アイコン 横浜のマンション「パークシティLaLa横浜」全棟建替えへ/「パークスクエア三ツ沢公園」は

スポンサード リンク
 

三井不動産レジデンシャルが販売した横浜市のマンション「パークシティ LaLa横浜」(全3棟全705戸)の1棟が傾いた問題で、同マンションの管理組合は27日総会を開き、全3棟の建て替え方針を住民に提案して承認された。
今後は建て替えを前提にした手続きが進み、区分所有者5分の4以上の合意を得て秋までに正式決定する。

全国に広がった杭打ちデータ改ざんのきっかけとなったマンションは、全棟建て替えに向かって動き出した。
 総会では3棟全705戸のうち委任状を含め589戸分が議決に必要となる。
これに先立ち、管理組合は1月15日、住民アンケートの結果で、全棟建て替えを希望する住民が全世帯の89.1%で、5分の4の賛成を上回ったと発表している。

<三井不動産 全棟建替前提を表明済み> 
マンションを販売する三井不動産レジデンシャルの藤林社長は、住民説明会で「全棟建て替えを前提に今後協議させてほしい」と表明している。藤林社長は、三井不動産の取締役でもあり、その発した言葉は重い。

今後は、3年半かけて建て替えることになろうが、その全費用負担(同社が解体・建替工事費、全戸一律300万円の慰謝料と引っ越し費用などの負担)は巨額になるだけに、その費用負担をめぐり、同社とゼネコン・下請施工業者との係争事件に発展するものと見られる。

これまでのマンション建て替え問題でも、問題の建屋は別にしても、改修工事で地震等に対して安全だと第3者機関で結論が出れば、建て替えられた事例はないだろう。
姉歯の構造偽装事件と同じ時期に発生した福岡篠栗の傾き分譲マンション係争事件は、事業主兼建設会社(事業主子会社)は慰謝料で和解している。姉歯の偽装で構造計算上、危険建物認定建物は建て替えられている。

「パークシティ LaLa横浜」では、傾斜問題が現に発生している1棟ではなく全棟建て替え、事業主×ゼネコン・下請け間で裁判ともなれば、今後のゼネコンや下請けの受注の仕方にも影響を与え、判例が注目される。それも今回は、ゼネコンは三井住友建設であり、事業主と同じ三井住友財閥グループ、一次下請けの日立テクノロジーズはペーパーで入っただけで、三井住友財閥系と実施工事の旭化成建材=旭化成との直接対決の係争事件となる。
ただ、たまたま大手の旭化成子会社が下請けの実施工事をしているというだけで、一般的にそれほど財務体力がある施工業者が下請け受注しているわけではない。

旭化成は、問題の一棟だけではなく、こうした巨額費用の請求を受けても、支払いについては戦わねば、株主から経営陣は責任を追求されることになる。今のアメリカ追随主義、上場企業にとって取引客より株主が神様になっている時代だ。

<住友不動産の「パークスクエア三ツ沢公園」>比較されてしまう「LaLa横浜」の例
同様な問題が発生している住友不動産が販売した「パークスクエア三ツ沢公園」(3棟建、2003年竣工、横浜市西区宮ケ谷の11階建、設計施工は熊谷組)
「パークスクエア三ツ沢公園」(全260戸、全3棟)では、住友不動産が、傾斜問題のB南棟1棟だけの建て替えをすでに決定している。
2014年10月7日時点では、B南棟(65戸)で8本、B東棟で1本、A南棟で1本の基礎杭が支持層に届いていないことが判明していた。B南棟で傾斜問題を発生させ、今回鉄筋切断問題まで浮上した。

三井不動産の「パークシティ LaLa横浜」に対する動きを見て、「パークスクエア三ツ沢公園」のほかのA棟B東棟も含む管理組合が全棟建て替えに動き出すことも予想される。ただ、A棟については横浜市が、改修工事をすれば問題ないとの判断をしているようだ。

事業主の三井不動産R社長表明と組合の全棟建て替えに動き出した三井不動産の「パークシティ LaLa横浜」に対し、その比較面から住友不動産も「パークスクエア三ツ沢公園」の全棟建て替えに動き出したようだ。
これは、2月26日に熊谷組が横浜市に対して報告した鉄筋切断問題が新たに浮上したことからと思われる。
27日の現地調査では、基礎部分に類するコンクリの穴「スリーブ」(配管穴、上水・下水・電気などの配管用穴)計315ヶ所のうち、23ヶ所で鉄筋を切断して穴を開けていたもの。
「スリーブ」は本来、コンクリを打つ時からすでに空洞が開けられており、現場所長が鉄筋工に設計図面どおりに開けさせずコンクリを打ち込み、後で気付き、後追いで穴を強制的に開けたか、熊谷組の設計部門が図面でスリープ位置を指示していなかった可能性の2つに1つしかない。

(同様の問題は、三菱地所Rが港区で、2014年3月引き渡し予定で開発していた平均単価1億4千万円の超高級マンション「ザ・パークハウスグラン 南青山高樹町」(86戸、ほぼ完売)において、鹿島建設が全6000ヶ所のスリーブのうち約600ヶ所でスリーブを入れず、後追いでスリーブを入れたものの鉄筋切断等から強度不足問題が指摘され、購入者との契約解除の上、建て替えが決定した。ただ設計は三菱地所設計が行っており、設計と建築のいずれの責任かは定かではない。しかし、その多さから鹿島の責任と見られるが・・・)

こうした問題から、「パークスクエア三ツ沢公園」は全3棟の信用問題にも関わり、住友不動産は全棟建て替えに動き出したものと見られる。今同じ新築物件を購入しようとすれば5割近く高く、入居者は当然、引越し・仮住まいなど経費全額を住友不動産持ちで、全棟建て替えを希望している。
ただ、ここでもA棟建て替えの費用負担問題は事業主とゼネコン側の問題は残る。B棟東等も同じことが言えるかもしれない。
ゼネコンや下請け建設業者にとっても、判例も含め注目される横浜の当2つの物件となっている。

<「パークシティ LaLa横浜」と「パークスクエア三ツ沢公園」の本来の「スリーブ」工事>
<「パークシティ LaLa横浜」と「パークスクエア三ツ沢公園」の本来の「スリーブ」工事>

 

[ 2016年2月29日 ]
スポンサード リンク
 

 

コメントをどうぞ

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   
スポンサード リンク
 


PICK UP


PICK UP - 倒産

↑トップへ