現場名:花卉アイパークマンション201棟、新築工事
建築場所:光州市西区花亭洞(バスターミナル隣接)
構造:地下4階、地上39階建
工期:~2022年11月
施工会社:HDC現代産業開発(旧現代財閥系/現HDC現代グループ)
現代産業開発は2019年から同地一帯で住商複合マンション団地を建設中。全8棟、いずれも地下4階、地上39階で、マンション705世帯、オフィステル142世帯の計847世帯の建築群となる。
事案発生:2022年1月11日午後3時46分ころ、39階をコンクリ打設中、建築中の当物件の38階から23階迄、建物の一面の床・外壁等が崩落、1人死亡、5人不明(1月20日現在)となっている。
タワークレーン(重さ推定96トン)の固定物も落ち、危険な状況なため、救出作業は大幅に遅れている。21日に当クレーンの撤去作業を行い、22日以降に5人の救出作業を行うという。
当外壁等の崩壊・崩落事件は、その後いくつかのことが明らかになっている。
1、当マンションは、今年11月完成引渡しで、現場は工程より2ヶ月ほど遅れが生じていたという。
ただ、工期の工程表は、ある程度余裕を持って組まれており、実態がどれほど遅れていたのかは定かではない。
たが、すでに販売されている分譲マンション、2ヶ月も工期余裕は持たせないだろう。2019年の分譲価格は3.3平米当たり158万円、東京都心のタワマン並みの価格で倍率67倍の予約殺到マンションてもある。
2、11日の現場は氷点下の中、コンクリ打設。
隣国では打設現場が乾くように温度を上げる装置を設置すれば問題ないようだ。
生コン打設工事は2020年3月から始まっている。
当現場の生コン納入業者は10社、うち8社は2020年7月~21年5月に行われた当局の工場定期検査で品質管理違反があったという。
3、生コンの養生期間=乾燥時間は、隣国では冬場は通常2週間(最低12日間)設定されているという。ところが現場は6日間(最低5日間/打設記録による)で打設したという。
生コンも下層部と上層部では品質基準が異なり、下層部は強度の高い生コンが使用されているという。
4、納品の生コン屋は、過去、現場所長に賄賂を握らせ受注していたことから担当者が逮捕起訴された会社だという。HDC現代産業開発は同じ生コン屋にほかに物件も含め、賄賂事件後も多くの発注を行ってきたとされる。
5、39階の床面の生コン打設中、最上階は厚さが35センチとこれまで階の25センチより厚いといいと、流し込み後、すでに重さに耐えられず、凹みが生じていた写真が現場にいた工事人により撮影されている。10センチあまり凹んだところが初期の崩壊が始まったという。
以前、百棟あまりのマンションの新築の一工程に携わった記者(JC-NET)ではあるが、携わった工事現場では、下記写真のような現場は見たことがない。
映像の写真現場は後追いで見てくれは修復されていようが、強度まで修復されるかはまったく別問題。
日本のように地震が多く発生する国では厳格な建築基準が設定され、工程ごとに現場撮影写真も記録され、こうした大型現場では、建設途中に施工会社の検査、施主検査、設計検査が何回も行われることもある。官庁工事は特に仕様まで細かく決められていて、発注機関の現場検査も煩い。
生コン打設は、日本では打設ごとに現場所長が立ち会うことも多く、その下の現場監督が生コン打設を終始現場管理している。それほど生コン打設には空洞も生じやすく神経を使っている。それもシャブコンではないのかのチェックも行われる。
ただ、日本でも基礎工事の欠陥でその後建物が沈下する現象が生じ、建て替えやらで大問題となっているマンションはいくつもある。ほとんどがパイル工事の問題で予算がなかったのか、知識がなかったのか、軟弱地盤でパイルを岩盤まで打たず、完成後建物が一方へ沈みこみ傾斜現象を生じさせている。以前、海・湖沼・谷の埋立地や大昔河川敷だったところにこうした問題を発生させるケースの場所が多い。
日本でもかって生コンの乾燥を防ぐため基準以上の水を入れたシャブコン問題が発生したことがあるが、道路事情も行くなり、最近はそうした現場はほとんど聞かれなくなった。
下記の写真は、花卉マイパークマンション新築工事現場の工事人たちが、その時その時撮影したものだという。工事人たちが訪れる近くの食堂ではそうした問題をいくらでも話されていたという。
検査当局には、そうした問題が通知され、その後かなり経過してから検査したところ、問題はなかったという。修復工事期間を与えたようだ。
現場のすべての工程管理は現場所長が決定している。
現場所長が短期で打設させていたことになる。
協力業者は、その指示に基づき作業に入り、今回は生コン会社が現場にミキサー車で納品し、そのミキサー車に接続して圧送ポンプ屋さんのポンプで、型枠内で鉄筋が組まれた指定場所に生コンを流し込んだ際に問題が発生したもの。
↓当マンションの昨春の現場写真、現場に入っている工事人たちがスマホで撮影したもの。
↑以上、昨夏前の地下の現場
↓39階床面生コン打設、崩壊10分前の撮影だとされる。凹んでいる。ポンプ屋さんの担当者が動画でも撮影している。
↓崩壊現場
鉄筋からコンクリがほとんど剥離している。鉄筋の組み方、生コンの接着強度にも問題がありそうだ・・・。生コンが固まるまで養生期間の問題だけだろうか・・・。