アイコン 悲劇の笹子トンネル崩落人災事故 国の事故報告書骨子

国の事故調査委員会は28日、昨年12月8日午前8時5分頃、中央自動車道の笹子トン ネルで天井板のコンクリート板約270枚が約138mにわたって落下し、走行中の車複数台が巻き込まれ死者9名、重軽傷者2名が出したNEXCO中日本の 人災事故で、原因などに関する報告書の骨子をまとめた。

事故調は、設計や施工、点検など、複数の要因が重なって重大な事故に至ったとして、中日本高速道路の点検や維持管理の体制が不十分だったと厳しく指摘している。

それによると、今回の事故は、天井板や金具をつり下げていた接着剤で固定するタイプのボルトが一部で抜けたのをきっかけに、天井板が約140mにわたって連鎖的に崩落し、重大な事故に至ったと推定されるとしている。
事故原因は、ボルトの周辺に絞られるとして、設計でボルトにかかる力が、十分考慮されていなかったほか、完成時からすでに接着剤の強度が不足しているボルトがあったと考えられ、接着剤の劣化などによっても強度が低下していたなどと推定、「設計や施工の段階から事故につながる要因を内在していた」と分析している。
またトンネルを管理する中日本高速道路について、打音検査などの詳細な点検を12年間にわたって行っていなかったほか、補修を記録した書類などの保存に不備があって点検や維持管理に反映できていなかったとして「点検内容や維持管理体制が不十分だった」と厳しく指摘している。
事故調は、さらに検討を重ねてこの夏をメドに最終的な報告書をとりまとめることにしている。中日本高速道路は、点検業務の強化など、すぐに取り組める施策については直ちに実行に移しているが、委員会での議論を真摯に受け止めて、このような事故を2度と起こさないよう、『安全性向上3か年計画』に具体的な再発防止策を盛り込んで着実に実行していきたいとしているという。

<仙岩トンネル>
同じころ、同じ工法で造られた宮城と岩手の県境のトンネルでは、確実に打音検査を行い、そのたびに回収作業を行ってきているが、道路公団が形ばかり民営化され、全国で分断会社となったため、老朽化トンネルの改修情報等の共有がもたらされず、こうした結果を招いてしまった。払拭できない公務員体質は、他所に絶対頼らないということでも有名であるが、弊害そのものである。

笹子トンネルと同年に完成した仙北市と岩手県の境にある「仙岩トンネル」は、5年に1度作業員がつり天井の上にあがって点検を行い、前回の平成19年の点検では天井板165枚でひび割れなどの不具合が見つかり翌年、新しいものに交換している。
仙岩トンネルは1975年(昭和50年)に完成した全長2,544メートル、上下あわせて2車線のトンネルでコンクリート製の天井板約1万3,000枚がトンネルの上部から金具でつり下げられている。その検査は5年に一度確実に行われ改修もなされてきている。

[ 2013年5月29日 ]
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