アイコン 成人T細胞白血病「ATL」/HTLV-1ウィルス全国へ

元々九州・沖縄地方の風土病とされた難治性の血液がん、成人T細胞白血病(ATL)を引き起こすウイルス「HTLV-1」のキャリア(未発症の保有者)が、関東、中部、近畿の大都市圏をはじめ全国に拡大しているという。
推計108万人あまりのキャリアがいるというが、その主な感染ルートは母子感染だとされる。九州からキャリアの人が全国へ移動して拡がっているというのである。

主な感染経路は、母乳を介した母子感染、キャリアの母親が、3ヶ月間母乳を与え続けた場合の子供への感染率は1.7%、ところが4ヶ月以上授乳した場合は17.7%と感染率が非常に高くなるというデータとなっている。感染者の感染ルートに占める母子感染は全体の60%と高くなっている。
国立感染症研究所客員研究員の山口一成氏は、妊婦全員を対象にしたウイルス検査の徹底が急務と訴え、ウイルス撲滅を目指した全国的な総合対策が必要だとしている。
発症率も年々増加傾向にあり、現在では推計で年間約1100人発症。キャリアの高齢化も進んでおり、88年では平均58歳だった発症時の年齢が、07年には67歳に上がっている。
ATLは主に50歳以上で発症するとされ、高齢になっての治療は体への負担が大きい難病である。治療方法も、骨髄移植や多くの抗がん剤を同時に使う強い化学療法に限られている。こうした治療は、体力から対象年齢の上限が55歳まで、発症患者の20%弱にしか適用されていない。山口研究員は治療戦略を根本から考えないといけないとしている。
厚労省も09年7月特別研究班を設け、母子感染予防策の研究に着手している。 

妊婦の方は怖がることなく、キャリアの検査を受けた方が子供のためにも賢明な選択である。
 

[ 2010年8月11日 ]
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