アイコン 御嶽山火山爆発 解説情報の経緯検証と問題点

御嶽山火山爆発 解説情報の経緯検証と問題点
火山名 御嶽山 火山の状況に関する解説情報 第1号
平成26年9月11日10時20分 気象庁地震火山部
<噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)が継続>
1.火山活動の状況

 御嶽山では剣ヶ峰山頂付近で火山性地震が増加しています。
 火山性地震は昨日(10日)昼頃から増加しています。振幅はいずれも小さく、火山性微動は発生していません。
 噴煙の状況は雲のため不明です。地殻変動には、特段の変化は見られていません。
 9月9日からの火山性地震及び火山性微動の回数(速報値)は以下のとおりです。

御嶽山 解説情報
 
火山性地震 
火山性微動
 
9月9日
10
0
 
 10日
52
0
 
 11日 
85
0
解説情報第1号
 12日
10
0
解説情報第2号
 13日
7
0
 
 14日
8
0
 
 15日
27
0
 
 16日
12
0
解説情報第3号
 27日
11時53分頃大爆発
解説情報第4号5号、6号

 (注)文書は第1号の分から第3号文書まで内容は変わらず。
 火山性地震の日回数が50回を超えたのは、2007年1月25日以来です。

2.防災上の警戒事項等
 御嶽山では、2007年にごく小規模な噴火が発生した79−7火口内及びその近傍に影響する程度の火山灰等の噴出の可能性がありますので、引き続き警戒してください。
 地震活動が活発になっていることから、火山活動の推移に注意してください。
 今後、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。
<噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)が継続>
以上。

御嶽山には地殻変動を調べる傾斜計は1台しか設置されていなかった。大きな山に対して1台では、微妙な地殻変動はそもそも捉えることもできなかった。火山の爆発を察知するには火山性地震波と火山性微動だけではない。
当解説情報の第5号(内容は4号の修正だと思われる)で4号でも、25日・26日の火山性地震の回数は掲載されていない。(1号では前々日から分が掲載されていた)

<火山観測網>
防災科学技術研究所がプロジェクト研究「火山噴火予知と火山防災に関する研究」の一環として展開している、地震・地殻変動観測を主とした火山観測網。
現在,富士山,三宅島,伊豆大島,那須岳、硫黄島に設置されている。
各火山には3箇所から6箇所の火山観測施設が置かれており,地震計や傾斜計など火山活動を観測するセンサーによる観測を行っている。
各施設で得られたデータは,電話回線や衛星通信を利用して常時連続的に研究所に送られ,地震波の検出や震源の決定などの処理を行って保存される。
これらのデータは、防災のための情報として公開されるとともに火山噴火予知研究のデータベースとして利用されている。
火山観測施設には,さまざまな観測装置と,データを研究所まで送信するテレメータ装置が設置されている。
このうち短周期地震計と傾斜計は,地表付近の堆積物による地震波の増幅やノイズの影響,降雨や地面の温度変化,気圧の変化など,火山以外の要因による変動の影響を出来るだけ避けるため,深さ100~200mのボアホールの底に設置されている。
また,噴火活動が活発化した時の停電や電話回線の切断に備えて,ソーラーパネルや衛星通信用のパラボラアンテナも設置している。

短周期地震計
短周期地震や低周波地震や火山性微動を主に観測するために使用します。地表付近の堆積物による地震波の増幅やノイズの影響を出来るだけ避けるため,100m~200mの深さの観測井の底に置かれている。

広帯域地震計
広帯域地震計は、主にマグマの活動や噴火に伴って発生する周期の長い地震や微動を観測するために使用する。

長周期地震(低周波地震)
火山特有の現象である通常の地震(火山性地震)よりもゆっくりとした周期を特徴とする地震のこと。通常の地震では 5~20Hzくらいが卓越するのに対して、低周波地震では1~2Hzであることが多い。普通マグニチュードは1~2程度。これらは、表面での噴火活動と関連して発生する浅部低周波地震(地表から地下3kmくらいまで)と、表面活動とは直接関係ないものの、火山下15~30km付近で発生する深部低周波地震がある。
このような低周波地震は、マグマや熱水が関連して発生するものと考えられているが、詳しいことはまだ分かっていない。

火山性微動
火山周辺で発生する継続する振動のことを総じてこのように呼ぶ。地下のマグマや熱水が地下の割れ目を通過したりすることにより発生すると考えられている。
火山での地殻変動観測について
噴火直前のマグマなどが上昇していく過程では、火山はわずかに変形する。その変形を精密に観測することによって,噴火を予知できる場合がある。
観測データが十分あれば、上昇したマグマの位置、量、形を推定することが出来る。また,噴火の準備期間にもマグマがマグマ溜りに少しずつ蓄積されることによる火山の膨張が観測されることがある。

火山観測網に設置している地殻変動観測装置の種類
傾斜計
傾斜計は、地表の傾きの変化を観測するセンサーで、0.1マイクロラジアンの変化を捉えることができる。0.1マイクロラジアンは10km先が1mm上下する傾きに相当。降雨や地面の温度変化,気圧の変化による変動を出来るだけ避けるため、短周期地震計と同様に,100m~200mの深さの観測井の底に置かれている。

GPS
GPS衛星からの電波を受信して,その場所の位置を精密に測定する装置。カーナビゲーションで利用されている単独測位法とは異なり,2点以上で受信した電波の位相差を利用することによって数mmの精度で位置を測定することが出来る。

歪計
歪計は、岩盤の伸び・縮みを観測するセンサー。防災科研の火山観測網で使用している歪計は3成分歪計と呼ばれるもので,水平の面積歪とせん断歪を測定することが出来る。

火山観測網に設置しているその他の装置
磁力計

磁場の変化を計測するセンサーです。火山を主に構成する岩石は磁気を帯びているが、マグマが上昇することなどにより岩石の温度が上昇すると磁気が失われる。
磁場の変化を観測することにより,地下の温度変化などの火山活動の変化を推定するために使用される。
防災科研の火山観測網で使用している磁力計は,フラックスゲート型3成分磁力計。

重力計
重力の変化を計測するセンサーです。地盤の上下や地下のマグマの移動などによる重力値の変化を捉えるため設置している。防災科研の火山観測網で使用している重力計は,シントレックス社製の相対重力計CG-3M。
以上、
防災研も気象庁も御嶽山が爆発するとは毛頭考えていなかったことから、観測火山では3基設置されている傾斜計も1基しかなかった。また、そのため、固定観念が禍し、解説情報第3号まで爆発するとも考えていなかった。
参考、
火山名 御嶽山 火山の状況に関する解説情報 第5号
平成26年9月27日16時30分 気象庁地震火山部

<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
1.火山活動の状況

 御嶽山では、本日(27日)11時53分頃に噴火が発生しました。
 山頂火口の状況は視界不良のため噴煙の高度は不明ですが、中部地方整備局が設置している滝越カメラでは南側斜面を噴煙が流れ下り、3キロメートルを超えるのを観測しています。11時41分頃から連続した火山性微動が発生し、現在も噴火が継続していると推測されます。
 16時までの火山性地震及び火山性微動の回数(速報値)は以下のとおりです。
9月27日11時 82回
9月27日12時 59回
9月27日13時 31回
9月27日14時 23回(第4号)
9月27日15時 11回(第5号)
9月27日16時  7回
9月27日17時 16回
9月27日18時 28回
9月27日19時  1回(第6号)
 噴火発生後も火山性地震の多い状態が続いています。
2.防災上の警戒事項等
 御嶽山では、火口から4km程度の範囲では大きな噴石の飛散等に警戒してください。
 風下側では火山灰だけでなく小さな噴石(火山れき)が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。
 爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。
 今後、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
以上、

火山性微動の回数については掲載されていない。

[ 2014年10月28日 ]
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