アイコン 高齢者借入用「リバースモーゲージローン」とは/みずほ銀行 取扱開始

<老後の生活と資産の使い方>
内 閣府の平成22年の調査では、土地、家屋などの資産を老後にどう利用するかについてみると、「資産はできるだけ子孫のために残してやる方がよい」が 49.5%と約半数を占め、「資産は自分の老後を豊かにするために活用(売却、賃貸など)する方がよい)」の38.2%を上回っている。
しかし、平成13年の調べでは、前者の子孫のために残すは65.5%であった。過去10年余りで16ポイントも減少、高齢者の考え方も劇的に変化してきている。
みずほ銀行は、持家を担保に老後資金を融資する「リバースモーゲージローン」の取り扱いを7月から開始すると発表した。メガバンクとしては初めて取り扱うもので、現在は一部の金融機関でしか取り扱われていない。

<リバースモーゲージのメリットとデメリット>
リバースモーゲージ(Reverse mortgage)ローンとは、直訳すると逆抵当融資となる。住宅ローンとは逆の金融商品。どちらも持家を担保にしたローンだが、リバースモーゲージは、一般的に年金のような形で融資を受け続け、死亡時に担保となっている持家を売却することで、一括して返済するもの。収入や現金は少ないが、持家という不動産を資産として持っている高齢者は多い。老後の生活資金や住宅の改修資金などを調達しようという場合、自宅に住み続けながら融資を受けられるという点で、大きなメリットがある。

このリバースモーゲージローンをメガバンクとして初めて、みずほ銀行が取り扱いを開始する。みずほ銀行によると、詳細は現在設計中とのことだが、土地を担保に利用者が亡くなるまで終
身で融資し、利子は元本に加算するので借入期間中の返済は不要だという。まずは、東京都内の持家を対象に開始し、順次対象地域を拡大していく予定となっている。

リバースモーゲージの仕組は、取扱機関によって内容が異なる。
例えば、融資の受け取り方は、毎月や毎年、一時金としてまとめて、それらを組み合わせてなどのタイプがあり、利息を借入期間中に毎月払うもの、利息も死亡時の一括返済に含まれるために借入期間中の返済がないものなどの違いがある。

<リバースモーゲージの金融機関の3大リスク>
(1)不動産価格の下落リスク:不動産価格が予想より下落してしまうことで、契約終了前に担保割れが生じるリスク
(2)金利上昇リスク: 借入期間中に金利が予想より上昇してしまうことで、利息を含めた借入残高が増えて担保割れが生じるリスク
(3)長生きリスク: 利用者が予想より長生きすることで、存命中に担保割れが生じてしまうリスク
このほかに、相続時に担保物件の売却について相続人から異議のないように、リバースモーゲージの利用には、相続人の同意が必要となるといった注意点もある。
また、現在のところ、担保となる持家は一戸建てを対象としていることがほとんど(東京スター銀行では地域限定でマンションも対象)で、土地の評価額の50%~70%までが融資限度額となっているケースが多いとされる。

<リバースモーゲージ普及の課題>
日本におけるリバースモーゲージは、1981年に東京都武蔵野市で導入したのが皮切りとなり、いくつかの公的機関や民間金融機関が取り扱っている。しかし、上記のようなリスクがあること、特に近年は不動産価格下落によるリスクが大きいことなどから、融資基準が厳しくなっていることなどが指摘されている。
平成22年の内閣府の調査では、利用者となる高齢者(60歳以上の男女)においても、リバースモーゲージの認知度は、20.9%とまだ低い。また、リバースモーゲージを「利用してみたい」割合も7.5%にとどまっている。
日本では、住宅の建物部分の担保価値が適切に評価されていないこと、土地価格の高い大都市圏に限定されがちなことといった、担保評価に関する課題がある。
また、リスク回避のために融資額が抑えられるため、利用者にとって必ずしも使い勝手のよい商品となっていないといった課題もあり、なかなか普及していかないのが実情。

リバースモーゲージは、高齢者が持家を有効活用して、住み慣れた自宅で安定した老後生活をおくれることから、潜在的なニーズは高いと思われる。
メガバンクであるみずほ銀行が、リバースモーゲージの取り扱いを開始することで金融機関へ普及し、高齢者の認知度も高まり、それに伴って使い勝手のよいローン商品に変化していくものと思われる。
高齢者の持家という固定した資産も流動化させ、日本の金回りを良くする手段となる。最近は高齢者世帯の家計支出が大きく伸びている調査報告もなされている。

[ 2013年5月31日 ]
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