アイコン 外国人技能研修生 受入組合の搾取が低賃金に 昨年失踪最多4851人

10年間で2万5千人、
日本で働きながら技術を学ぶ「外国人技能実習制度」をめぐり、受け入れ先から失踪した実習生が4千人を超え、過去最多となったことが6日、法務省への取材で分かったと報道されている。  
平成26年までの10年間では約2万5千人が実習先に無断でいなくなっているという。

過去に、外国人技能研修生の受入業務を手伝ったことがあるが、外国人はとにかくまじめだ。研修生でも一番多い中国人の場合、中国での賃金も上昇し、日本での妙味は薄くなっている。彼らは、技能研修とは名目ばかりで、稼ぎに来ているのであり、政府も法務省もはっきりそうしたことを認めるべきだろう。
また、法務省は管理しやすいように、現行の研修生受け入れ機関を、大手企業や組合に制限していることにも問題がある。中小企業の場合は、組合を通して受け入れている。その組合が・・・。

<雇用者側の負担額は日本人と変わらず>
雇用する側の研修生に対する負担額は、一人当たり18万円前後、日本人を雇用するのとまったく変わらない。
しかし、日本人の若者は3K労働や農家の作業を嫌い、就職者が限られているのが現状で、研修生のニーズは建設業や農業に高くなっている。

<中間搾取>最低賃金法適用されず
法務省は、こうした研修生の受け入れについては、組合などの非営利団体を介することを条件としている。こうした受け入れ組合は、研修生が渡航してきた場合、若干の日本語研修や日本の生活の決まり事などを研修し、事業者に送り出し、その後も雇用者・研修生双方の相談事に乗っている。
また、中国側も研修生の派遣に法人が組織だって行い、中には、大きな学校並みの施設を擁している研修生施設もある。中国側は希望する職種(=日本側のニーズに沿う)の基礎知識や日本語のイロハを教育して送り出している。
また、研修生は田舎の者が多く、借金して日本に来ている。

こうした制度の中で、
まず、雇用主は、組合に対して5万~6万円を管理費で毎月取り上げられている。その管理費は日本側の組合と中国側が大体折半している。
研修生の月給が18万円の場合、5万円~6万円差し引かれ、13万円前後になる。その13万円から、宿舎代が差し引かれ、手元に残るのは10万円前後、渡航費など毎月借金を支払い、手元に残るのは8万円前後となる。
その8万円前後で食事をし、また親元にも仕送りしている。
18万円-管理費の中間搾取6万円-宿舎代・一部の食事代―借金など=手元8万円前後

<研修制度の罠>
外国人研修制度には、多くの問題がある。
 入国管理局に対して研修項目を事前に届け出ておく必要があるが、ビザ更新時に、とある研修生が入国管理官に対して、「暇なときには外部からの電話も取っていた」と話したことから、研修目的にはないとして、研修生はビザ更新されず、強制帰還となった。
 このように、研修目的以外の仕事をさせ、見つかった場合、研修ビザがその段階で打ち切られ、帰国するしかなくなる。
研修生の責任でもないにもかかわらず、帰国を余儀なくされる。膨大な借金をして日本へ来ており、そのまま帰国させた場合、多くの借金だけが研修生に残ることになる。
しかし、研修生たちは、経営者に気に入られようと必死に言われる仕事をするのも事実だ。雇用する側に問題がある。雇用者側に好き勝手に要らないとされれば、それでも強制帰還だ。
  受け入れていた企業が倒産するとか、特別の事情がなければ、同業でも勤務先変更は許されないのが現実だ。
こうした、研修制度の厳しい制度や不手際を研修生の責任に問うことは酷といえよう。
研修生たちは、こうした強制帰還の恐怖も有している。
 
<逃亡の背景>
日本で一番多い外国人は今や中国人、中国人たちは横の連絡を取り合っており、条件が悪ければ、良い方に鞍替えする。しかし、日本の研修の制度では、受け入れた雇用者のところから変わることは許されていない。変わりたければ帰国するしかないのだ。

また、受け入れた雇用者が研修生をどんなにコキ使おうと、問題にはまったくならない。残業料なしなど日常茶飯事となっている。
問題になるのは、強制帰国を前提に弁護士事務所などに救いを求めたときだけだ。
そうした、問題が山のようにあり、現実問題となりながらも、一向に国は改善せず、今も8年前と同じ状況だ。

国は労働者不足から、研修生を増加させ、それも研修期間をこれまでの3年間から5年間に延長するという。だが、臭いものには蓋をしたまま、こうした状況を続ければ、日本の信用はますますなくなるばかりだろう。

<日本の研修生受け入れで組合は暴利>
日本の受け入れ組合は、暴利をむさぼっているのが現状だ。
組合が一人の研修生から2万5千円受け取ったとしよう。
現行制度では3年間同じ研修生を働かせることができる。
組合は、毎年50名受け入れた場合、
1年目は2.5万×50名×12ヶ月=1,500万円
2年目はその倍の3,000万円、3年目からは4,500万円が収入になる。
組合の管理費用など大したことはない。パソコンなどの事務機器と専任1名と補助1名を付け、あとは本来の組合の事業を兼務させたらよい程度。
研修期間が5年間になれば、7,500万円の収入になる。2から3名の担当者が必要だろうが、それでもボッタクリの組合となる。

組合は、営利法人ではないため出資者に配当しなければよいだけで、組合の理事たちにいくら報酬を支払ってもかまわないことになっている。NPOもしかり。

<最後に>
研修生を雇用している経営者は、真から研修生に対応している経営者も多い。東日本大震災で某水産加工会社の専務は、中国人の研修生ら20名を無事避難させた後、津波の犠牲になったという話も中国で大々的に報じられていた。
しかし、研修生保そやせば増やすほど、本人に最低賃金額が行くようにしなければ、逃亡は多くなるだけだ。
日本を夢見て来た研修生たちが、あまりに安い報酬に逃亡し、日本で悪に手を染めることになる。
  国は研修生の報酬も含めた制度をしっかりしなければ、研修目的で入国し、ソソクサと逃亡する不法滞在目的の確信犯たちが多く日本にやってくることになる。

国は少子高齢化・人口減が現実のものとなった今、現実の問題を直視しない公益財団法人 国際研修協力機構(JITCO)に対し大枚を流す前に、言葉のごまかしのような研修制度そのものを見直すべきだ。

[ 2015年3月 9日 ]
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