アイコン 米・西側の露制裁の有効性は見られない/CREA


フィンランドのシンクタンク「エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)」は13日、「プーチンの戦争資金調達:侵攻最初の100日間のロシアの化石燃料の輸入」と題する報告書を発表した。

CREAは、ロシアが2月24日から6月3日までの侵攻からの100日間で石油、天然ガス、石炭などの化石燃料の輸出によって930億ユーロ(兆ウォン)を稼いだと明らかにした。
比率は原油と軽油など石油製品が63%、天然ガスが32%、石炭の5%がほとんどだった。

ロシア産の化石燃料の主な輸出先は、依然として欧州連合(EU)加盟国で、全体の61%を占めた。
EUは5月30日、年末までにロシア産の石油の輸入を90%削減することを決めるなど、強力な制裁を約束しているが、まだ効果は現れていない。

 

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欧米ウクライナの対ロシア戦略は、露に対する強力な金融経済制裁により戦費の枯渇を目指したが、その効果は、化石燃料を暴騰させ、欧米はインフレに陥る一方、ロシアは少々減ったものの相変わらず欧州へ輸出する一方、相場のダンピング価格で新たな輸出先を見出し、4月までに制裁前の810万バレルとされる輸出量に戻している。相場より少々安価に販売しても元々高騰していた原油価格、多くの利益を享受している。

ここにきて、新興国は米のインフレ退治の金利高に為替安となり、外貨準備金も限られ、スリランカを見るまでもなく、特に資源のない新興国は燃料調達に苦慮している。そうしたところにロシア産原油が浸透している。インド・東南アジア諸国・中国など

また、これまで中東が近くほとんどロシアから原油を輸入していなかったインドは、ロシアと大量の長期輸入契約を締結、すでに輸入量は80万バレル/日に達しているという。その原油がインドで精製され、石油製品として欧州へ米国へインド製品として流れ込んでいる。

(2014年の露制裁でも露産天然ガスを中国が大量輸入契約を締結して落ち込んだロシア経済を救済した経緯がある。それまで領土問題で長期仲違いしていた中露を急接近させてしまったオバマ-バイデン政権の戦後最大の外交的失敗でもあった)

トランプ政権のようにセカンダリィボイコットを課さない限りどうしようもないが、その制裁でさえ、イランやベネズエラ産原油を、米国の制裁に追随しない中国は輸入しており、その原油が精製されプラスチックとなり、部品・部材、多種多様な製品群に化けて米国へ大量に輸出され続けている。すべて中国で生産されるiPhoneすら大量にそうしたプラスチック類が使用されている現実がある。すべてがグローバル化させてきた世界では限界がある。

国際エネルギー機関(IEA)によると、2021年は石油と天然ガスの輸出で稼いだ収益がロシア財政の45%を占めている。
価格高騰により輸出制限品もあるものの、国家財政は戦費も必要だろうが、十二分確保されているものと見られる。

これまでに天然ガスの欧州輸出は少々減少しているが、代賛が限られ、EUは原油のようには正式には輸入の大幅減もしくは禁輸について発表していない。
この間、昨年から天然ガス価格は2.5倍に暴騰しており、輸入が半分になったとしても昨年より収入が大幅に増加している。ましてや為替問題から原油も天然ガスも欧州勢に対してはルーブルで購入させ、ルーブルの独歩高となっている。

それを顕著に表しているのが、為替ではないだろうか。
対ドルルーブルは
1月1日、84.17ルーブル、
2月1日、86.67ルーブル
3月7日(露制裁日)、155.21ルーブルに大暴落
4月1日、85.75ルーブル
6月15日、59.71ルーブル
対ユーロも同じ流れとなっている。

日本も当然、露制裁に参加しており、露のしっぺ返しは今般の日露漁業協定の露の一方的破棄、露が日本から占領している歯舞諸島沖の昆布漁が大打撃を受けている。

2014年も北方領土返還交渉のさなか、露制裁により返還交渉はすべて停止された。

ウクライナは中国へ空母を売却した国でもある。欧米はウクライナ命である。

先物相場/米ドル

 

原油価格

天然ガス

小麦

単位ほか

WTI

MMBtu

BU

21/1/1

49.93

2.581

641.75

21/6/1

66.91

3.107

663.50

22/1/1

86.46

3.810

758.00

22/3/1

108.89

4.660

1,000.00

22/5/1

100.90

7.475

1,055.50

22/6/1

116.78

8.728

1,041.50

22/6/15

115.93

7.540

1,050.00

 

[ 2022年6月16日 ]

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