アイコン カンガルーケアの危険性「母乳育児を成功させるための10か条」問題/ユニセフ

(WHOとユニセフが1991年に共同宣言)
Ten steps to successful breast-feeding

1.母乳育児推進の方針を文章にして、全ての医療関係職員に通知し、いつでも確認できるようにしましょう。
  Have a written breast-feeding policy that is routinely communicated to all health care staff.
2.この方針を実施する上で必要な知識と技術を全ての関係職員に指導しましょう。
 Train all health care staff in skills necessary to implement this policy.
3.全ての妊婦に母乳で育てるその方法を教えましょう。
Inform all pregnant women about the benefits and management of breast-feeding.
4.分娩30分以内に、赤ちゃんに母乳をあげられるようにしましょう。
 Help mothers initiate breast-feeding within a half-hour of birth.
5.母乳の飲ませ方をお母さんに実地に教えましょう。また、もしお母さんから赤ちゃんを離して収容しなければならない場合にも、お母さんに母乳分泌の維持方法を教えましょう。
Show mothers how to breast-feed, and how to maintain lactation even if they should be separated from their infants.
6.医学的に必要でない限り、新生児には母乳以外の栄養や水分を与えないようにしましょう。
 Give newborn infants no food or drink other than breast milk, unless medically indicated.
7.お母さんと赤ちゃんが一緒にいられるように、終日母子同室を実施しましょう。
  Practise rooming-in-allow mothers and infants to remain together - 24 hours a day.
 
8.赤ちゃんが欲しがるときはいつでもお母さんが母乳を飲ませてあげられるようにしましょう。
Encourage breast-feeding on demand
 
9.母乳で育てている赤ちゃんに、ゴムの乳首やおしやぶりを与えないようにしましょう。
  Give no artificial teats or pacifiers (also called dummies or soothers) to breast-feeding infants.

10.母乳で育てているお母さんのための支援グループ作りを助け、お母さんが退院するときにそれらのグループを紹介しましょう。
Foster the establishment of breast-feeding support groups and refer mothers to them on discharge from the hospital or clinic.
 
久保田医師は、特に第4条と6条について問題を指摘している。
 
久保田医師は、
日本ではこの20年、発達障害が驚異的に増加している。発達障害は遺伝性疾患と考えられているためか周産期側からの調査研究は全く行われていない。
発達障害の原因解明において注目すべき点は、
厚労省がWHO/UNICEFの「母乳育児を成功させるための10カ条」を後援し始めて2~3年後から発達障害が急激に増加している事である。その増加傾向は、米国でも同様である。
第4条(カンガルーケア)6条(完全母乳)の保育管理の中に潜む何かが発達障害の急激な増加に関連している可能性があると考えられる。
 
日本では昔の産湯に代わって生後30分以内のカンガルーケアが当たり前となったが、「産湯」を止めた事は新生児管理の上で重大なミスを犯している
日本の寒い分娩室(26℃)で生後30分以内のカンガルーケアは、恒温動物にとって最も危険な「低体温症⇔低血糖症」の悪循環を促進するからである。
寒い分娩室で臍帯が切断され栄養摂取が未だ出来ない赤ちゃんにとって最も注意すべき点は、カンガルーケアをいかに早く長時間するかではなく、出生直後からの体温下降をいかに防ぎ、いかに早く児を恒温状態に安定させるかが新生児管理の基本である
何故ならば、生命維持の安全を司る人間の自律神経は恒温状態でしか本来の機能を発揮する事が出来ないからである。
 
また、カンガルーケア中の“呼吸停止”は、「低体温⇔低血糖」 が原因として
■「低体温⇔低血糖」のメカニズム
1日本の寒い分娩室(24~26℃)で生後30分以内にカンガルーケアをすると、赤ちゃんの体温下降は促進され恒温状態への回復が遅れる。恒温動物である人間の自律神経機能は、低体温状態では生命維持機構(呼吸/循環/内分泌/消化管など)の安全より、低体温から恒温状態に回復させる為の体温調節機構の方を優先させる。低体温時の体温調節のメカニズムは、①放熱抑制(末梢血管収縮)と、②産熱亢進(筋肉運動:震え)による。
     放熱抑制:末梢血管収縮⇒消化管血流減少⇒腸管・蠕動運動低下⇒嘔吐↑
     産熱亢進:筋肉運動↑⇒エネルギー消費増大⇒低血糖⇔自律神経機能低下
2、高インシュリン血症の赤ちゃんを寒い分娩室でカンガルーケアにすると、「低体温⇔低血糖」の悪循環は加速される。
3、低血糖が進むと筋緊張が低下し熱産生が抑制され、低体温から恒温状態への自然回復は困難となる。
4、「低体温⇔低血糖」の悪循環が進むと、人間の自律神経系は機能マヒに陥り、生命維持機構、体温調節機構にトラブルが発生する。「低体温⇔低血糖」に陥った赤ちゃんは、恰も体温調節中枢が欠如した無脳児と似た体温変動(変温動物的)、心拍変動(サイレント)を示す。一旦、「低体温⇔低血糖」の悪循環が成立すると、①保温、②糖分の補給、③酸素投与の医学的管理がなければ、カンガルーケア中の医療事故(ケイレン、呼吸停止)はいつでも発生する。呼吸停止を早く見つけ、治療するための新生児蘇生のプロを養成するより、「低体温⇔低血糖」の悪循環に陥らないための工夫(①保温、②糖分補給、③酸素投与)が必要である。
     長崎の赤ちゃん事件は、長崎市内の産科医で昨年123150gの健常児として誕生した。
しかし、生後20分位して、カンガルーケアを行い、赤ちゃんの容態が急変、呼吸停止状態、現在赤ちゃんは、自力呼吸ができず、人工呼吸器を取り付け、脳死状態である。
      
<カンガルーケアの発祥地>
カンガルーケアは、1979年コロンビアのボゴタで始まったと言われている。
低出生体重児(2500g以下)を収容する保育器が足りなかったことから、お母さんの体温で赤ちゃんを保温してもらおうと、お母さんの素肌で抱っこしてもらったところ、赤ちゃんの体温保持はもちろんのこと、低出生体重児の生存率も改善したとされる。お母さんの育児放棄も非常に少なくなり、お母さんと赤ちゃんの愛情形成にとても役だったとしている。その後、カンガルーケアは世界に広まったとされている。
注)ここでは、保育器が足りなかったことから、カンガルーケアで不足分を補ったと記されている。そうするしかなかったのである。
ボゴダの平均気温は、下記の通り、年間を通して同じような中低気温。ボゴダは、コロンビアの首都であるが、赤道に近いものの標高2500mの山岳地帯にある。空気も少し薄い。産院の室内温度もどこまで調整されていたのかも不安が残る。赤ちゃんの致死率も不明である。
また、育児放棄は二次的なことであり、通常低出生体重児は、保育器に長期間入れ管理する。日本の場合は、その環境がすべて整い、当時のボゴダとは出産環境が全く異なる。2500グラム以上の赤ちゃんの育児放棄問題は、生後2時間後にはカンガルーケアすることができることから、大きく変わるものではない。育児放棄は、精神的な面に左右されるものであり、心のケアは産科医の仕事の一部であろう。
ボゴダの平均気温

 
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
最高気温
16.4
16.7
16.7
16
16.2
15.7
14.9
15.4
15.8
15.9
16
16.1
最低気温
5.6
6.5
7.6
8.6
8.7
8.3
7.7
7.3
7.1
7.7
7.9
6.3

 
<日本ユニセフ>
カンガルーケアを推奨した日本ユニセフに対して、30分以内でのカンガルーケアの危険性および発達障害児の急増の因果関係を調査したことがあるのか、WHOも含めて教えてもらいたいと質問した。  
ユニセフ側は、「カンガルーケアは世界に共通して利点があるので推奨している。カンガルーケアでの問題、発達障害児の急増との因果関係については、それは学会が調査するものでしょう」と全く他人事であった。
出産直後の赤ちゃんの状況とか、解明されていないところも多々あり、赤ちゃんじゃなければ分からないところも多々ある。医師であろうと大人の発想で導入が決定したようである。現実、保育器が足りないような地域は世界に山のようにある。
 
どうも当問題は、久保田医師が言うように、産湯も殆ど使用せず、急激な低体温からくる赤ちゃんの機能障害に起因しているようでならない。
 
[ 2010年3月17日 ]
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