アイコン WTO事務局長選 米国がナイジェリア候補に拒否権発動 104/163ヶ国獲得

Posted:[ 2020年10月29日 ]

世界貿易機関(WTO)は28日午前(現地時間)にジュネーブ駐在の韓国とナイジェリアの大使に対し、加盟国を対象に実施した事務局長選の支持候補の調査結果を伝えた。

ロイター通信によると、WTO理事会が、ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相の事務局長選出を提案したと報じた。
「ナイジェリアのオコンジョイウェアラ氏支持が、韓国の兪氏の支持がより多かった」と明らかにした。

 WTOでは、加盟国による全会一致で次期事務局長が決定する。WTOは加盟国全体に調査結果を発表する予定で、オコンジョイウェアラ氏の選出を提案することが予想されたが、米国の反対で、次回11月9日会議で決定する。

オコンジョイウェアラ氏は163ヶ国・地域のうち、104ヶ国・地域の支持(63.8%)を得、最大59ヶ国の支持にとどまった兪氏が辞退しない限り、また、米国が拒否権を発動し続けない限り、WTO事務局長不在状態が続く可能性が指摘されている。

※WTOの事務局長選に拒否権はないが、貿易という利害行為に対する審判を行う機関でもあり、その後を考慮して全会一致を原則としている。米国が反対し続ければ事務局長の決定は見送られる可能性がある。



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前任者のブラジルのアゼベド事務局長が任期中の8月末に辞任、事務局長代理人選定では、事務次長を輩出している米国、中国、ドイツ、ナイジェリア出身の4人から選出しようとしたものの、米国が押す米国の事務次長に対して、欧州や中国などが反対し選出が見送られ、現在、事務局長も事務局長代理も不在となっている。
機能不全状態。

米国ではライトハザー通商代表がWTOを取り仕切っており、同氏が嫌った米国のゼーリック世銀総裁の下でオコンジョイウェアラ氏が副総裁を務めていたことからナイジェリア候補を嫌ったとされる。それに加えナイジェリアが中国との関係を深めていることもライトハザー氏の決定にトランプ氏も同調したものと見られる。

ただ、韓国の兪氏が実務的に主導した韓国の日本に対する戦略物資輸出規制に対するWTO提訴では、米国は、戦略物資の輸出入に関しては、WTOのルールに馴染まないとして、韓国の提訴をWTOは受け付けないよう主張した。しかし、WTOは受け付け、今年6月にWTOに小委員会が設置された。
兪氏は米留学を経ており、英語がしゃべれ、ディベートの達人ともされている。

WTOの中では最大の貿易国であり、運営資金の最大の拠出国でもあるアメリカの発言力は強く、事務局長の選任は決定しない可能性もある。

ただし、バイデン氏が大統領選に勝利すれば、トランプ政権のタカ派の米国中心主義、対中強硬派の外交安保・金融財政・経済・担当高官たちは全員交代することから、来年1月までにはオコンジョイウェアラ氏で決定するものと見られる。

一方、兪氏が票差から考慮して、辞退すれば、オコンジョイウェアラ氏で決定する。
しかし、米国の支持を受け、辞退しなければ、空白期間が続き、文大統領も兪氏に辞退を迫るか、成り行き任せにするか、難しい選択を強いられる。

中国はナイジェリアとの関係からオコンジョイウェアラ氏を支持しており、韓国が辞退しなければ、中韓貿易に悪影響をもたらす可能性もある。それを平気で行うのが現在の中国習政権でもある。
韓国に対するTHAAD制裁もかなり緩和されてきた中、来年か再来年に新コロナ事態が終息しても、次の緩和が見送られる可能性もある。ただし、米中パワーバランスの中心に存在する韓国の利用価値にも関係しようが・・・。

米国としても、米国離れを示唆する高官発言が多くなった韓国の文政権にあり、今回の韓国候補支持は、韓国を引き止める大きな材料にもなっている。

オコンジョイウェアラ氏は、
米国へ留学しハーバード大学で修士号を、マサチューセッツ工科大学で博士号をそれぞれ取得している
2007年にアメリカ人のロバート・ゼーリック氏がWTO事務局長に選出され、オコンジョイウェアラ氏は副総裁を務めた。
2011年にナイジェリアの財務大臣就任、2015年に退任している。
米国ながらゼーリック氏とライトハザー氏はその政策において対立関係にある。

 

 


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