アベノミクスでの大規模金融緩和、円安、法人税減税、大規模財政投資(東日本大震災復興工事・激甚災害復旧工事・国土強靭化投資)、東京五輪投資、非正規雇用の拡大、国策大規模証券投資により、大企業は空前の利益を上げてきたものの、その資金を内部留保に回し、自社株買いの株主還元策に使用、設備投資は事務所移転に精を出しただけだった。
東京の空き室率はリーマンショックを経過し、東日本大震災の2011年を最高に、その後低下を続けてきたが、2020年の1月の1.49%、2月からは今だ続く新コロナパンデミックに翻弄され、2014年6月の水準まで一気に戻っている。
一方、建築コストはこの間も資材が高騰し続けているものの、家賃は新築も含め大幅に落ちてきている。
新コロナでは、内需企業を中心に業績悪化、テレワークも進み、事務所の必要性が見直されている。この間、新築オフィスに事務所を移転させてきたものの、見直しにより、東京の事務所を縮小している。最近も大型オフィスビルが竣工してきたものの入り手が少なく、新築ビルの賃料もすでに下げている。その結果、今年10月の空き室率は6.47%まで増加している。
企業収益が今後回復するのは内需企業に限られ、そうした企業はこの間、財務内容を悪化させており、事務所移転どころではない。
今後も超大型オフィスビルはいくつも計画されている。
特に東京駅の八重洲口では1丁目(東京ガス等)と2丁目北(三井不動産等)、2丁目中(三井不動産等)の3つの超大型ビルが計画されている。
アベノミクスで企業が何もしなくとも利益が出ることから、設備投資も金を使わない持代が25年間続き、内需の景気も循環しなくなって久しく、そうした中で大型ビルは全国の主要都市でも今後も完成し続け、新規計画もなされている。
今回、五輪景気もゼネコンだけ、五輪景気のお相伴にも預かれず、新コロナでダメージを受け、都心の高いオフィスから離れた企業が、再び都心の高いビルに戻ってくる保証はなく、内需主導の消費主導の景気回復が必要になっている。
バブル後の巨額建設投資が国債残を急激に膨張させたが、アベノミクスではそれ以上に膨らまかせ、新コロナで歯止めがかからなくなっている状況で、岸田経済も同じことを繰り返せば、ただでさえ人口減少が進む中、円はすっ飛ぶ可能性もある。
今9月中間期のスーパーゼネコン4社の建築の受注残も前年同期末比15.4%増の5.5兆円に達している。相当な部分がオフィスビル等の複合ビルと見られ、オフィスの需給バランスが崩れるのではと心配されている。
↓なお、数値はすべて三鬼商事の公表数値により作成している。
スクロール→
東京のビジネス街区の空き室率
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12月
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空き室率
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備考
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2008年
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4.72%
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リーマンショック
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2009年
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8.09%
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2010年
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8.91%
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2011年
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9.01%
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東日本大震災
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2012年
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8.67%
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アベノミクス
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2013年
|
7.34%
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2014年
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5.47%
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2015年
|
4.03%
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2016年
|
3.61%
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2017年
|
3.12%
|
2018年
|
1.88%
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2019年
|
1.55%
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2020年
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4.49%
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新コロナパンデック
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21/10月
|
6.47%
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スクロール→
東京ビジネス街区のオフィス空き室率状況 %
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19/10月
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20/10月
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21/10月
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21/20比
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千代田区
|
1.35
|
2.67
|
4.78
|
2.11
|
中央区
|
1.28
|
3.73
|
5.57
|
1.84
|
港区
|
1.97
|
4.84
|
8.64
|
3.80
|
新宿区
|
1.85
|
4.12
|
6.79
|
2.67
|
渋谷区
|
1.88
|
5.14
|
5.89
|
0.75
|
東京都ビジネス街区
|
1.63
|
3.93
|
6.47
|
2.54
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・赤はマイナスポイントで空き室率悪化
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スクロール→
東京ビジネス街区のオフィスの平均賃料推移 円
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19/10月
|
20/10月
|
21/10月
|
21/20比
|
千代田区
|
24,012
|
23,892
|
22,369
|
-1,523
|
-6.4%
|
中央区
|
20,198
|
20,184
|
18,839
|
-1,345
|
-6.7%
|
港区
|
21,917
|
22,806
|
21,017
|
-1,789
|
-7.8%
|
新宿区
|
19,629
|
20,151
|
19,032
|
-1,119
|
-5.6%
|
渋谷区
|
24,830
|
23,892
|
22,182
|
-1,710
|
-7.2%
|
東京都ビジネス街区
|
22,010
|
22,434
|
20,804
|
-1,630
|
-7.3%
|
↓八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業
↓八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業(=東京ミッドタウン八重洲)
↓八重洲二丁目中地区市街地再開発組合