アイコン 【長谷工研究】生き残った長谷工(3)

バーゲンセール不動産ミニバブルは、アメリカの不動産バブルの崩壊であるサブプライムローン問題が、07年7月日本の株式市場でも表面化、外資の一斉資金引き上げが始まり崩壊。最期まで国内ファンドは(支えなければ破綻することから)支えようとするものの、不動産ミニバブルを鎮めるには焼け石に水であった。

 長谷工が企画・建設する分譲マンションも、財閥系等の資本デベロッパーとの共同事業案件は心配ないものの、新興デベロッパーは急激な信用収縮(不動産価値の暴落)により黒字倒産が相次ぎ、長谷工が関係した近藤産業・日本綜合研究所・ニチモ・アゼル等の破綻も相次いだ。企画・建設・販売代理に専念するとした長谷工自身のビジネスモデルも崩れ去ろうとしている。

 同社の平成20年12月31日現在の棚卸資産は、2,172億53百万円(未成工事支出金205億51百万円、販売用不動産907億46百万円、不動産事業当支出金587億31百万円、開発用不動産472億25百万円)に達する。上述の焦げ付きは、完成前であれば留置権が行使でき実質取立不能額は少なくなろうが、昨年5月自己破産した近藤産業の場合、11月に破産管財人から譲り受け今年2月に完売したが、場所と時期によっては旨くいく保証は無い。
 それほど、首都圏ではマンションの完成在庫が溢れており、資金供給元がデベロッパーに対して半値のバーゲンセールで売らせている実態もある(当然大赤字であるが、早く処理したい資金スポンサーの思惑が働いている)。
 同社の経営回復には、棚卸不動産の多さからも地価の上昇が必要である。
 
[ 2009年4月16日 ]
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