16日に発表された米景況を示す各指数は、金利上昇を受け、また資材・部品の高騰を受け、景気悪化を示唆するものとなった。
金利上昇思惑により6月7日から約2800ドル下落したNYダウ平均株価は、新金利が発表された15日の上昇から一転、再び下落に転じた。16日のNYダウ平均は3万ドルを境に行ったりきたり。結果、終値は▲741ドル下げ29,927ドルと昨年1月以来のダウ平均株価となった。低29,740ドル~高30,305ドル。
市場は予想よりも景気悪化が進んでいると見たようだが一喜一憂するのが証券市場でもある。
肝心の商品先物相場は別腹、米経済の減速シグナルである株価下落に対しても、総じて上昇している。
足元のインフレは3月の露制裁で上昇した先物商品価格は、6月以降に消費者に影響してくることから、6月は5月の8.6%を上回ると予想され、更なる金利上昇は避けられず、悪化スパイラルに陥り景気悪化が本格化する可能性もある。
対ドル円は、14日に135円台を記録したが、米景気指標の悪化を受け、リスク回避の円買いが進み、16日のNY為替市場では一時、131円台まで急騰、その後132円前後で推移している。
円安は日本経済にとって良いことだとタカをくくった日銀であるが、世界経済の悪化では頼りの(25年前と時代錯誤した)輸出主導経済成長論は成立せず、ただの方便と見る。
商品先物高に起因するインフレは、1年あまり米欧経済が沈静化しなければ、製品に価格が転嫁され続けインフレスパイラルに陥る。
逆にそうした高い原材料を使用した製品の販売価格が価格転嫁できなければ、企業は利益を損ない、設備投資が減少し、リストラ等、景気悪化のスパイラルに陥る危険性も秘めている。そうして物価は収拾されようが・・・。
円高は米国との金利差のほか、米景気悪化でももたらされるが、日本経済も悪化する可能性もあり、景気の急悪化は危険を伴う、商品先物価格が徐々に下がることが望まれる。難しい問題だ。
一方で半導体不足は今後とも続き、原材料や製品価格を押し上げ続けることになる。具体的な方策なく推進される環境対策、それに起因したEV革命、インフレの悪玉菌でもある。
スクロール→
米、6月16日発表の各景気指標値
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住宅着工戸数
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5月/万戸
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前月比
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予想/万戸
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4月/万戸
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154.9
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-14.4
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169.3
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181.0
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着工許可件数
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169.5
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-7.0
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177.8
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182.3
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FF景況指数
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6月
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比
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予想
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5月
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-3.3
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大幅マイナス
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5.0
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2.6
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失業保険申請数
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先週/万
|
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予想/万
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前週/万
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22.9
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予増/前減
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21.7
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23.2
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失保継続受給数
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131.2
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予増/前増
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130.4
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130.9
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↓裏付けのない最たるリスク資産である仮想通貨は米金利急上昇により暴落している。
ダウ平均 & ビットコイン/ドル
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NYダウ
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下落率
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BTC
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下落率
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6月7日
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33,180
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-9.8%
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31,128
|
-33.2%
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6月14日
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30,364
|
22,160
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6月15日
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30,668
|
22,590
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6月16日
|
29,927
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20,782
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・BTCは日本時間の6/17日06時40分現在
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