アイコン 韓国自動車会社の協力企業の危機 韓国GM・ルノーサムスン・双龍の危機

Posted:[ 2020年1月24日 ]



韓国自動車企業の経営難が部品会社の危機につながっている。

国内自動車部品会社の4社に1社は赤字を免れず、業界全般に危機感が広がっているという指摘が出ている。

自動車業界によると、2018年の部品上場企業83社の営業利益率は平均2.3%にすぎなかった。うち21社(25.3%)は赤字だった。

一次協力会社505社に範囲を拡大すると状況はさらに深刻。
これら会社の平均営業利益率は1.9%と、上場企業の平均値を下回った。
赤字企業も23.6%の119社だった。
産業研究院のチョ・チョル研究委員は「規模が小さい部品会社であるほど外圧に大きな影響を受ける。2019年(1~9月)に入っても赤字企業は4社に1社(24.1%)程度だった」と説明した。

自動車部品会社の危機が本格化したのは7年前からというのが業界の分析もある。



2010年以降、自動車企業が海外生産を拡大し、部品会社の規模も拡大したが、2013年から成長が鈍ったという説明。中国など海外での自動車生産が減少した影響が大きい。

国内部品産業で発注者ブランドによる生産(OEM)の売上高は2012年から増えず、2014年以降は持続的に減少している。2019年(1~11月基準)の部品会社の輸出は前年同期比▲3.1%減少している。

チョ研究委員は「自動車企業の経営悪化と生産減少で国内の部品生産基盤が崩れている」とし「赤字が続く双龍自動車、ルノーサムスンなどに納品する会社の経営状況は最悪水準」と伝えた。
最低賃金の大幅増と週52時間勤務制など政府の規制までが重なり、部品会社が危機に追い込まれている。
韓国自動車産業協会の鄭晩基会長は「最も急がれるのは弾力勤務制や選択勤務制などの週52時間勤務制補完立法だ」と述べている。
以上、中央日報参照

現代自動車も起亜自動車も営業利益の良い中大型のSUVが韓国や米国で大ヒットし、営業利益を大幅に向上させている。
しかし、2019年の世界販売台数はともに落ち(現代▲3.6%減の442万台、起亜▲1.5%減の277万台)ており、協力工場によってはまったく喜べない。

韓国GM(▲9.9%減の41.7万台)、ルノーサムスン(▲22.0%減の17.7万台)、双竜(▲5.6%減の13.5万台)にあっては、協力会社の状況は上述以上に深刻と見られる。韓国の場合、協力企業は垂直型で横断型ではないため、好調な自動車会社への納品は限られる(好調な自動車会社はないが・・・)。

韓国の自動車工場は、文政権を支える左派系で強硬路線の民主労総が組合を支配しており、毎年賃上げ交渉で賃上げだけではなく各種要求を突きつけ、要求が受けられなければ必ずストを打っている。
しかし、ルノーサムスンに見られるように、民主労総による争議は破綻しかかっている。ルノーサムスンはストに対してスト参加者に対してロックアウトして会社側が対応しているが、スト参加者は20%にとどまっているという。
サムスンは昨年末までに出資契約が終了しており、株式を売却するとしていた。当然名称もサムスンが消える。しかし、そうなれば韓国民が購入しなくなるおそれがあるという。
ルノーサムスンの2019年の落ち込みは、自社の車両の販売不振と日産ローグ(エクストレイル)の米輸出車が米国での販売不振でOEM生産が減少したことにある。

文政権は自ら招いた不況による失業率拡大を財政投入で、官公庁による短期就労を拡大させ、表面的に失業率を押さえ込んでいるが、実質的にはOECD加盟国で青年失業率は最悪となっている(OECDでは食いつなぎの短期バイト者は失業者扱い)。

ルノーサムスンの労働者も会社あっての組合だとして、スト参加者が昨年9月から減り続け、こん日の20%まで落ち込み、民主労総のスト路線は破綻に追い込まれている。

当然、ルノーサムスンが撤退した場合、労働者は失業することになり、失業しても不況で正規で雇用するところもなく、民主労総離れが進んでいる。

韓国GMでも再び経営不振に陥っており、印マヒンドラ系の双竜にしても経営不振が続き、文政権支援団体の民主労総との葛藤が続いている。
双龍は、文在寅氏の直接の要請に応え、印マヒンドラが双龍を購入する前の2008年にリストラされた従業員を会社に回復させたが、経営不振から政府系の産業銀行からの融資を申し入れている。断れない文政権である。

韓国GMも群山工場閉鎖に伴う争議で、更なるリストラに対し、産業銀行からの巨額融資を勝ち取り収拾させたが、再び販売不振で労組の対立となっている。GMはすでに韓国GMの研究開発部門を独立させGM本体の直系にし、いつでも撤退できる体制を整えている。

こうした韓国の自動車会社や協力企業の危機は、文政権の労働政策と労組支援策に大きく影響を受けている。

今年から来年にかけて、文政権が支援する光州市立自動車受託生産工場(2019年末着工、2022年本格稼動予定)の開設において、現代自動車が生産委託することから、文政権を支える民主労総の現代自動車労組と文政権が直接対峙することになる。光州市が再び闘争の場となる。


 

 


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