アイコン 終焉を迎えるパナソニック/第3四半期 今期7800億円赤字へ サムスン比較表付

世界戦略のミス、エコポイント+地デジの反動、縮小する日本市場、超円高、三洋電機負担、タイの大洪水負担など、あまりにも負を抱え込んでしまったパナソニック、今期は空前の赤字を露呈する。
国内は、少子化、若年層の失業率の問題、若い世代の低賃金の派遣社員の増加をみても、日本市場が拡大する要素は、再度不動産をバブル化させるぐらいしか、殆ど見込めない状況にある。
外需が例え好調に推移したとしても、今の円高では工場の海外移転が更に進み、利益は計上できても、雇用とは結びつきにくい。

<パナソニックの第3四半期>

1、デジタルAVCネットワークの売上高は、2兆1,829億円(前年同期比▲16%減)となった。パソコンなどは売上を伸ばしたが、薄型テレビや携帯電話などの売上が不振で減収。営業利益は、売上減や価格低下の影響等が大きく▲327億円の損失計上。
  エコP終了の液晶TVと市場の縮小、携帯電話の国際戦略の長年の失敗、スマホで拡大。

2、アプライアンスの売上高は、9,792億円(前年同期比1%増)となった。エアコン、洗濯機、冷蔵庫などが堅調に推移し増収。営業利益は、原材料高騰の影響等により前年をわずかに下回り、786億円を計上。

3、電工・パナホームの売上高は、1兆3,228億円(前年同期比3%増)となった。パナソニック電工は、電子機器や制御機器のデバイス部門の売上が減少したものの、LED照明などの環境配慮型商品や建築関連部門が好調で増収。
パナホームは、秋以降、住宅市況に減速の兆しが見られたものの、戸建住宅を中心に建築請負事業の売上が増加したことにより増収。営業利益は、価格低下や原材料高騰等の影響により前年をわずかに下回り504億円を計上。

4、デバイスの売上高は、6,096億円(前年同期比15%減)となった。半導体の売上が低調だったことに加え、一般電子部品や電池の売上が減少し減収。営業利益は、売上減や価格低下の影響が大きく、▲173億円の損失を計上。

5、三洋電機の売上高は、9,741億円(前年同期比20%減)となった。太陽光発電システムやコールドチェーン機器などは堅調に推移したが、電子部品、白物家電、デジタルカメラ、テレビなどの売上が減少したことに加え、2010年度に実施した半導体事業の譲渡の影響もあり減収。営業利益は、売上減の影響に加え、買収に伴い計上された無形固定資産の償却費等を含めて、▲470億円の損失を計上。

6、その他の売上高は、7,769億円(前年同期比6%減)となった。FA事業やグループ内事業場向け部材の売上減により減収。営業利益は、売上減の影響等により前年をわずかに下回り、320億円を計上。
  
  第3四半期までの税引前利益については、営業外費用として早期退職一時金や固定資産の減損損失などの事業構造改革費用を計上したことなどにより▲3,505億円の損失となり、当社株主に帰属する当期純利益は、法人税等において法人税率の変更に伴う影響額を計上したことなどにより▲3,338億円の損失となった。
  更に、通期では三洋電機ののれん代2,500億円の償却などにより、赤字は家電業界前代未聞の▲7,800億円に達すると予想している。

  日本のすべての業界は、世界市場の同業者の動向を見ず、業績が悪化したとたん研究開発費を大幅に削減してしまう。一方で、サムスンのように業績向上をはかっているメーカーが、世界の家電メーカーにはあり、膨大な研究開発費及び設備投資を行い、日本勢との差を縮め、逆に引き離しにかかっている。
サムソンは既報のとおり、2012年度、研究開発費及び設備投資に3兆円をかけると発表している。これでは日本勢がいくら頑張っても韓国勢には付いていけない。もう同じ土俵(新興国のTV)では戦えなくなっている。ならば、違う土俵で戦うしかないのであるが・・・。

 

連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
11年3月期第3四半期
6,653,361
264,332
227,320
114,701
12年3月期第3四半期
5,965,398
39,540
-350,531
-333,819
前年同期間比
89.7%
15.0%
 
 
12年3月期予想
8,000,000
30,000
-820,000
-780,000
11年3月期実績
8,692,672
305,254
178,807
74,017
10年3月期実績
7,417,980
190,453
-29,315
-103,465
09年3月期実績
7,765,507
72,873
-382,634
-378,961
今期予想/前期実績比
92.0%
9.8%
 
 
12年3月期第3四半期
総資産
純資産
株主資本
株主資本率
 
7,000,907
 
2,332,466
33.3%
 
パナ社とサムスンの売上高推移比較 
売上高/億円
2006
2007
2008
2009
2010
2011
バナソニック
91,081
90,689
77,655
74,179
86,926
80,000
サムスン
56,800
65,200
80,300
92,000
102,300
109,200
・2006年のサムスンは2006年12月期、パナ社は2007年3月期、以下同。2011年のパナ社は予想数値。
 

サムソン パナソニック

 

[ 2012年2月 6日 ]
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