アイコン FDA/トランス脂肪酸含有を段階的禁止へ 肥満・心臓疾患等生活習慣病対策

米国食品医薬品局(FDA)は(2013年11月)7日、揚げ物用の調理油などに含まれ、肥満や心疾患との関連が指摘されるトランス脂肪酸が食品に含まれないように段階的に禁止する方針を打ち出した。
「食品に使う上で安全とは認められない」と判断した。食品業界に要請する。ファーストフードなどの外食産業などに影響が出ると予想される。

<トランス脂肪酸>
 トランス脂肪酸は、植物油にはほとんど含まれず、水素を付加して硬化した部分硬化油を製造する加工過程や加熱処理などで発生するため、それを原料とするマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどに多く含まれる。一定量を摂取すると悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増加させ、動脈硬化などによる心臓疾患などの生活習慣病のリスクを高めるといわれ、2003年以降、トランス脂肪酸を含む製品の使用を規制する国が増えている。

日本人の場合、トランス脂肪酸の摂取量は一日当たり平均1.56gとなっており、摂取エネルギーの0.7%に相当することが公表されている。さらに、日本人の一日当たりの平均的なトランス脂肪酸の推計摂取量は、2004年、2007年ともに総エネルギー摂取量の0.3%であり、WHO/FAO合同専門家会合が目標とする一日当たりの総エネルギー摂取量の1%未満であることから、日本人のトランス脂肪酸摂取量は諸外国に比べて少ない傾向であることが報告されている。
ただ、欧米人からなるWHO/FAOの見解は、肉食動物の欧米人と草食動物の日本人の体内機能は異なる部分があり、一概に欧米人と比較することはできず、可能な限り含有食を避けることが賢明である。
 含有製品:マーガリン・ショートニング、ドーナツなど用のフライオイル、ホイップクリームなどに多く含まれる。

ドーナツなどのフライオイルでのトランス脂肪酸量は、以前は20~30%近く含有されていたが、現在は低減が図られている。
ケンタッキーフライドチキンでは、過去指摘を受け、現在ではトランス脂肪酸を含まない遺伝子組み換えの低リノール酸大豆油を使用しているという。ミスタードーナッツも低脂肪酸食物油に変えている。しかし、高熱フライで発生することから、新鮮な油は大丈夫だろうが、古くなれば食物油も酸化し、健康を害するとされる。

どんな油も、グリセリンといろいろな脂肪酸から成るが、脂肪酸は次の三つに分類される。
1、動物性脂肪に多い飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸の系列
2、植物の大豆等穀類、種子に多いリノール酸系列
3、海藻、魚介、野菜に多いα-リノレン酸系列。
これまでの常識では(1)の動物性油脂を減らし、(2)の植物油を多く、とくにリノール酸はコレステロールを低下させ健康によいとされてきた。ところが最近、(2)のコレステロール低下作用は短期的なもので、長期間多く摂ると、ガンや脳・心筋梗塞、アレルギー体質の引き金になるというデータが出てきて、(2)と(3)のバランスが大切と考えられるようになった。
 (2)と(3)の適正比率はよくわかっていないが、4対1かそれ以下という考え方が多い。

<リノール酸>
リノール酸は、植物油、とくにサフラワー油(ベニバナ油)、ヒマワリ油、大豆油、コーン油などに多く含まれる。動物体内では合成されない必須脂肪酸であり、エネルギー比で2%程度の摂取が必要。
通常の食生活で不足することはないが、欠乏すると成長抑制、皮膚炎などをおこす。
二重結合の位置と立体配置が変わると必須脂肪酸活性を失うが、共役リノール酸には特徴的な生理機能がある。
優れた血液コレステロール低下作用を示すが、とりすぎると善玉コレステロールをも低下させる。
酸化されやすく、動脈硬化を含め種々の生活習慣病の引き金となるので抗酸化対策が必要である。動物体内ではアラキドン酸に変えられ、生体膜の機能を維持し、また、代謝調節に貴重な役割を果たす種々のエイコサノイド(プロスタグランジン、ロイコトリエンなど)の基質となる。
植物油は健康に良いとされるが、植物油でも使い残しの古い植物油は酸化して、健康を害するおそれがある。
 

[ 2013年11月 8日 ]
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