アイコン スリランカ首相、「(経済)完全に崩壊した」

Posted:[ 2022年6月24日 ]

スリランカのウィクラマシンハ首相は22日、同国の経済は「完全に崩壊した」と述べた。危機に見舞われている同国は燃料、電力、食料の不足で何百万人もの人々が苦しみ、ますます悲惨な状況になっている。

ウィクラマシンハ氏はスリランカ議会で「わが国の経済は完全に崩壊した」と述べ、経済を安定させるために世界のパートナー国や国際通貨基金(IMF)に支援を求めていると説明した。
しかしウィクラマシンハ氏は、人口2200万人を抱える島国である同国が物資不足以上に「はるかに深刻な事態に直面している」と警告した。

スリランカは過去70年間で最悪の金融危機の真っただ中にある。外貨準備高が記録的な低水準に落ち込み、食料や医薬品、燃料を含む必要不可欠な輸入品の支払いのためのドルが不足している。

政府はこの危機に対処するため、公務員を週4日勤務にして農作物を育てる時間を確保するなど、ここ数週間思い切った対策をとっている。しかし、こうした対策は、国民の多くが直面している苦境の緩和にはほとんど役立っていない。
商業都市コロンボを含むいくつかの大都市では、何百人もの人々が燃料を買うために何時間も列に並び、時には警察や軍隊と衝突している。
電車は運行本数が減り、また燃料不足のため患者は病院へ行くことができず、食料の価格も高騰している。主食である米は多くの店やスーパーマーケットの棚から姿を消した。
警察によると、今週だけでも11人が燃料を求める列で死亡した。

 



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前首相のラジャパクサ氏が抗議デモによって辞任に追い込まれた数日後に就任したウィクラマシンハ氏は23日のコメントで、国の状況について前政権に責任を負わせるような発言をした。
「完全に崩壊した経済、特に外貨準備高が危険なほど少ない国を再生させるのは簡単なことではない。少なくとも最初に経済崩壊を遅らせるための措置が取られていれば、今日のような困難な状況に直面することはなかっただろう」と述べた。

スリランカの電力・エネルギー相は先週、同国には5日分の燃料しかないと記者団に語った。
スリランカは、主に隣国インドに頼ってきた。すでに40億ドル(約5400億円)の融資枠を受け取っているが、それも十分ではないかもしれないとウィクラマシンハ氏は指摘。「我々はインドにさらなる融資を要請している。しかし、インドでさえ、このような支援を継続的に行うことはできないだろう」と述べた。

次のステップはIMFとの取引だという。「これが唯一の選択肢だ。この道を歩むしかない。我々の目的はIMFと話し合いを持ち、追加融資枠を得るための合意に達することだ」とウィクラマシンハ氏は説明した。

また、現在、世界銀行、アジア開発銀行、米国とIMFの支援を受けるまでの「暫定的な短期融資を確保する」ための話し合いを行っているという。
米財務省の代表が来週スリランカに到着する予定で、加えて「主要融資国」の中国、インド、日本にも援助も求めることにしている。

ウィクラマシンハ氏は「IMFの太鼓判をもらえば、再び世界から信頼されるようになる。世界の国々から低利融資を受けられるようになるはずだ」と述べた。
以上、

ゴーターバヤ・ラージャパクサ大統領は、実兄の元大統領のダミーとして存在、民族主義と経済発展、国家安全保障を争点にして多数派のシンハラ人の票を集め、第8代大統領に就任した。

ゴーターバヤは、議員を経ずに大統領となった初の人物。就任後、兄マヒンダを首相に任命。
2020年には8月の議会選挙圧勝を受けて憲法改正へ踏み切り、大統領の権限を強化した。
内閣には、親戚4人を入閣させるなど、兄弟が権力を集中させていた。

2021年2月、日本とインドの3ヶ国で進めてきたコロンボ港東コンテナターミナルの開発を白紙撤回。自国で行う方針に変更した上で、同年11月、再開発事業は中国企業に発注した (インドネシア新幹線の同じ手口)。

2022年3月31日、外過不足から海外から燃料が買えず、計画停電など経済的な混乱を契機に数百人の市民が大統領の邸宅を包囲。付近にあったバスが放火されるなど一帯が騒然となった。

翌4月1日、大統領は治安当局に広範な権限を与える非常事態宣言を発令した。さらに4日までに経済混乱の責任を取る形で、大統領と首相を除く全閣僚およびスリランカ中央銀行総裁が辞任した。
しかし、4日に財務大臣に就任したアリ・サブリは1日で辞任し、非常事態宣言も5日午前0時をもって撤回に追い込まれ、議会からの辞任圧力が強まった。

4月8日になってサブリの財務大臣辞任を拒否し、サブリはそのまま続投することとなった。
労働組合などが大規模なストライキを各地で実施するなどしたため、5月6日に再び非常事態宣言を発令した。
5月12日、ゴーターバヤ・ラージャパクサ大統領の実兄で長期にわたりスリランカに君臨してきたマヒンダ・ラージャパクサ首相(元大統領)が首相を辞任した。

マヒンダ元大統領は、軍の基地に逃亡しているとされ、実弟のゴーターバヤ・ラージャパクサ大統領が失脚すれば、軍事クーデターの可能性すらある。

スリランカは、中国の一帯一路覇権戦略によるインフラ投資の象徴的な国、ゴーターバヤ・ラージャパクサ大統領は、まだ大統領に居座っており、スリランカ再生には、ラージャパクサ一族の全財産を没収すること、および、巨額の海外債務を中国含め一律カットさせること、この2点を条件としてIMFが支援できるものと見られる。スリランカの最南端の港湾を中国がインフラ投資面目で大規模改修し、投資金の返済を軽減させる名目で、中国は99年間の借地権を設定している。インド洋を睨む。

中国のこうしたインフラ投資のシャブ漬けに酔いしれた国民性が、今日の同国にしている。元大統領が同国中部の出身地に凱旋建設したマヒンダ・ラージャパクサ国際空港は、日の利用客が10人程度と世界一客が少ない国際空港として知られる。
以上、

公共投資は企業が一番喜び、票にも直結する。巨額投資ともなればなおさらだ。日本も実態は同じようにものではないだろうか。先人たちの遺産を紙切れ発行して共食いし、食い潰し続けている。日本ブランドの無形資産である信用でさえ、大企業が不正の山を築き、世界破産させている。

新コロナにより、主要産業の観光業は、政策的な中国からの大量の観光客が途絶えている。海外への出稼ぎも大きく減少している。
対外債務の返済は不可能領域。筆頭はインフラ投資を行った中国。
昨年12月にはイランからの燃料購入代金が支払えず、紅茶で決済することで了解している。

日本のスリランカに対するODAなどの有償債権の残高は数千億円。こんなにしても中国寄りの政治風土、今回、一時的に中立色を出してもラージャパクサ一族が政界にいる限り変わらない。ラージャパクサ一族の財産を全部没収すれば、外貨準備高が何倍も増加することだろう。

中間派とされた1期だけのシリセーナ前大統領も元はラージャパクサと同じ政党出身、2018年にマヒンダ・ラージャパクサ元大統領を首相に指名していた。南港を中国に99年間貸与契約したのもシリセーナであり、2期目は出馬もせず、ゴーターバヤ・ラージャパクサに明け渡し、決してインド寄りではない。
中国と日印を天秤にかけ弄ぶODA依存症の政治家たちの国。

 

スリランカ

人口

2,141万人

 

インフレ率

39.1%

5

基準金利

13.5%

5

経常収支

-1,139百万ドル

21/12

対外債務

50,724百万ドル

5

外貨準備高

1,920百万ドル

5

主要産業:観光/出稼ぎ送金/紅茶

 

 


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