アイコン 東北大学論文不正疑惑  金属材料研究所の権力争い・研究成果争いに決着か

井上明久前学長勝訴
当時、東北大学の金属材料研究では世界の最高水準であった研究論文に不正の疑いがあるとして告発され名誉を傷つけられたとして、東北大の井上明久前学長が、告発した日野秀逸名誉教授ら4人に対する1650万円の損害賠償請求訴訟事件。
名誉教授らが反訴して約2400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁(市川多美子裁判長)は29日、名誉教授ら4人に計110万円の支払いを命じた。反訴は棄却した。

判決理由で、市川裁判長は「論文に直ちに捏造、改ざんがあるということはできない。(名誉教授らは)井上前学長の社会的評価を低下させた」と判決文を読み上げた。
また、裁判長は、論文の不正疑惑については「学術論争において決着を図るべきだ」との見解を示した。

<アモルファス金属・超伝導で金属材料研究で世界一(当時)の東北大学>
東北大学が金属材料で世界の最高水準にあるのは、1914年(大正3年)本多光太郎が鉄鋼の研究に乗り出し東北帝国大学臨時理化学研究所第二部が設置されたことに始まる。
設立に当たっては住友財閥から資金の提供を受け、本多は磁性鋼の「KS鋼」を発明した。その後、住友はシームレスパイプなど世界をリードする開発力を有する原動力になった。
古いが、2001年7月発表された研究機関ランキングによると、材料科学分野における世界第1位は東北大学であった(過去10年間における論文引用件数を基準)。その成果は、材料科学分野の研究者別での論文引用件数の世界第1位である元・金属材料研究所の井上明久(当時・東北大学総長)をはじめとした「金属材料研究所」の寄与分が大きく、世界最先端の研究所の1つとなっている。

1994年、金属材料研究所の井上明久所長らのグループは、アモルファス金属が安定に存在するための経験則(井上の3経験則)を発表していた。
・ 3種類以上の元素からなる多元系であること。
・ これらの成分の原子寸法の比が互いに12%以上異なること。
・ これらの成分が互いに負の混合熱をもち、化合物がエネルギー的に安定であること。

これらの経験則を満たす成分を用いることで、大きなバルク状の試料が得られるようになり、その後の金属材料技術の発展に大きく寄与している。

なお、裁判の争点は専門家ではないため省略。
今後、日野名誉教授側が控訴する可能性もある。

 当不正疑惑では、一部の報道機関が当時一瞬報道したが、すぐ消され、その後、報道されることもなかった。
 

[ 2013年8月30日 ]
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