日本電産が2月5日、三菱重工業子会社で自動車用ギア製造の生産設備装置を扱っている三菱重工工作機械を買収すると正式に発表した。買収額は非公表だが300億円程度とみられる。同社は2019年に買収したオムロンの車載事業以来の規模となる。
新コロナ感染拡大が続く中で積極攻勢を仕掛ける背景には、重点事業と位置づける電気自動車(EV)用駆動モーターの競争に先手先手を打つ思惑がある。新コロナ下、EV生産が世界中で急に加速化している。EV用リチウム電池の取り合い同様、モーターも同じで、電子産業向け精密モーターから車載用に展開している同社も同じ状況と見られる。その上で車載用モーターに付随するギア装置まで拡大させるようだ。
車両用モーターは低価格車両で1つ、高価格車両で2つ、最大4つのモーターが必要となる。今後のEV拡大は倍々ゲームで増加する。世界での自動車生産台数は9000万台~1億台、このうち20%以上が30年までにEV化される予想になっている。
また、アップルの参入など、既存のEV用部品を活用しEV生産を、iPhoneを鴻海に生産委託しているようにEV生産委託、自らの頭脳はデザイン開発や完全自動運転車開発に向けての制御装置にシフトすることになる。日本電産もモーター分野で受け皿になる。
iPhoneは、アップルが半導体等電子部品企業の部品を、自社仕様に変更させ、新たに設計し、そうした部品を寄せ集めて、全部品をEMSメーカーの鴻海の工場に送り込み、組み立てさせているだけ。
車も同じ手法を取り、現代・起亜グループほか世界で5~6社に生産(組立)委託する計画、日本の自動車メーカーにもすでに打診しているという。
iPhoneの原価率は4割、粗利率は6割となっている。自動車でも利益のほとんどはアップルが収納することになる。
スクロール→
日本電産 第3四半期決算 IFRS方式
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売上高
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営業利益
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←率
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経常利益
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株主利益
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20/3期Q3
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1,159,608
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93,204
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8.04%
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93,050
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49,326
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21/3期Q3
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1,184,991
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115,535
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9.75%
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109,340
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83,636
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21Q3/20Q3
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2.2%
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24.0%
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17.5%
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69.6%
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21/3期予想
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1,550,000
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155,000
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10.00%
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150,000
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120,000
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21予/20比
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1.0%
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40.5%
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40.3%
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99.7%
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20年3月期
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1,534,800
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110,326
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7.19%
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106,927
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60,084
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19年3月期
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1,518,320
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138,620
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9.13%
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139,014
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110,798
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18年3月期
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1,488,090
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167,637
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11.27%
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164,460
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131,434
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