＜主要７０都市の価格上昇大幅に鈍化＞
７０主要都市価格は前年比で100前後となっているが、経済成長が低くなっても７％台であり、その下落幅は大きなものとなっている。
中国国家統計局が発表している中国全土７０都市の４月における不動産価格のデータでも、前月比や前年比で見た不動産価格が、上昇幅など月を追うごとに縮小しているのが目に見える。(表では１２月、２月、４月の前年同月比の推移掲載)

＜バブル崩壊阻止はデータ改ざんしかない＞
中国の不動産バブルの崩壊については、収入増により客層が大幅に増え続けており、崩壊は生じないとする論者もいるが、唯一生じない方策は、統計局がデータを改ざんして常時不動産価格指数を100当たりでコントロールした数値を発表するしかないだろう。李克強首相は、経済の専門家でも知られるが、以前、国が発表する数値はまったく信用しなかった人物でもあるほどだ。それほど、数値は経済政策に万能であり、バブル崩壊の危機を消し去り、ソフトランディングさせることも可能にすることができる。
中国の貿易収支もシャドーバンキング=影の銀行の資金調達手段として、主に香港などから資金を導入させるための架空輸出がカウントされ、デタラメであることは周知の事実となっている。
　それでも、現在発表されている不動産価格指数は、前年比ほとんど上昇しておらず、現実は金利もバカにならず、投機目的の購入者の投げ売りも出てきており、崩壊要素はいくらでも存在している。
ここ２～３年前の分譲マンションでは、完売しているにもかかわらず、主に投機目的であったため、明かりがついていないマンションが山のように存在する。
　　中国は一党独裁国であり、すべての情報がコントロールされている。そうした国の実質国営企業すら資本主義の象徴たる株式市場に山ほど上場しているから、すべてが狂ってくる。
　バブルは投機により醸成され、実需により冷やされる。

＜バブル醸成３要素の２つがすでに欠落＞
　また、不動産価格を上昇させてきた３つの要素は「通貨の過剰発行」、「経済成長率」、「住宅に対する巨大なニーズ」であるが、このうち「通貨の過剰発行」と「経済成長率」は、すでに調整局面に入り不動産市場をけん引する力を失っている。
国家による不動産価格の調整(金利や融資製先)も、３００兆円とも５００兆円ともされるシャドーバンキング＝影の銀行の資金が市場へ流れ込み、なかなか機能してこなかった。しかし、それも世界からのパッシングに、当局は規制強化に乗り出し、金融機関もそうした政府の反応に不動産に対する融資を大幅に見直している。その結果、昨秋から徐々にその効果が不動産価格に現れ始め、大幅に伸びが鈍化している。

＜不動産開発を主導した地方政府の行き詰まり＞
　中国では、不動産投資の国内総生産（ＧＤＰ）に占める割合が１５％以上に達しているとされ、地方政府は財政収入の７０％以上を土地譲渡に依存している。これまで、開発を主導してきた地方政府も多額の地方債の発行をして不動産開発を行ってきた。今日の不動産価格下落や伸びの大幅鈍化により、実質、財政赤字に陥っている地方政府も多い。それに加え、こうした社債の償還金と償還財源となる不動産譲渡額とのバランスが崩れ、崩壊寸前に至っている。最後まで開発してきた不動産開発会社もまったく同じ状況に陥っている。