コロナ禍 農的視点からの一考察・その②

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みのり農場 麻生 茂幸     
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〇 植物・動物・人間を貫く同一の生命の原理

4月20日の現在においても、世界的な蔓延は拡大する一方で、わが国においてもここへ来て急速に感染が広がり、緊急事態宣言が全国に発令されてしまいました。

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これまで私達が信じてきた科学技術も為す術もなく、見えざる恐怖はいよいよ高まってきました。

しかしながら、道に迷った時は原点に還るという鉄則に基づき、私達畜産農家が対処してきた方策を今一度検証してみることも一考されて然るべきではないでしょうか。

早いものでこれまで50年余り農に携わって来ました。

野菜や米そして鶏と 向き合う中で、植物も動物も人間も全ては同一の生命の原理に貫かれていると気づかされました。

従って100年もの長い生を有する人間を視るのも、そのスパンが長過ぎるので、せいぜい数年の植物や動物で検証できる方策を選択した 方がいいのかも知れません。

〇 連作障害は全ての生命に

家庭菜園を楽しむ人々が増えた昨今、「連作障害」という言葉も一般化して来 たのではないでしょうか。

則ち同一品種の野菜を同じ畑で作り続けると、だんだ んと収量が減るばかりか、病気にも罹りやすくなるのです。

その強弱は品種によっても異なりますが、ナスやトマトあるいはゴボウなどは少なくとも4~5年は同じ畑では作れないのです。ただ施設化などでどうし ても連作しなければならない場合は「接ぎ木」処理を施します。

連作障害の出にくい品種を台木にして接ぎ木処理をするのです。例えばキュ ウリにはカボチャの台木をスイカにはユウガオの台木で連作障害を回避するのです。

但し基本は連作にならないようにいろんな品種を順繰りに作付けする輪作体系を組むのです。

この接ぎ木や輪作体系が確立するまでは、通常の病虫害に 加えウイルスの難病で壊滅的な被害を繰り返してきたのです。

ちなみに果樹にしても連作障害は避けられないのです。桃や梨にしても接ぎ 木技術が確立するまでは、十数年もすると連作障害が現れ産地が次々に移って 行ったのです。

そして畜産においては連続飼育の障害となって現れます。

〇 家畜の連続飼育の障害

戦後の高度経済成長と同じように、畜産も機械化・規模拡大と突き進んで来ました。それまで数千羽くらいの規模が、目まぐるしい程の機械の進歩で数万羽、 百万羽と大規模な養鶏産業となっていったのです。

もちろんそれは牛・豚も同じことで、同時に様々なトラブルや疾病に見舞われることにもなるのです。

品種改良は、強権性よりも多産性が重要視され、高度な機械化・規模拡大で高密度な飼育環境は、ほんの小さな不調和が積み重なって、大きなトラブルとなっ てしまうのです。

次々と新しい抗菌・抗生剤、そしてワクチンも開発されてはいるのですが、更 に新たな疾病、特にウィルスもまたより強大となっているのです。

〇 基本的な環境保全対策

ここで改めて畜産における環境保全対策をまとめると1、日当たり、水はけの良い立地。 2、 ネズミや野鳥を侵入させない。 3、暑さ、寒さそして風雨をきちんと制御する。 4、一つの畜舎に複数の群を置かない。 5、出荷後は水洗、消毒を徹底し、空舎期間を取る。 6、密飼いを避け、最大の換気を図る。 7、 日齢、季節に応じた給餌をする。
 
理想を述べればキリがなく、私自身もどこまで守れているか。しかしながら近 年の最大の問題は、規模拡大に伴う生産性を高めるために畜舎がウインドレス 構造となってしまっていることではないだろうか。

太陽光を遮断し、外界の寒暖を和らげ高度に密飼い出来るウインドレス畜舎 は 1 羽当りの建設コストも安く、飼料効率も高く今日の畜産の主流となっています。しかしながら、その高密度で十分な換気が取れない場合、あるいは連続飼 育で十分な洗浄と空舎期間が取れなかった場合にはウイルスの発生条件となる のです