アイコン 中国不動産バブル崩壊へ 5つの視点からみる

米WSJは8月27日、中国の上場不動産会社の決算を分析して次のように報告している。 
中国の不動産デベロッパーは上半期に厳しい環境に見舞われ、販売低迷や価格下落に直面した。この数週間に発表された数社の決算から分かった5つのポイントを挙げてみたい。

1. 市場低迷による影響は一様ではない
 他社より好立地のプロジェクトを手がけるデベロッパーは住宅市場の低迷による影響を軽減できた。いわゆる「1級都市」や「2級都市」と呼ばれる、富裕層も多い大都市や中核都市では住宅の需要が比較的強いため、こうした都市でより多くのプロジェクトを手がけるデベロッパーは市場低迷の衝撃をまともに受けずに済んだ。しかし、比較的小さな都市で事業を展開し、ますます悪化する供給過多に苦しんでいる中国海外宏洋集団のようなデベロッパーは急激に業績が悪化している。

2. デベロッパーの利益率は縮小傾向に

 今年の中国の住宅市場では、値引きが当たり前になり、デベロッパーの利益率を蝕んでいる。土地の価格は依然として高いため、利ざやは縮小傾向が続くとアナリストはみている。

3. 在庫は依然として過剰
 住宅物件の売上高で世界最大の万科企業を含む多くのデベロッパーは引き続き在庫の消化をすすめる方針だ。これはさらなる値下げを意味する。万科は最近、アリババのネットオークションサイト「淘宝網(タオバオ)」と共同で行った販促キャンペーンで、最大200万元(約3400万円)値引きした。

4. 増え続ける負債
 デベロッパーはキャッシュフローの確保が厳しくなるのに伴い、借り入れを増やしつつある。龍湖地産の6月末の負債資本比率は昨年末の58%から66%に上昇した。合生創展集団は昨年末の59%から69%へ上昇したという。負債として計上されない「永久債」を通して資金を手当てするデベロッパーの"技"を警告するアナリストもいる。また、銀行よりも金利の高い信託会社からの借り入れを再開し、コストの負担増に直面しているデベロッパーもある。バークレイズ・リサーチの不動産アナリスト、アルビン・ウォン氏は、国有の保利置業集団は上半期に信託会社から継続して融資を受けたため、金利の支払いがかさんだと指摘する。

5. 土地の購入を控える業者
 不動産調査会社の中国房地産指数系統によると、300都市を対象に調べた土地の販売高は7月に前年同月比で44%減となった。需要の冷え込みを受けて、デベロッパーが土地の所有を増やすことに二の足を踏んでいるためだ。野村証券のアナリストは「土地の競売がうまくいかないケースが増えるとみている。このため、向こう数カ月間は土地の販売が大幅に落ち込むだろう」と述べた。

以上。WSJ



中国の不動産バブルは、リーマン・ショック後、内需拡大目的に配賦された巨額の公共投資用資金が地方政府によって不動産開発事業に使用されたことに始まる。地方政府と不動産開発会社が結託して、国民の住居地を収奪(中国はすべて国有地であり、住民とは賃貸契約が結ばれている。その契約を地方政府は突如一方的に打ち切り、追い出して開発が行われてきた)、膨大な開発が行われてきた。そうしたことから、地方にあっては、地方政府主導で大開発が行われたものの入居者がなく、幽霊都市に化かしている高層建物が林立する開発団地も多い。
人口が増加している地方都市ならば、そうした現象は少ないが、そうではない地方都市は、こうした膨大な開発資金の回収ができず、赤字地方債の乱発で凌いできたが、中央政府から、そうした地方債の発行を制限され、財政難から窮地に陥っている地方政府も多い。もうその地方には新たなる公共投資の余力はない。
しかし、中国の大局から見れば、不動産バブルは経済成長をもたらし、これまでは成功を収めてきた。ところが、不動産バブルは投機目的により価格が跳ね上がり、実需と大幅な乖離が生じ、シャドーバンキングの投機資金も政府により多くが監視下に置かれ、現在、実数で崩壊へ向かっている。
中国政府当局が発表する主要70都市と不動産価格指数も、昨秋から確実に下落し始めている。
中国の沿岸部に主要都市は集中し、また大地震の発生も少ない、しかし、M6程度で深度が浅い地震でも発生すれば、これまでのデタラメ建築が災いし、多くの目新しい建物が崩壊の危機に瀕するものと思われる。こうした建物もバブルがもたらしたといえる。
中国バブルを崩壊させたら、世界経済も大きな影響を受けるだろうが、一方で、南シナ海で支配地を拡大し続ける軍事政策も頓挫するものと思われる・・・。

http://n-seikei.jp/2014/08/post-23628.html

[ 2014年8月28日 ]
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