長崎県の空き家が、2023年時点で11万3,000戸に達している。2018年の10万1,500戸から5年間で1万1,500戸増え、増加率は11.3%。一方、県内の住宅総数は同期間に4,500戸減少しており、住宅の数が減る中で空き家が増える状況となっている。
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、長崎県の空き家率は17.3%で、全国平均の13.8%を上回り、都道府県別では全国12位。県内では新上五島町の31.6%をはじめ、壱岐市25.5%、五島市24.9%など、離島・半島部で高い数値が目立つ。
さらに、県内の空き家11万3,000戸のうち、賃貸・売却用や別荘などの二次的住宅を除く空き家は6万4,900戸。全体の57.4%を占めている。
数字でみる|長崎県の空き家問題
5年間の増加率
+11.3%
2018年比+1万1,500戸
賃貸・売却用などを除く空き家
6万4,900戸
空き家全体の57.4%
県内の地域差:新上五島町の空き家率は31.6%(数値公表16市町中で最高)。
出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」、長崎県統計課。 2023年調査の推計値。「賃貸・売却用などを除く空き家」は二次的住宅も除いた区分。
住宅総数は減少、空き家は5年で11.3%増加
長崎県統計課が2026年3月19日に公表した調査結果によると、2023年10月1日時点の県内住宅総数は65万5,000戸だった。2018年の65万9,500戸から4,500戸、0.7%減少した。
これに対し、空き家数は2018年の10万1,500戸から2023年には11万3,000戸へ増加。空き家率も15.4%から17.3%へ1.9ポイント上昇した。
同じ5年間の全国の空き家増加率は6.0%で、長崎県の11.3%はこれを上回る。県の空き家増加率は全国12位となっている。
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指標 |
2018年 |
2023年 |
5年間の変化 |
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長崎県の住宅総数 |
659,500戸 |
655,000戸 |
4,500戸減(0.7%減) |
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長崎県の空き家数 |
101,500戸 |
113,000戸 |
11,500戸増(11.3%増) |
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長崎県の空き家率 |
15.4% |
17.3% |
1.9ポイント上昇 |
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全国の空き家数 |
8,488,600戸 |
9,001,600戸 |
6.0%増 |
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全国の空き家率 |
13.6% |
13.8% |
0.2ポイント上昇 |
出典:長崎県統計課「令和5年住宅・土地統計調査 集計結果(長崎県分)」。空き家数は標本調査に基づく推計値。
6万4,900戸が賃貸・売却用などを除く空き家
空き家の中身を見ると、長崎県では賃貸用が約4万1,700戸、売却用が約3,300戸、別荘などの二次的住宅が約3,100戸となっている。
一方、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は6万4,900戸に上る。県内の空き家全体に占める割合は約57.4%で、全国の約42.8%を上回る。
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空き家の区分 |
長崎県の戸数 |
空き家全体に占める割合 |
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賃貸用 |
約41,700戸 |
約36.9% |
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売却用 |
約3,300戸 |
約2.9% |
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二次的住宅 |
約3,100戸 |
約2.7% |
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賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 |
64,900戸 |
約57.4% |
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合計 |
113,000戸 |
100% |
出典:総務省e-Stat「令和5年住宅・土地統計調査」空き家の種類別統計。構成比は公表戸数から計算し、小数第2位を四捨五入。
ただし、この6万4,900戸がすべて管理されず放置された住宅というわけではない。統計上の用途区分であり、個々の建物の老朽度や所有者の管理状況を示すものではない。
新上五島町31.6%、壱岐市25.5% 離島・半島部で高率
県内の地域差も大きい。住宅・土地統計調査で市町村別の数値が公表されている県内16市町のうち、空き家率が最も高いのは新上五島町の31.6%だった。総住宅数1万1,350戸に対して空き家は3,590戸と推計されている。
次いで壱岐市25.5%、五島市24.9%、西海市23.9%、平戸市22.0%となり、上位5市町はいずれも20%を超えた。
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市町 |
総住宅数 |
空き家数 |
空き家率 |
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新上五島町 |
11,350戸 |
3,590戸 |
31.6% |
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壱岐市 |
12,760戸 |
3,250戸 |
25.5% |
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五島市 |
21,760戸 |
5,420戸 |
24.9% |
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西海市 |
12,670戸 |
3,030戸 |
23.9% |
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平戸市 |
14,740戸 |
3,250戸 |
22.0% |
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佐世保市 |
123,820戸 |
22,450戸 |
18.1% |
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長崎市 |
218,050戸 |
39,050戸 |
17.9% |
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諫早市 |
61,180戸 |
7,770戸 |
12.7% |
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大村市 |
45,040戸 |
4,490戸 |
10.0% |
出典:総務省e-Stat「令和5年住宅・土地統計調査」市区町村別住宅数。県内16市町のうち空き家率上位5市町と主要4市を掲載。県内全21市町の順位ではない。
長崎市と佐世保市で6万1,500戸 県央とは大きな差
空き家率では離島・半島部が目立つ一方、空き家の絶対数が多いのは長崎市と佐世保市だ。
長崎市の空き家は3万9,050戸、佐世保市は2万2,450戸で、2市を合わせると6万1,500戸となる。これは県全体の11万3,000戸の約54.4%に相当する。
一方、諫早市の空き家率は12.7%、大村市は10.0%で、いずれも県平均の17.3%を下回った。
同じ長崎県内でも、空き家率が3割を超える新上五島町と、1割にとどまる大村市では21.6ポイントの差がある。空き家対策を考える際には、県全体の平均値だけでなく、市町ごとの住宅ストックや流通状況を分けて把握する必要がある。
長崎市は除却費最大50万円、五島市は改修費最大100万円
自治体による空き家対策は、危険な建物の除却と、利用可能な住宅の改修・流通の両面で進められている。
長崎市は2026年度、老朽化して危険な特定空家等の除却費を最大50万円補助する制度を設けている。また、一定の条件を満たす老朽危険空き家について、土地・建物の寄附を受け、市が建物を除却して跡地を公共空間として整備する事業も行っている。
五島市は空き家バンクに登録された住宅の改修を支援。2026年度の制度では、補助対象経費の2分の1以内で、所有者と新婚家庭は上限100万円、UIターン者は上限50万円としている。家財処分についても上限20万円の補助を設けている。
ただし、補助金は対象となる建物、所有者・利用者の条件、工事内容、予算残額などによって利用の可否が異なる。上限額がすべての申請者に交付されるわけではない。
制度資料:長崎市特定空家等除却費補助金/五島市空き家バンク改修・家財処分補助金。補助内容は2026年10月確認時点。
相続登記は義務化 2027年3月31日が経過措置の期限
空き家の管理や売却に関係する制度として、相続登記の義務化にも注意が必要だ。
2024年4月1日から、不動産を相続したことを知った相続人は、原則として取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務がある。正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料が科される可能性がある。
制度開始前の相続も対象で、2024年4月1日以前に相続による取得を知っていた未登記不動産については、原則として2027年3月31日が申請期限となる。遺産分割がまとまっていない場合などに、基本的な申請義務を履行するための「相続人申告登記」も設けられている。
また、一定の要件を満たす相続空き家を売却した場合には、譲渡所得から最大3,000万円を控除する特例がある。2026年10月時点での適用期限は2027年12月31日。建築時期や売却価格、譲渡期限などの条件があり、相続人が3人以上の場合は控除額が原則1人当たり2,000万円となる。
制度資料:法務省「相続登記の申請義務化について」/国土交通省「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」。
不動産流通・改修・解体 空き家の「数」と「状態」を分けて考える
長崎県では、住宅総数が減少する一方で空き家が増加し、賃貸・売却用などを除く空き家が6万4,900戸に達している。
所有者が空き家の活用や処分を進める場合には、不動産仲介、売却、賃貸、住宅改修、耐震工事、解体、測量、登記など、建設・不動産関連の業務が関わる。
ただし、6万4,900戸すべてが売却・改修できる住宅という意味ではない。建物の状態、接道条件、権利関係、改修・解体費用、地域の住宅需要などによって対応は異なるため、統計上の空き家戸数から事業規模を直接算出することはできない。
2023年の改正空家法では、放置すれば特定空家となるおそれがある「管理不全空家」に対する指導・勧告の仕組みも導入された。勧告を受けた敷地は、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れる場合がある。
空き家率が高い離島・半島部と、空き家の絶対数が多い長崎市・佐世保市では、課題の規模や性質が異なる。県内の空き家問題を把握するうえでは、総戸数だけでなく、用途別の内訳、建物の状態、所有者の状況、自治体の支援策を組み合わせて見ることが重要となっている。
※住宅・土地統計調査は標本調査による推計値であり、自治体が現地調査等で把握する空家等の件数とは定義・調査方法が異なる。統計上の空き家は、すべてが危険空家や管理不全空家を意味するものではない。