オリンパスのいかがわしい買収劇 元米野村證券マンのサガワ氏浮上
オリンパスの儲け頭は、今やカメラのオリンパスペンではない。内視鏡では世界シェアの75%を有している。2008年2月その医療機器分野で英医療機器メーカー「ジャイラス」社を買収したが、その買収について、多くの疑問点が浮かび上がり、その真相を突き止めようとした社長が、会長らに解任されるという異常事態となっている。
「ジャイラス」社の売上高は、500億円弱、総資産はノレン代約600億円含め約1,000億円。買収価格も2,117億円という破格値であるが、FA(フィナンシャル・アドバイザー)に対して687億円という巨額が支払われていた。
そうしたことを真相究明、菊川剛会長と森久志副社長に対して辞任を要求した英国人社長が逆に会長らにより更迭され、大きな問題となっている。
(オリンパスは、今では世界企業であり、外国ハゲタカ株主も多く、会社権力者が好き放題できる日本企業では全くなくなっていることにウ頓着過ぎている。)
ロイターによると、
オリンパスのマイケル・ウッドフォード前社長から入手した書類によると、同社をめぐるスキャンダルで、日系人の元ウォール街バンカーが重要人物として浮かび上がってきた。
同書類によると、元ノムラのバンカー、ハジメ・ジム・サガワ氏は、オリンパスがフィナンシャル・アドバイザー(FA)として5年前に起用し、6億8700万ドルの手数料を支払ったケイマンに本社を有する金融会社(事務所:ニューヨーク)を所有していた。
ロイターは18日、米フロリダ州ボカラトンにあるサガワ氏の自宅を訪ねたが、同氏は不在だった。代わりに姿を現した同氏の妻エレンさんは、サガワ氏は旅行中だと述べ、オリンパスをめぐるスキャンダルへのサガワ氏の関与についての質問に「夫は長年ウォール街で働き尊敬されてきた。夫は無実潔白です。私が保証します」と答えた。エレンさんはサガワ氏の携帯電話番号をロイターに提供したが、電話をかけると留守番電話サービスにつながり、サガワ氏からの返事は得られていない。
ウッドフォード前社長は前週、突然解任された後、オリンパスが英医療機器メーカーのジャイラス買収で、FAに買収価格の3分の1に当たる多額の手数料を支払ったことに警鐘を鳴らした。
前社長は、在職中に大手会計事務所プライスウォーターハウス・クーパーズ(PwC)がこの手数料に関して実施した調査書のコピーをロイターに提供した。
PwCはこの調査書についてコメントを拒否した。調査書のコピーには機密扱いと書かれ、作成の日付は明記されていなかった。
手数料の支払いで不正はなかったとしているオリンパスは、手数料を支払ったアドバイザーの詳細を開示していない。
PwCの調査報告書によると、サガワ氏が主要アドバイザーであるAXESの代表だったことが示されている。ただ、資金が最終的にどこに流れたかは不明としている。
PwCの調査報告書は「サガワ氏は、ジャイラスの案件に関連してAXESを代表していた。同氏は、ノムラ・セキュリティーズに勤めていたニューヨーク駐在期間を含め、1980年から現在まで米国に居住している」としている。
また、報告書によると、AXES設立前にドレクセル・バーナムやペインウェバーでの勤務経歴も持つサガワ氏は、AXESの社長であり、関連企業で最終的に多額の手数料を受け取ったAXAMの取締役のように振舞っていた。
ただ、報告書は「オリンパスによるジャイラス買収に関しては、取締役会とサガワ氏あるいはAXESとの間に個人的な利害関係がなかったことを取締役会が確認した」としている。
エレンさんは、サガワ氏がAXAMの取締役だったことを否定したが、夫の仕事について限られた知識しかないことを認めた。
ウッドフォード前社長は、日本と英国の監督当局にこの問題を通知したが、オリンパスの不正を特定する申し立てを行うには至っていない。同氏は、この件について疑問を呈した後、解任されたとしている。
PcWの調査報告書は「オリンパスのこの取引に関する最終コストはかなり大きいが、経営陣が取った複数の行動の結果であり、疑問の余地があることから懸念の原因となっている」と指摘。
「これまでに実施した調査に基づくと、不正行為があったことを確認することはできないものの、金額の規模や異例の決断が下されてきたことを踏まえると、現時点でその可能性は排除できない」としている。
報告書によれば、AXESは休眠会社で、同社のNYの住所の警備員は、ここ数年オフィスは閉じられていると話している。AXAMの連絡先は不明で、報告書によれば昨年ケイマン諸島の登記も取り消されている。
<これまでの経緯>
オリンパスが、2008年2月に行ったイギリス医療機器企業ジャイラス・グループ買収に際し、ケイマン諸島に登記されていたFA会社「AXAMインベストメント」などに対し、ジャイラス社買収額(2,117億円)の32%に相当する総額687億円もの報酬が支払われていた。
M&Aのコンサル料金は通常1%から5%が相場とされている。AXAMはオリンパスからの最後の支払いの3ヶ月後に、ケイマン諸島における金融業登録料未払いにより登録取消しとなり、ニューヨークの事務所も使用されておらず、687億円がどこへ行ったのかさえ不明となっている。
(さらにオリンパスは、2006年から2008年にかけて買収した日本国内企業のアルティス(資源リサイクル)、ヒューマラボ(化粧品・健康食品販売)およびニューズシェフ(電子レンジ調理容器製造)の本業とは関連の殆どない売上高数億円程度の国内3社を、総額734億円で買収しながら、2009年3月期決算にて、75.8%に当る約557億円を減損処理しており、あまりにも大きな減損処理額であり、これらの資金が ・ ・ 団関係者に流れていたのではと疑われ始めている。
21日には、同社株の8.3%を所有する日本生命に続き、5.0%を所有する大株主のサウスイースタン・アセット・マネジメント(テネシー州)が、海外の監査法人を入れた第3者調査委の設立を同社に求めていることも報道されている。)
イギリス現地法人出身で2011年4月に本社社長に迎えられたイギリス人のマイケル・ウッドフォードは、月刊FACTAがスクープした記事を見て、4大会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)に独自にジャイラス社買収の調査を依頼した。
PwCの報告書では、AXAMの所有者が不明な事、AXAMからのジャイラス優先株買い取りが、事前の取締役会決議や法律家の審査もなく、菊川剛社長(当時)ら一部幹部の稟議のみで決定された事など、コーポレート・ガバナンス上の多くの不審点が報告された。
2011年10月にウッドフォードは、一連の不透明で高額なM&Aにより会社と株主に損害を与えたとして、菊川会長及び森久志副社長の引責辞任を書簡にて促した。しかし、その2日後に開かれた取締役会において「独断的な経営を行い他の取締役と乖離が生じた」として、ウッドフォードは社長就任後わずか半年(10月1日のCEO兼務から2週間)にもかかわらず突如解任され、10月14日午前9時30分付で発表された。
ウッドフォードは、フィナンシャル・タイムズ紙に対し、自身の解任が過去の不透明な取引を調査したことが原因であるとして、一連の経緯と共にPwCの報告書、会長および副社長の辞任を求める書簡等をリークした。
さらにウッドフォードはイギリスの捜査機関に買収に関する資料を提出したと報じられている。
当初は、経営の方向性で乖離が生じたためと解任の理由を説明していたオリンパスは、PwCの報告書は推測・憶測に基づくもので、問題となっている一連の買収手続は外部会計事務所と監査役会の承認を得て適正なものであると反論し、ウッドフォードがメディアに社内情報を暴露したことなどについて民事訴訟などの法的措置を含めた対応を検討しているとコメントした。
これらの混乱によりウッドフォードの解任発表からオリンパス株はこうしたことを嫌う外人投下が売り浴びせられ急落、21日の終値は1,231円となって13日の終値2,482円と比べ50.5%安と半額以下になっている
ジャイラスを買収したオリンパスの経営陣は、何を考えているのだろうか。ハゲタカの基地であるケイマンに所在していたわけのわからないブローカーに仲介を依頼、現にケイマンでは休眠会社、介在したのはAXAMという会社の元 米の野村證券マン日系米人サガワ氏であることが突き止められている。
推測するに、サガワ氏がジャイラスに対して、オリンパスが買収予定であることを持ちかけ、実現させるにはAXAMに対して優先株式を発行せよとジャイラス側に迫り発行させ、サガワ氏は、AXAMが有している優先株の買い取り代も含めて支払わせたものと思われる。
どうしても合点がいかないのは、ジャイラス株価に対して40%のプレミアムを付け買収したが、サガワ氏が保有していた優先株に対しては、3.5倍の価格で買収していることにある。
アホ臭いオリンパスのジョイラス買収劇経緯 | ||
AXAMとFA契約締結 | 2007年6月21日 | AXAM=ハジメ・ジム・サガワ |
優先株発行 | 2008年9月30日 | AXAMがジョイラスの優先株式取得 発行会社:ジョイラス |
支 払 額 | ||
基本料 | 500万ドル | |
成功報酬 | 1,200万ドル | 5%、上限1200万$ |
ワラント買取 | 5,000万ドル | |
優先株買取 | 62,000万ドル | 発行原価:17,698万$ |
オリンパスの経営陣が、サガワ氏の思いのままになっていたことがよくわかる。
ジャイラス社は、オリンパスが買収するということで株が暴騰。オリンパスはサガワ氏が1億7,698万ドルで取得した優先株式を6億2,000万ドルで買い戻しており、公開株の40%プレミアムどころか、3.5倍で買い戻し、実質4億4,302万ドルを提供したことになる。またワラントの5,000万ドルも同じようなものであろう。当然、過去アメリカ野村證券に在籍しウォール街にいたとされるサガワ氏自身が、すべて絵に書いたものであろうが、オリンパスは国内企業の買収でも疑惑がもたれており、何かいろんな人物たちが介在しているようでならない。
ジャイラス社の2006年12期の業績 (連結) | ||
ポンド(千) | 円換算(百万円) | |
売上高 | 213,342 | 48,283 |
営業利益 | 19,145 | 4,332 |
当期利益 | 13,193 | 2,985 |
総資産 | 460,622 | 104,247 |
純資産 | 286,833 | 64,916 |
・2007年11月16日当時1ポンド:226.32円での円換算 |
ジャイラス社の総資産には「のれん代約600億円」が含まれており、実質資産額は400億円前後。
ジャイラス社買収は、9.35億ポンド(約2,117億円)経費も含め2,700億円。当時、優先株式やFA手数料などで約700億円をケイマン諸島の現在休眠会社のAXAM社などに支払っている。
マイケル・ウッドフォード氏略歴 | |
2003年6月 | Olympus KeyMed Group Limited取締役 |
2008年4月 | Olympus Europa Holding GmbH代表取締役社長 |
2011年5月 | Olympus Corporation of the Americas取締役会長兼CEO |
オリンパス本体の代表取締役就任 | |
2011年10月1日 | オリンパス本体のCEO就任 |
2011年10月13日 | オリンパス代表兼CEOを解任される |
こうした動きにより、ワンマン菊川会長は辞任に追い込まれるどころか、刑事訴追が免れない状況に追い込まれつつある。
ある外人が、相変わらず ニホンジン 鴨ネ と言っているそうな。
オリンパスの主要株主 平成23年3月31日現在 | ||||
住所 | 所有株数 | 割合 | ||
1 | 日本生命 | 22,426,718 | 8.26 | |
2 | 三菱東京UFJ銀行 | 13,286,586 | 4.89 | |
3 | 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 12,875,500 | 4.74 | |
4 | 日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口) | 12,036,550 | 4.43 | |
5 | 日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口) | 9,004,000 | 3.31 | |
6 | ステート ストリート バンクアンド トラスト カンパニー 505223 | ボストン/USA | 8,772,820 | 3.23 |
7 | 三井住友銀行 | 8,350,648 | 3.07 | |
8 | ステート ストリート バンクアンド トラスト カンパニー | ボストン/USA | 7,622,271 | 2.8 |
9 | テルモ㈱ | 6,811,000 | 2.51 | |
10 | ガバメント オブ シンガポール インベストメント コーポレーション ピー リミテッド | シンガポール | 5,790,100 | 2.13 |
計 | ――― | 106,976,193 | 39.43 | |
9月段階 | ・現在は、第2位にはサウスイースタンアセット マネージメント インク(USA)19,406,997株保有 | |||
・現在は、第4位にハリス・アソシエーツ(USA)。 |
[ 2011年10月24日 ]
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
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