アイコン シャープ/大規模リストラで対応できるのか

銀行支援融資600億円超 南京・メキシコ工場を売却 希望退職拡大1万人に

<銀行支援>
経営が悪化しているシャープが、主力取引銀行のみずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行から、計600億~700億円の支援融資を受ける方向で調整に入った。満期を迎える短期借入金の借り換えに充てる。
  シャープは経営再建に必要な資金を確保するため、台湾の鴻海精密工業と資本業務提携し、出資を受けることにしたが、最近の株価急落を受け、出資条件の見直 しに向け交渉している。鴻海がシャープ株を取得する価格を下げた場合、出資額が減ることから、銀行に支援を要請していた。
 
 銀行もこうしたシャープの状況下、満期とはいえ、資金を引き揚げることはできず、更新に応じたもの、銀行にとって痛くも痒くもない。シャープに取って、今後、CP・社債・借入に対する金融機関の態度表明こそが待ち望まれるところである。
<海外工場売却>
販売不振が続くテレビ事業の立て直しにむけて中国とメキシコにあるテレビの組立工場を鴻海精密工業に売却する方向で調整に入っている。
シャープは、堺市にある液晶パネルの最新工場を「鴻海」との共同運営に切り替えるのに続き、中国・南京とメキシコにあるテレビの組立工場を鴻海に売却する意向。
工場売却はシャープにとっては、財務基盤の強化につながり、鴻海にとっては、中国とアメリカの市場に大型テレビを供給する拠点が手に入ることになる。(シャープは中国とアメリカ市場を失うことにもなる)。
 ほかのTV事業海外部門の工場は、マレーシア・ポーランドにある。
 
<国内工場の縮小や売却・整理>
 シャープは、5000名の従業員削減を表明した時、「福島工場(TV)」と「葛城工場(太陽光電池)」の縮小を表明している。
 最新鋭の液晶工場である「堺工場」も既に、鴻海と共同生産体制に入っており、それ以前の3割の工場稼働率が8割まで上昇している。
 亀山工場は、大型液晶パネルの生産可能施設であるが、大型TVが全く売れず、スマホ向け液晶パネル製造に特化する。
 
<希望退職者拡大>
シャープは2日、連結従業員数は約5万7千人のうち、3千人規模の希望退職を含む、国内外で約5千人の削減を実施すると発表していた。しかし、17日現在、更なる削減が必要と見て、倍の1万人規模の削減を検討している。
資産売却、工場売却、従業員2割の希望退職者募集など大規模なリストラの実施で、借入金の圧縮と固定費削減、赤字体質からの脱却をはかる。
<資産売却等>
 シャープが所有する東京都新宿区の市ヶ谷ビル(簿価429億円)、東京支社が入居する幕張ビル(同156億円)などの不動産を売却へ、堺工場も液晶工場や太陽電池工場の不動産を流動化させる。・・・これらの対策で約1000億円を捻出する予定。
 
支援意向の鴻海は、シャープの株価急落を受け、出資額を引き下げる方向で両社調整している。今月中にも出資の見直しや今後の協業について公表する予定である。
 
<事業再生の切り札になるか>
 シャープは、鴻海と共同で中国向けスマホ製品の販売を計画しているが、来年販売予定を今秋にも販売開始する予定である。そのために亀山工場の液晶ラインをスマホ向けに特化させる予定である。
 
シャープでは、アップルiPphone向けに酸化物半導体液晶の納入が決定したと発表している。しかし、iPphoneにはサムスン社の液晶が使用されており、サムスン納入価格に合わせられ、逆ザヤになる可能性もあると指摘されている。しかし、シャープは丸々コスト赤字を出すより、赤字を軽減することが先決と結論したようだ。
(次世代高精細液晶の酸化物半導体「IGZO」の液晶(解像度:従来品の1.5倍))
 
シャープは、鴻海の世界からの受注力に期待を寄せている。その受注の一部をシャープの恒常化土率工場に利用するというものだ。
(鴻海は昨年度の売上高は6兆円、OEMの一種である電子製品の受託生産=EMSでは世界№1企業である)
 
みずほと三菱東京UFJは、シャープに大鉈を振り落とさせるのは良いが、その後の経営基盤事業まで斬ってしまったのでは再生もおぼつかない。
また、経営陣もここ1~2年間で急膨張させた借入金の返済に目を曇らせ、会社再生のためのコア事業は何かを見失っている可能性もある。今年新しくなった経営陣であるが、各事業部門を担当している旧経営陣の延長線上であり、方針がコロコロ変わるのもそうした表れと思われる。シャープは、早期に外部の経営再建陣を入れる必要があろう。
 
<シャープの事業内容>
部門
主要製品名
主要会社名
AV・
 
 
 
通信機器
液晶カラーテレビ、カラーテレビ、
当社
 
プロジェクター、DVDレコーダー、
シャープエレクトロニクスマーケティング㈱
 
 
ブルーレイディスクレコーダー、
シャープシステムプロダクト㈱
 
ブルーレイディスクプレーヤー、
シャープマニファクチャリングシステム㈱
 
 
携帯電話機、
シャープエンジニアリング㈱
 
モバイルコミュニケーション端末、
シャープドキュメントシステム㈱
 
 
電子辞書、電卓、ファクシミリ、電話機
シャープ・エレクトロニクス・コーポレーション
 
 
シャープ・エレクトロニクス(ヨーロッパ)ゲー・
 
 
 
エム・べー・ハー
 
 
シャープ・エレクトロニクス(ユーケー)リミテッド
 
 
 
シャープ・アプライアンシズ(タイランド)
 
 
リミテッド
 
 
 
夏普弁公設備(常熟)有限公司
 
 
南京夏普電子有限公司
 
 
 
 
 
 
 
 
健康・
 
 
環境機器
冷蔵庫、過熱水蒸気オーブン、電子レンジ、
 
 
 
エアコン、洗濯機、掃除機、空気清浄機、
 
 
 
除湿機、加湿機、電気暖房機器、
 
 
 
小型調理機器、理美容機器、
 
 
 
プラズマクラスターイオン発生機、
 
 
 
LED照明機器、ソーラー・LED照明灯、
 
 
 
ネットワーク制御ユニット
 
 
 
 
 
 
情報機器
 
 
 
POSシステム機器、
 
 
ハンディーターミナル機器、電子レジスタ、
 
 
インフォメーションディスプレイ、
 
 
デジタル複合機、各種オプション・消耗品、
 
 
各種ソフトウェア、FA機器、洗浄機
 
 
 
 
液晶
 
 
 
TFT液晶ディスプレイモジュール、
当社
デューティー液晶ディスプレイモジュール、
シャープアメニティシステム㈱
 
システム液晶ディスプレイモジュール
シャープディスプレイプロダクト㈱
 
シャープ・エレクトロニクス・コーポレーション
 
 
シャープ・エレクトロニクス(ヨーロッパ)ゲー・
 
エム・べー・ハー
 
 
シャープ・エレクトロニクス(ユーケー)リミテッド
 
 
無錫夏普電子元器件有限公司
 
 
南京夏普電子有限公司
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
太陽電池
 
 
 
結晶太陽電池、薄膜太陽電池
 
 
 
 
 
その他
 
 
 
電子デバイス
CCD・CMOSイメージャ、液晶用LSI、
 
 
 
マイコン、フラッシュメモリ、
 
 
 
アナログIC、衛星放送用部品、
 
 
 
地上波デジタルチューナ、
 
 
 
高周波モジュール、ネットワーク部品、
 
 
 
半導体レーザ、LED、光ピックアップ、
 
 
 
光センサ、光通信用部品、レギュレータ、
 
 
 
スイッチング電源
 
 
 
 
 
 
<シャープ:グループの事業系統図>連結子会社78社及び持分法適用会社23
[ 2012年8月20日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサード リンク

コメント

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   

↑トップページへ

サイト内検索