三菱重工業は29日、三井E&Sホールディングスの事業会社である三井E&S造船の艦艇・官公庁船事業を買収することで三井E&Sと最終合意し、譲渡契約を締結したと発表した。
今後、公正取引委員会などの審査を経て、今年10月をめどに譲渡完了を目指す。買収金額は開示していない。
補給艦や巡視船など多様な補助艦を強みとする三井E&S造船の事業と護衛艦を得意とする三菱重工は、製品・開発・設計・建造の各技術分野で補完関係にある。
事業規模を拡大し、品揃えを拡充するほか、設計から建造までのデジタル化を進めコスト削減を図り、生産効率を向上させる。
買収後も三井E&S造船の玉野艦船工場(岡山県玉野市)で事業を運営する。
三菱重の宇宙・防衛事業の売上高は今期予想で約5000億円、うち約25%が艦艇・特殊機械事業となっている。
事業譲渡に伴う三菱重への業績への影響は2021年度下期から寄与する予定。
三井E&Sの2020年度連結業績への影響はないとしている。両社は昨年6月、艦艇事業などの譲渡に関して協議を開始すると発表。昨年末をめどに最終契約の締結を目指していたが、交渉が長引いた。