人権問題・・・
サウジは王政であり、女性に対する人権問題が昔からあり、さらにサウジ人のカショギ記者をサウジが暗殺したことにより、米民主党政権と対立している。
協調減産要請・・・
サウジはオバマ大統領当時、米国のシェールオイルの増産で原油価格が2014年から2016年2月にかけ101ドルが29ドルまで下落、米国に対して減産を要請した。しかし、当時のオバマ政権は無視、そのためサウジはロシアに協力減産要請した。結果、ロシアが減産に協力したことから、原油価格は回復に向かった。
その結果、こん日OPEC+と呼ばれる+部分はロシアを指す。
トランプ政権時代も原油価格が上昇し、サウジに対して増産するよう恫喝、トランプ大統領の場合、何をしでかすかわからず、恐怖のため、OPECに諮り増産した経緯がある。
サウジは、米国に対して快く思っておらず、特に民主党政権には反感すら持っている。
ウクライナ問題においても、西側の露制裁に同調していない。
サウジが困ったときには米国は助けず、米国が困ったときは助けてくれとサウジに言っても、サウジは助けてくれないだろう。
こうした中、原油高・物価高でインフレが加速している米国にあり、バイデン政権は米国では9000ヶ所あまりの新たな原油掘削地を認可しているが、国内の原油生産会社は増産に協力してくれず、サウジに増産要請に向かった。
しかし、バイデン大統領が中東歴訪のサウジで、カショギ記者暗殺事件を再び取り上げたのか、サウジの皇太子は、「こういうことはどこの国でもある。価値観が異なる国どうし、協力できるところは協力しよう」と対応している。
当暗殺問題の黒幕は増産交渉相手の皇太子であり、米CIAもそう結論付けている。
一方で原油の増産要請しながら、黒幕の張本人に対して問題提起するのは、いかがなものかということになる。
結局、サウジの皇太子は、「すでに目いっぱい増産している」と反論し、米国との湾岸諸国会議でも増産の確約は取れなかった。
サウジ連合軍のイエメン空爆では、イエメン・フーシ派がこれまでのサウジに留まらず、ほかの湾岸諸国の原油施設も攻撃したことから、サウジは報復はしたものの、その後、停戦の協議に入っている。
サウジはフーシ派への爆撃に際し、米偵察機や軍事偵察衛星情報をサウジが利用していたことは知られたことだが、間違いも多く民間施設を空爆したりしていた(現地入っているNGOが何回も発表)、停戦が実現すればその情報も必要なくなる。
オバマ政権時にはサウジに対し兵器輸出も人権問題から規制し、サウジはロシアから購入したりもしていた。
現在でも、サウジは中国の支援を受けて迎撃ミサイルを国産化する事業に取り組んでいる始末。
サウジは米国と本来近い関係にあるが、民主主義・人権を大上段に構える米・民主党政権とは必ずしもうまくいっていない。
カショギ暗殺事件はトランプ政権時であり、民主党の大統領としてバイデン氏は民主党内のリベラル派の圧力もあり、会談で言及したのだろう。
そんなこんなで、原油も天然ガスも7月18日の米国の先物取引市場は、何もかも上昇している。
本末転倒、
米国で原油増産した会社には減税するなどの土産を示さず、直接、生産者団体と会おうともせず、スピーチだけで増産のおねだりをしても、生産会社は増産しない。
バイデン大統領は地球温暖化抑制のため化石燃料廃絶を目指す政権として誕生、トランプ前大統領が認可した原油のパイプラインを、バイデン大統領は就任早々に取り消し、それ以来、対立したままになっている。
生産会社にしても、莫大な投資をして新たなリグを稼動させ、原油価格を下落させても、価格が下がる分、投資効率が悪くなり、また、一方で、バイデン政権はソ―ラー発電所への政府補助金もスタートさせ、グリーンエネルギーへ大きく展開、EVの普及も始まっており、原油生産会社にとっては先行き不安だらけでもある。
原油生産会社にしても、投資を回収するまでに原油がタブ付けば回収どころではなくなり、長期を見据えて新たな投資を控えている。
現状、原油生産会社は莫大な利益を上げており、その高額配当に生産会社に投資している米ハゲタカ投資ファンドも大喜びしている。
自国の原油生産会社と対立したまま米国の原油生産量は、OPEC以下のゆっくりしたペースでしか増産しておらず、掘削稼動リグ数も新コロナ以前に戻っていない。一方で、ベネズエラやサウジに増産を要請している始末。(OPECはこれまでの毎月40万バレル/日を5月から65万バレルに引き上げている)
民主党政権になれば、イランとの核再合意が近いと見られたが、敷居を双方上げたのか、対立は逆に激しくなっており、再合意の見通しはまったく立っていない。
それどころか、イランはロシアに数百機のドローンを供与するなど、バイデン政権主導の露制裁に反抗した動きも見せている。
イランはこれまでの米制裁でこれ以上、経済が悪化することもなく、原油は中国や新興国へ輸出もしており、当然、原油価格の高騰の恩恵も受けている。
民主党政権になった米国へ擦り寄る気配はまったくない。
バイデン政権はならず者国家のベネズエラに対して増産要請したものの、イランには当然ながら増産要請しておらず、トランプ制裁のままとなっている。
米国のインフレは、新コロナで停滞した経済が、トランプ時代から回復途上にあったものの、バイデン大統領が1.9兆ドルもの新コロナ対策資金を、バラ撒き、その結果、インフレが昨年10月から顕著になり、それを冷やすため、昨秋からテーパーリング(金融緩和で市場から購入した資産を売却して市場から流動性資金を回収/金融引き締め)に入っていた。
そうした中、2月24日にロシアのウクライナ侵攻が始まり、3月9日の露制裁により高止まりしていた原油や天然ガス価格が吹き上げ暴騰、3月15日にはインフレ対策に米国は金利を0.25%から0.5%に引き上げた。
露制裁は高騰していた食料価格までさらに暴騰させ、米国のインフレは上昇し続け、インフレ対策に金利を5・6月と引き上げ1.75%に、7月も大幅引き上げが予想されている・・・。
11月に控えた中間選挙、バイデン大統領にとって中間選挙に勝利しなければ、議会に政策が左右され、片肺飛行となる。次期大統領選挙の予備選の位置付けにもある。
しかし、国民の目下の最注目度は物価高、それもガソリン価格の高騰にあり、それも改善させるために今回のサウジ・湾岸行脚となったが、土産なしの徒労に終わろうとしている。
欧州では、露制裁の反動から天然ガス価格が急騰、米国が支えるため欧州へ輸出していたが、米国のLNG施設が火災により修理に長期を要し、その分が米国の需要に対応することから、米国では天然ガス価格が急落していた(米国から欧州へは天然ガスをLNG化しなければ送れない)。
欧州では、先月、ロシアがパイプラインの修理に入るとして一方的に止め、ドイツに対して供給量が一時6割減となっていたが、米ロのこうした2つの影響で欧州では天然ガス価格が暴騰していた。
ロシアは今になって不可抗力条項を宣言するなど、今後もこうした不測の事態を発生させる可能性を示唆したともみなされている。
ロシア産の供給量は、ある程度戻ったものの、まだ1ヶ月前に比べ完全には戻っていない。(露制裁もあり、欧州国はほかの天然ガス生産国からの購入を拡大させているが限度がある。そうした中、米国が助け舟を出してきたものの、自国の天然ガス価格も急騰させていた。)
欧州では熱波が襲っており、英国でも観測史上初めて40度を記録。当然、冷房が必要となり、そのための電力需要に原油なり天然ガスの需要が大幅に増加することから、再び価格が高騰してきている。
WTI原油価格は米景気後退説から7月14日には92ドルまで下がったが、18日までに再び上昇、99ドル台で推移している。
天然ガスは、米国では、NYM価格はLNG施設の火災による輸出減で7月10日6.034まで下がっていたが、現在7.438まで上昇し、6月下落していた天然ガス価格が7月には再び上昇し、インフレに悪影響をもたらすことになる。
一方、LNG取引の欧州のTTFIは6月10日82.465が、ロシアから供給が大幅減少し一時183.185まで急騰、現在は157.260前後で取引されている。西欧を襲っている熱波問題はエネルギー価格にも大きな影響を与えている。
米国のインフレは、予期されたバイデンインフレであり、それに露制裁インフレが重なり、米国の景気指標が大幅に悪化しない限り、下がりそうにない。
物価高騰も、景気が悪化しても、バイデン政権の責任となり、中間選挙を前にほくそ笑んでいるのはトランプ前大統領であり、共和党支持の大富豪コーク兄弟(巨大石油精製施設を持ち、石油製品の配送会社を持つ)はじめシェールオイル生産者団体である。
高齢にしては猪突猛進型のバイデン氏、スタッフにリベラル派の女性たちを多く配し、経済の重鎮を配しておらず、したい放題・やりたい放題で経済を大きく上下にブレさせている。
また、ロックダウンでチョロチョロしている中国経済が、本格的に回復してきた場合もエネルギー、食糧品価格に大きな影響をもたらすことになる。
バイデン氏のサウジ・中東歴訪は無駄足だったようだ。
もう一つの歴訪目的だったサウジとイスラエルをさらに結びつけ、ロシアを孤立させる交渉もうまく運ばなかったと見られる。露制裁にはイスラエルもサウジも加担していない。
米国にとってどうにでもなるのは日本くらいのものだろう。どこの国も一癖二癖どころではない。
スクロール→
米インフレ率
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FRB
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参考
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インフレ率
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金利
|
米生産者
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対ドル円
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全体
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食料
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コア
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%
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物価指数
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月初
|
21/9月
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5.4
|
4.6
|
4.0
|
0.25
|
129.16
|
109.92
|
21/10月
|
6.2
|
5.3
|
4.6
|
|
130.02
|
111.50
|
21/11月
|
6.8
|
6.1
|
4.9
|
|
131.26
|
113.81
|
21/12月
|
7.0
|
6.3
|
5.5
|
|
131.98
|
113.50
|
22/1月
|
7.5
|
7.0
|
6.0
|
|
133.54
|
115.78
|
22/2月
|
7.9
|
7.9
|
6.4
|
|
134.79
|
114.71
|
22/3月
|
8.5
|
8.8
|
6.5
|
0.50
|
136.65
|
114.89
|
22/4月
|
8.3
|
9.4
|
6.2
|
|
137.79
|
122.49
|
22/5月
|
8.6
|
10.1
|
6.0
|
1.00
|
138.88
|
130.14
|
22/6月
|
9.1
|
10.4
|
5.9
|
1.75
|
140.42
|
130.11
|
7/18日
|
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138.01
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・コアインフレ率はエネルギーと食料を除いたもの。
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・食品とエネルギーを除くコアインフレ率は下がってきている。
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