アイコン 9月の米雇用統計は予想上回る伸び示す

 10月7日発表された米雇用統計は、9月の雇用者数の伸びは予想を上回り、7月と8月の雇用者数も上方修正。しかし、雇用回復の歩みは遅く、失業率は依然高止まり。
 米労働省が発表した雇用統計によると、9月の非農業部門雇用者数は10万3,000人増加。
民間部門の雇用増は13万7,000人。また、7月の雇用増は12万7,000人、8月は5万7,000人にそれぞれ上方修正され、7・8月合計9万9,000人分上方修正されている。
9月の雇用数は、通信大手ベライゾン・コミュニケーションズの社員4万5,000人が8月のストライキから職場復帰したため、一時的な要因によって押し上げられている。

また、家計調査に基づく9月の米失業率は3ヶ月連続で9.1%となり、労働市場が依然として厳しい状況にあることを浮き彫りとなっている。

 ダウ・ジョーンズ経済通信がまとめたエコノミスト調査では、9月の雇用者数は6万人増、失業率は9.1%が予想されており、雇用統計は予想を上回った。
 
雇用統計は、失業者の44.6%に相当する620万人が、再就職が難しくなる6ヶ月以上の失業者であることを示し、職探しをあきらめた人や、パートタイム就労を余儀なくされている労働者などを含む広義の失業率は9月に16.5%と、前月の16.2%から上昇している。
 また、経済回復の原動力となる消費支出にとって重要な賃金は若干の増加にとどまり、全雇用者の平均時給は0.04ドル増加して23.12ドルとなった。この1年で賃金はわずか1.9%上昇したに過ぎない。
 
2008年から2009年にかけてのリセッション(景気後退)が終わって2年以上経った今も雇用市場は軟調が続いているが、今回雇用統計が改善したことで、夏場に二番底懸念を引き起こした雇用統計の悪化は一時的なものだった可能性が出てきた。
ただし、今週オバマ米大統領とバーナンキ連邦準備理事会(FRB)議長は双方とも、米経済はショックに対して脆弱であり、特に欧州の債務危機からのショックには警戒が必要と警告している。
 
4月以来、雇用者の前月比の伸びは平均して7万2,000人となっており、失業率を改善するには不十分な水準が続いている。
 この日の統計では、
専門職とビジネスサービス業の雇用が9月に4万8,000人増。この部門の雇用数は2009年9月に最低水準に達した後、89万7,000人増えている。
建設部門はこれまで低迷していたが2万6,000人増。
情報部門はベライゾンのストライキ終了によって3万4,000人増加した。
 
一方、
製造業の雇用数は、2009年半ば以降、雇用回復を牽引してきた1万3,000人減少。
政府部門も減少が続き、3万4,000人の減少。
米国郵便局の雇用数は5,000人減少。
 公共部門では1年近く雇用の減少が続いている。政府は、リセッション対策として巨額の累積赤字を削減するため、今後も雇用を削減し続けるとみられる。

 大統領選を約1年後に控えたオバマ大統領は6日、米国が新たにリセッション入りしないよう、総額4,470億ドル(約34兆円)の雇用対策法案を早急に承認するよう議会に訴えた。昨年承認された給与税減税の延長など、一部の個別条項は承認される可能性があるが、共和党の反対によって同法案が一括承認される見通しは弱まっている。
一方、バーナンキFRB議長は4日、景気回復が「息切れに近い」と警告し、景気活性化のため議会と米政府に協力を求めた。WSJ記事参照。

 世界経済の金融危機は、引き続きギリシャ・アイルランド・スペイン・ポルトガル・デクシアのベルギーの欧州金融危機問題が焦点である。

 

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[ 2011年10月11日 ]
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