シノケングループ研究2011年③ 回復への原動力②
<投資用マンション業界も復調へ>
同社の復活の原動力になっているのは、福岡や東京で進められている投資用マンションばかりではない。同社が長年培ってきた投資用アパート販売も、購入予定者への金融機関の融資が貸し渋りにあったものの、今では改善されてきている。
そうした販売の改善は、同社の販売用マンション・アパートに対する購入者ローンの設定が、金融機関により緩和されてきたことが大きい。
金融機関は、サブプライムローン問題から企業や個人の不動産投資に対する貸し渋りを行ってきた。同社も金融機関との業務提携などにより問題を軽減してきたものの、それでもリーマンショック後は、そうした問題が顕著となっていた。
同社の低層住宅建物(アパート)の販売面でも、08年3月期には売上高が99億63百万円に達していたものの、リーマンショック後は大きく後退して09年3月期は60億81百万円と減じ、更に09年12月期は9ヶ月間の変則決算ながら18億37百万円まで急減していた。
ところが、サブプライムローン問題やリーマンショック(08年9月)が一巡した09年下半期頃からは、それまでに不動産取得価格も急落、投資用マンションの利回り効率も改善されてきていた。そのため投資用マンション・アパートの購入者ローンに対して、一部の信託銀行が、これまでの貸し渋りから転じ、積極的に対応するようになってきたのである。
同社関係者によると、今では販売におけるアパートやワンルームという投資用不動産購入者への金融機関の貸し渋り現象は殆どなくなったとしている。
その結果、同社の2010年12期は、発表されている予想業績数値の通り改善され、今期の売上高も200億円を大きく上回り、業績も大きく改善する見込みとなっている。
シノケンの事業別販売実績推移 | ||||||||||
06/3期 | 07/3期 | 08/3期 | 09/3期 | 09/12期 | ||||||
/百万円 | 件数 | 売上額 | 件数 | 売上額 | 件数 | 売上額 | 件数 | 売上額 | 件数 | 売上額 |
低層 | 175 | 9,094 | 160 | 8,554 | 181 | 9,963 | 108 | 6,081 | 34 | 1,837 |
高層 | 11 | 5,822 | 7 | 5,731 | 14 | 13,877 | 5 | 3,546 | 2 | 2,759 |
ワンルーム | 72 | 1,334 | 135 | 2,667 | 134 | 3,063 | 115 | 2,271 | 224 | 4,909 |
不動産管理 | 1,484 | 1,811 | 2,158 | 2,418 | 1,933 | |||||
ファイナンス | 116 | 146 | 168 | 183 | 123 | |||||
その他 | 711 | 706 | 548 | 600 | 419 | |||||
合 計 | 258 | 18,563 | 302 | 19,615 | 329 | 29,779 | 15,102 | 260 | 11,982 |
・ 2010年12月期の販売高は185億00百万円予想。
連結/千円 | 平成19年3月 | 平成20年3月 | 平成21年3月 | 平成21年12月 | 平成22年12月予 |
売上高 | 19,615,256 | 29,779,943 | 15,102,137 | 11,982,081 | 18,500,000 |
経常利益 | 1,068,517 | 910,839 | -2,191,672 | -848,238 | 800,000 |
当期利益 | 733,942 | 446,155 | -4,145,838 | -953,108 | 160,000 |
純資産額 | 4,909,576 | 5,280,807 | 1,034,695 | 700,989 | |
総資産額 | 25,690,389 | 26,791,934 | 18,608,063 | 14,102,182 | |
自己資本率 | 19.0 | 19.5 | 5.5 | 4.9 | |
現金等 | 1,513,969 | 1,807,509 | 142,263 | 804,126 | |
従業員数/名 | 137 | 172 | 165 | 139 |
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