シノケングループ研究2011年④ 回復への原動力③
<リーマンショックを乗り越え>
同社の09年期の事業低迷は、リーマンショックによる不動産業界の混乱によるものである。具体的には、不動産ファンド向けに1棟売り物件として開発していた物件が、完成後購入を契約していた不動産ファンド等が、契約不履行を起こし逃げ、同社が開発資金を抱え込まざるを得ない状態に陥ったことにある。そうした物件は仙台や東京・福岡などで多発、不動産市場の激変に処分できるものは処分するなどしたものの、それでも財務バランス上、極端な売却処分もできず抱え込まざるを得ない状態に陥った。窮地に陥ったところで、同社にとって救世主となった日本振興銀行が、最終的に処分できなかった開発物件を担保に融資してくれたのであった。日本振興銀行からは、いろいろな融資条件が付加されていたようであるが、同銀行破綻で今となっては純粋な融資関係以外なくなり、同社は復活したのであった。
こうした状況から同社は、一棟売り物件の新規取り扱い物件を極力小さくしていく方針に切り替え、歯車が合ってきた関係会社向けの物件開発やアパート販売にシフトさせる。同社は元々そうした事業が本業であり、本業回帰といった方がいいのかもしれない。
また、投資用マンションの企画開発を行う同社は、開発した物件の殆どを、投資用マンション販売事業の関係会社である㈱えん(福岡、33.8%の持分法適用会社)と㈱日商ハーモニー(東京、買収して完全子会社)に対して売却することが可能となり、より安定した事業展開が今後できる体制となっている。
シノケンの借入残高推移 | ||||
借入先 /百万円 | 07/3期 | 08/3期 | 09/3期 | 09/12期 |
福岡銀行 | 1,966 | 1,806 | 1,752 | 1,203 |
みずほ銀行 | 2,589 | 1,840 | 1,596 | |
九州リースサービス | 2,288 | |||
関西アーバン銀行 | 1,840 | 1,400 | 1,300 | |
三菱東京UFJ | 849 | |||
オリックス信託銀行 | 2,065 | 613 | ||
日本振興銀行 | 4,564 | |||
新生プロパティファイナンス | 680 | |||
合計借入残高 | 16,887 | 16,127 | 12,409 | 11,660 |
㈱日商ハーモニーの09年12月期の業績 | |
売上高 各千円 | 5,132,238 |
経常利益 | 254,751 |
当期純利益 | 188,041 |
純資産額 | 1,053,286 |
総資産額 | 2,755,461 |
㈱えんの09年12月期の業績 | |
売上高 各千円 | 9,073,101 |
営業利益 | 389,200 |
経常利益 | 200,428 |
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