住吉重工業の破綻と原弘産
原弘産は5月の第一四半期において大幅な減損処理(連結79億79百万円)を行い7億42百万円の債務超過状態に陥っている。
そうしたなか7月20日まで連結子会社であった住吉重工業が、8月25日自己破産を申請して破綻した。住吉重工業は独自に建設汚泥等のリサイクルプラントなどを製造する一方、原弘産の環境事業である風力発電機等の製作を担当していた会社であった。そのため原弘産は同社に5億48百万円(裁判所申請書類による)焦げ付いている。
昨年8月、原弘産は新中期経営計画で風力発電事業の製造部門から撤退を表明、商社に専念するとし、赤字のグループ企業はすべて外すと発表。昨年12月ベツダイとエストラストを切り離していた。住吉重工業の場合、それを7月21日に実行したまでだが、外された住吉重工業は、この不況時に仕事もなく原弘産から切り離されても自己破産するしかないことは目に見えるというものであった。同社は08年12月期で2億22百万円の債務超過状態に陥っており、2億40百万円の原弘産持分の資本を譲渡されたところで、当不況下1~7月までにかなりの赤字を出しているはずであり、潰れるのが成り行きであったろう。
同社の資本金は前期末では2億53百万円(原弘産の持株比率94.86%)であったが、7月21日に同社は原弘産から原弘産が持つ株(出資金2億40百万円)の譲渡を受け、同日代表の圓川 憲夫 などが出資していた資本金の1,300万円に減資していた。
住吉重工業の業績は | |||
/千円 | 06/12期 | 07/12期 | 08/12期 |
売上高 | 833,605 | 590,119 | 873,535 |
経常利益 | -106,235 | -153,333 | 14,233 |
当期利益 | -104,188 | -155,318 | 13,037 |
総資産 | 1,246,134 | 1,216,345 | 1,211,783 |
純資産 | -87,492 | -242,833 | -222,344 |
住吉重工業は、平成17年4月原弘産が資本参加して原弘産の子会社になった会社、昭和34年漁船のエンジン修理から出発、建設汚泥のリサイクルプラントなどを手掛けていた。原弘産の出資を受け風力発電装置及びバイオディーゼル燃料(BDF燃料)製造装置の生産基地としての役割も担うようになった。しかし、原弘産は新中期経営計画に基づき昨年11月28日、風力発電装置の製造を目的に中国で合弁会社を作っていた湘電風能有限公司(持分法適用関連会社)の持株を湘電集団有限公司に譲渡して、風力発電製造事業から撤退していた。
風力発電も景気後退でクリーンエネルギーどころではなくなり、投資する企業や地方公共団体が激減、新規開発されるところも殆どなく、また大手から中小までが事業参入していることから、競争も激しく、事業にはなりにくいものであった。
原弘産の環境事業の業績推移
連列/百万円 | 05/2期 | 06/2期 | 07/2期 | 08/2期 | 09/2期 |
売 上 高 | 146 | 718 | 3,170 | 5,030 | 3,843 |
営業利益 | 11 | -261 | 126 | 61 | -587 |
05/2期までは、太陽光発電システムやリサイクル漁礁などを扱っていたが、06/2期に入り、風力発電事業に参入して、中国に合弁で風力発電装置の製造会社を設立、オランダの風力発電会社を買収など急拡大させたものの、不景気からクリーンエネルギー事業で事業者も殆ど儲からない風力発電装置への投資が急激に冷え込み、09/2期は5億円を超える大赤字となった。
なお、オランダの風力発電会社(100%)は、韓国の会社にペテント含め18億50百万円で8月28日が決済日となっている。
原弘産の株価は、8月27日終値で89円である。