アイコン 中国貿易摩擦 変わってきた中国

欧米企業にとって、中国で暴利を貪るやり方は、今後通用しなくなるのでは・・・。
これまで、外資導入により経済発展させるという中国の経済政策に乗じて、欧米企業は暴利を貪ってきた。しかし、すでに一定水準に中国は達しており、習近平体制になり、政策も大きく変化してきている。
胡錦濤体制での経済政策は、日本の所得倍増計画に酷似、外資導入・開発により高い経済成長を成し遂げ、見合う賃金の上昇も奨励した。国民の所得増により内需も拡大した。(一方、外資系工場はコストアップに悲鳴を上げたが・・・。)

しかし、習近平体制では、胡錦濤体制の経済政策の歪みも顕在化しており、官僚汚職・腐敗、貧富差拡大、空気・河川・湖沼の環境問題、潜在化したまま民族問題、言論統制などに対し不満を和らげる必要があり、少しずつ修正へ駒を進めている。
日本では考えも及ばないが、地方都市に至るまで多くの高級官僚が乗っているベントレーやマセラティなどの超高級外車の使用を禁止する措置がとられた。それに国の金融政策の外で動いている「影の銀行」(シャドーバンキング)問題では、その資金が不動産投機や理財商品(株など債権)に注ぎ込まれており、不況下でも不動産の値上がりが続き、家賃の高騰など市民生活に悪影響をもたらしている。中央銀行による政策も寝耳に水状態で拡大し続けてきたシャドーバンキング問題もやっと、その根を絶つため、資金調達手段として用いられた香港との偽装貿易規制や金融機関への締め付けを強化し始めている。

そうした中、世界の生産基地となった中国、海外との関係では、欧米でのダンピング問題を抱えている。中国産太陽光発電モジュールを、欧州がダンピング認定した。ところが、中国は、欧州産ワインを対抗措置で取り上げた。太陽光ダンピング認定の強硬派だったフランスがいち早く降参、太陽光ダンピング問題は発表予定の制裁金などもなくなり、誓約書という形で一件落着した。
しかし、この間、中国では、国内で暴利を貪る欧米外資企業を問題視。当然これまで黙認してきたことを貿易摩擦問題から、表面化させてきたものと思われる。
中国では、国産粉ミルクの安全性問題が尾をひき、高価格でも売れる外国産となっている。ところが、その価格も度を過ぎていたようで、外国産粉ミルクの価格にメスが入るや否や、ネスレやダノンなど大手が即反応を示し、中国での販売価格を大幅値下げに踏み切った。

英国の薬品世界第4位のグラクソ・スミスクライン(GSK、グラクソ)の問題では、関係機関の官僚と癒着して値上げし、これまで暴利を貪ってきたとされ、グラクソ社員や官僚たちが当局の取調べを受けている。
 米医療会社ジョンソン&ジョンソンの2審逆転敗訴問題なども中国当局の政策面が影響していると思われる。

BMWも中国紙が問題提起している。BMW-X5シリーズの日本での販売価格は800万円台であるが、中国では本体価格に25%の関税がかけているものの円換算で1600万円台の販売価格となっている。中国人の有名ブランド好きに乗じ、あまりにも高すぎる価格で販売されていると指摘している。BMWは、昨秋、不況で欧州では売れず、その在庫処分を中国で値下げ販売、飛ぶように売れた。安くしたとしてもまだかなりの利益を獲得していたようだ。輸入元もBMW系の企業となっており、BMW系輸入元と販売ディーラーが利益を貪っていると指摘している。

中国は、国益のみを考え、アメリカと似ている面がある。国益がトータルで適っている時は、ダンピングなどの貿易摩擦を表面化させないが、業界の不満が鬱積した時や経済が後退としたときには、なりふり適わず、貿易摩擦問題を表面化させてくる。過去、日本がやられているように。
中国も外資の動向は欧州産ワインの例で見られるように逐次把握している。外資の中国国内での問題を表面化させる させないは、完全に当局の上層部がコントロールしているようである。

[ 2013年8月 5日 ]
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