アイコン TPP・五輪を前にして、建築労働者不足 外人雇用を検討

TPPでは、行政サービスや自治体建設工事の入札参加が外国勢に順次解放される。東京五輪にかかわる工事以前に、建設人材不足は深刻化している。東京五輪向けの工事が本格化する前に国は、規制緩和して、外国人建設労働者を受け入れることを検討している。

年明けから始まる東京オリンピックの開催準備で、資材価格高騰とともに最も懸念されるのが建設産業の施工能力不足。官邸も施工能力不足の深刻さを認識し、急速に浮上してきたのが外国人労働者の活用。

建設技能労働者はこれまで在留資格とはなっておらず、研修の名目で労働が認められているだけだった。研修期間も最長3年で、毎年約5000人を受け入れており、約1万5000人が建設現場で働いている。現在は日本での研修を終えた外国人技能労働者の再入国は認められていない。

緊急対策では、即戦力として日本での研修経験のある外国人技能労働者の再入国を認める案が有力。また、被災地の復興工事で不足している建設機械のオペレーターを確保するため、日本のゼネコンが行った海外工事で、現地での雇用実績のある建設技能労働者を活用する案も検討されている。
TPP締結後は、官公庁発注の入札も外国勢に順次解放され、外国勢は賃金の安い東南アジアやインドから大量に建設労働者を連れてくるものと見られる。それに慣れるためにも今回、外国人労働者を恒常的に雇うことが必要と見ている。

ただ、外国人技能労働者の活用に対して、国内の専門工事業者から反発の声があがっている。建設費が大幅に上がってきているが、まだ、労働者の賃金は、法定福利費(社会保険料に相当)分ぐらいしか上がっていないのが実情。いま外国人労働者が入ってくると待遇改善が進まなくなる(建専連)と懸念している。

これまでの官公庁の入札制度に問題があった。しかし、官庁工事が予算の関係で減少し続ける中、建設企業や建設労働者は多すぎるとして、底なしの入札制度に変更、その結果、多くの企業が倒産し、多くの建設労働者が競争激化による低賃金ゆえに離脱していった。
国交省の思惑通り建設にかかわる企業も労働者も減少した。ところが、3.11の大地震の発生により一転、資材は高騰、人材も不足、それ以前に受注していたゼネコンの多くが、資材高騰・下請価格の上昇により、大赤字を露呈した。今期より安値受注はしないとして、発注先へ発注額を高くするように要請、競争入札でも赤字まで出して受注するゼネコンもなくなった。
ところが、官庁は机上で現場を想定することから現実を知らず、安い価格で発注しようとして、ゼネコンから応札さえもお断りされているのが実情である。代表例は、昨年の仙台市の発注工事の47%が応札者0、秋田市役所の建築工事、新築地魚市場建築工事もしかりだ。
技術を持ち、危険も伴う3Kの建設現場工事の労働者の日当が、1万円未満では誰も働かなくなるのは当然のことだろう。建設労働者が減るように仕向けたのは国交省はじめ工事発注の官庁や自治体である。
需給バランスが崩れ今になって労賃が高すぎるから、規制緩和して外人建設労働者を受け入れるとか、理不尽極まりない施策といえる。
国交省発注工事でも、建築予算で叩くだけ叩き(現在は80~85%の落札率、談合落札は97%)、一方で専門工事労働者の地位向上など、相反することをシャーシャーと言ってのけるお国の国交省である。
しかし、下請け側の経営者も頭に乗りすぎた場合は危険である。必ず適正受注価格というものはある。

[ 2013年12月25日 ]
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