995年から操業している。
鉱床から掘り出した鉱石を処理し、リン酸肥料の原料となるリン鉱石を供給する役割を担ってきた。モザイクの公式施設紹介では、同拠点の従業員数を250人としているが、この数字の基準時点は明記されていない。
会社が10月5日付で提出したWARN通知では、対象従業員199人の削減を12月8日に開始する予定としている。
操業休止後も一部の従業員は設備保守、安全管理、環境関連業務などのために残る。会社は市況と硫黄の調達環境が改善すれば再稼働を目指す方針だが、具体的な再開予定日は決まっていない。
なお、199人は事前通知に記載された削減予定人数であり、10月時点ですでに同人数が退職したわけではない。また、今回の措置は長期休止であり、恒久的な鉱山閉鎖が正式決定したものではない。
硫黄の調達価格が上昇、リン酸肥料の生産を縮小
今回の操業休止の背景にあるのは、リン酸肥料の製造に欠かせない硫黄の供給不足と価格上昇だ。
リン酸肥料の製造では、硫黄を原料とする硫酸を使ってリン鉱石からリン酸を取り出す。硫黄の供給が不足すると、下流のリン酸肥料生産が制約を受け、原料となるリン鉱石の需要にも影響する。
モザイクの2026年第2四半期決算によると、硫黄の平均調達価格は1ロングトン当たり522ドルだった。第3四半期向けの硫黄契約価格は705ドルで決着しており、調達価格の上昇が続いていた。
同社は2026年5月からリン酸肥料の生産を一部縮小。米ルイジアナ州のFaustina施設を全面休止したほか、フロリダ州Bartow施設の稼働率も年間目標に対して40%まで引き下げていた。
こうしたリン酸肥料の生産縮小が続くなか、今回のSouth Fort Meadeではリン鉱石の採掘・処理事業も長期休止することになった。
2026年4~6月期は最終赤字2億7,300万ドル
原料調達問題はモザイクの業績にも影響している。
2026年第2四半期の連結売上高は28億ドル、営業損益は3,600万ドルの赤字、最終損益は2億7,300万ドルの赤字となった。前年同期は4億1,100万ドルの最終黒字だった。
主力のリン酸肥料部門では、前年同期の800万ドルの営業赤字から、2026年第2四半期には1億400万ドルの営業赤字へと損失が拡大した。
生産数量の減少に伴う固定費負担の増加や原材料価格の上昇が収益を圧迫したほか、事業関連の評価損なども業績に影響した。
モザイクは2026年の設備投資見通しを従来の12億5,000万ドルから12億ドルへ引き下げるなど、資金支出の抑制を進めている。
ただし、2026年第2四半期の最終赤字すべてが硫黄不足によって発生したわけではない。決算には保有株式の時価評価に伴う損益や、事業関連の評価損など複数の特殊要因が含まれている。
長期休止の一方、約2,000エーカーの採掘拡張計画も進行
一方、South Fort Meadeでは、長期的なリン鉱石の供給確保に向けた採掘区域の拡張計画も進められている。
米連邦政府の許認可管理資料によると、モザイク傘下のMosaic Fertilizer LLCは、既存鉱山の南側に隣接する約2,000エーカーの区域で、新たなリン鉱石採掘を計画している。
対象地はフロリダ州ハーディー郡に位置し、採掘した鉱石は既存のSouth Fort Meade選鉱施設で処理する計画となっている。
環境審査・許認可手続きは現在も進行中で、米連邦政府の管理資料では2027年3月2日を予定完了日としている。
同社が採掘可能な鉱区の拡張を進める一方、足元では肥料生産に必要な硫黄の調達問題によって、既存施設の稼働を休止せざるを得ない状況となっている。
なお、採掘拡張計画の存在は将来の操業再開を保証するものではなく、今後の許認可や事業環境によって計画が変更される場合もある。
原料供給網の問題が鉱山の雇用にも波及
今回の人員削減は、肥料の需要低迷や鉱石資源の枯渇による閉鎖とは異なり、製造工程に必要な硫黄の供給不足が事業全体に影響した事例となった。
モザイクは需要や原料調達の状況を踏まえながら生産体制を調整し、収益改善に取り組む方針を示している。
フロリダ州のSouth Fort Meadeでは2026年12月8日から199人の人員削減が予定されているが、最終的な退職者数や操業再開時期は現時点で確定していない。
リン酸肥料の生産回復に向けた硫黄の安定調達、休止拠点の再稼働、採掘拡張計画の進展が今後の焦点となる。





