アイコン 米経済堅調、インフレ退治遠のく 一層の金利高必至 10年物国債利回4%近づく


米国はインフレ退治にそれまでの大金融緩和から引き締め策へ、次に基準金利を上昇させ、沈静化に務めているが、まだ足下では、賃金の上昇、雇用者数の増加などから消費関連が堅調、  当面、金利をさらに引き上げ、早期に沈静化させる動きに徹するものと見られる。

年内中は上昇、来年上旬金利高頭打ち、金利高は来年後半まで続くと見られている。

10年物国債の米国債と日本国債の利回り金利差は拡大するばかり、さらに円安ともなれば為替差益も発生するため日本から米国債等の債権購入が増加し、ドル高を助長している。(一番怖いのは、30年余り低金利で目減りしているタンス預金等日本人の現金資産が、金利が高い米国債購入等へ雪崩れ現象を引き起こし購入に走ること。それも数百兆円単位で、結果、円は大暴落することになる。統一教会に現を抜かす間に政治に対し、経済・金融に関する限り愛国主義は薄れてきている)

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米国の今回の経済指標
1、9月のリッチモンド連銀製造業指数:0(予想:▲11、8月は▲8.0)
2、8月の新築住宅販売件数:68.5万戸(予想50.0万戸、7月:53.2万戸)
3、9月消費者信頼感指数:108.0(予想:104.5、8月は103.6)

コンファレンスボード社が発表した米国の9月消費者信頼感指数は108.0と、8月103.6から予想以上に上昇し、4月来で最高となった。
また、米8月新築住宅販売件数は前月比+28.8%増の68.5万戸と、7月53.2万戸から予想外の増加となり、3月来で最高となった。
米9月リッチモンド連銀製造業指数は0と、8月の▲8からの悪化予想に反し改善している。

4、9月の住宅価格指数 8月の18.1%から15.8%に鈍化
5、20都市の住宅価格指数は前月比▲0.4%低下
全米ベースでの住宅価格指数の伸びは15.8%、前月は18.1%から▲2.3ポイント鈍化し、統計発表元であるS&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズによれば、この鈍化幅は統計開始後最大。
住宅価格は、前年同月比では依然として全米レベルで上昇しているが、新コロナ惨禍で見られた物件購入熱を住宅ローン金利上昇(30年ローンが6%台まで上昇)が、冷ましつつある兆候も見られている。20都市の価格指数は前月比では▲0.4%低下、2012年以来のマイナスを記録している。
以上、

強い米国経済指標を受け、長期金利の目安となる米10年債利回りは、更なる金利高を見越し上昇に転じ、3.964%と2008年以降で最高となった。
ドル買いが優勢となり、ドル・円は144円85銭まで上昇し22日来の高値を更新した。ユーロ・ドルは0.9618ドルから0.9600ドルまで反落。
ポンド・ドルは1.0816ドルから1.0736ドルまで下落した。

また、商品先物価格も
WTI原油は2ドル以上上昇し78ドル台で推移
灯油は4%以上値上がりし3.1763ドル台で推移、灯油は冬に向け購入時期に入っている。
小麦も2.8%上昇している。

こうした事態は想定され、金利を上げたところで均一に下がることはない。ただ、中期的に見れば、金利高により景気は冷やされ、住宅も自動車もローン金利が大きくなり、クレジット金利も大きくなり販売は低迷し、スチール等材料価格も下がる。
今後も
向こう数ヶ月はこうした短期の経済指標に一喜一憂し続け、為替も証券も債権も商品先物価格も揺れ動き続けることになる。

また、企業経営が悪化すれば、リストラから就業者数や賃金に影響し、インフレの原動力である購買力は弱くなってくる。結果、経済活動が弱まれば、商品価格は原油価格に見られるように自ずと下がる。

<米国の各種インフレ率>
全体は下がっているが、賃金上昇や雇用増により購買力が増してきており、食料や家賃・外食等サービス価格の上昇は続いており、沈静化にはまだ遠い。そのために米国はインフレ退治に躍起になっているが、今回のように住宅販売価格戸数が増加するなど、荒波に寄れている状態で、鬼が島にはまだ遠く、年内は続くものと見られる。
原油価格も需要期に入る天然ガスの高騰に連れ、上昇する可能性もある。原油と連れ安に転じていた灯油価格は上昇に転じている。石炭価格も高止まりのままとなっている。

中国は豪州と喧嘩して石炭の輸入をストップしていたが、電力(6割が石炭火力発電)・暖房に欠かせない冬季を控え中国から和解の申し入れをしており、石炭価格は再騰する懸念もある。


スクロール→

米国の各種インフレ率

 

インフレ率

金利

 

全体

食料

コア

家賃

サービス

エネルギー

金利

21/9

5.4

4.6

4.0

3.16

3.20

24.83

0.25

21/10

6.2

5.3

4.6

3.48

3.65

29.97

0.25

21/11

6.8

6.1

4.9

3.84

3.77

33.29

0.25

21/12

7.0

6.3

5.5

4.13

4.01

29.30

0.25

22/1

7.5

7.0

6.0

4.36

4.58

26.98

0.25

22/2

7.9

7.9

6.4

4.74

4.80

25.55

0.25

22/3

8.5

8.8

6.5

4.98

5.12

32.05

0.50

22/4

8.3

9.4

6.2

5.14

5.37

30.27

0.50

22/5

8.6

10.1

6.0

5.45

5.74

34.06

1.00

22/6

9.1

10.4

5.9

5.61

6.22

41.62

1.75

22/7

8.5

10.9

5.9

5.70

6.25

32.93

2.50

22/8

8.3

11.4

6.3

6.24

6.81

23.81

2.50

22/9

 

 

 

 

 

 

3.25

・コアインフレ率はエネルギーと食料を除いたもの。

 

 

 

対ドル円

10国債利回り

米株価

米金利

 

 

米国

日金利差

ダウ

 金利

11

115.78

1.701

1.451

36,451

0.25

31

115.12

1.795

1.545

33,697

0.25

61

130.11

2.911

2.661

32,823

1.00

 

 

 

 

 

 

81

131.61

2.606

2.356

32,798

2.50

810

132.87

2.786

2.536

33,809

2.50

820

136.93

2.989

2.739

33,706

2.50

831

138.96

3.133

2.883

31,510

2.50

 

 

 

 

 

 

99

142.52

3.321

3.071

32,151

2.50

910

 

 

 

 

 

911

 

 

 

 

 

912

142.83

3.362

3.112

32,381

2.50

913

144.55

3.422

3.172

31,104

2.50

914

143.15

3.412

3.162

31,135

2.50

915

143.52

3.459

3.209

30,961

2.50

916

142.91

3.448

3.198

30,822

2.50

917

 

 

 

 

 

918

 

 

 

 

 

919

143.2

3.490

3.240

31,019

2.50

920

143.72

3.574

3.324

30,706

2.50

921

144.04

3.510

3.260

30,183

2.50

922

142.13

3.708

3.458

30,076

3.25

923

143.32

3.697

3.447

29,590

3.25

924

 

 

 

925

 

 

926

144.75

3.878

3.628

29,260

3.25

927

144.84

3.949

3.699

29,051

3.25

928

 

 

 

 

 

・金利差は米国債と日本国債のそれぞれ10年ものの利回りの金利差、日本国債は0.25%固定しての金利差

 

<主要な商品先物価格>

商品先物価格は投機家・投資家筋の米金利高に伴う逃げにより、ピークより大幅に下がってきている。

国際商品先物価格(指定外ドル相場)

 

19/12

21.9.12

22.1.3

3/7

7/1

9/12

前年比

WTI原油

60.7

70.4

75.8

115

105

84

19.3%

米天然ガス

2.151

5.023

3.815

4.833

5.712

7.814

55.6%

TTFガス

12

61

80.4

227.2

147.7

193

216.4%

石炭

67

177

157

422

388

439

148.0%

鉄鉱石

92

124

116

159

118

101

-18.5%

2.795

4.448

4.447

4.722

3.609

3.625

-18.5%

小麦

508

689

758

1,252

846

869

26.1%

大豆

948

1,285

1,355

1,659

1,416

1,476

14.9%

トウモロコシ

388

513

589

749

619

691

34.7%

採取油

412

575

771

845

669

574

-0.2%

フィーダー牛

145

152

166

159

174

179

17.8%

(NOK)

57

62

62

72

103

83

33.9%

木材

405

503

1,112

1,456

657

506

0.6%

尿素

243

517

863.5

950

709.3

850

64.4%

・尿素は小麦等作物の必需肥料/WTI原油先物価格は27日76ドル台まで下落/TTFガスはLMG欧州ユーロ価格/鮭=サーモンはノルウェー価格/フィーダー牛は飼料牛

 

商品先物価格

22/9/27

WTI原油

78.9

米天然ガス

6.682

TTFガス(EUR)

186.1

石炭

438

鉄鉱石

99

3.309

小麦

868

大豆

1408

トウモロコシ

668

採取油(EUR)

602

フィーダー牛(飼料牛)

175

(NOK)

83

木材

429

尿素

862

 

  日本は円安により商品価格を円貨では3割高く購入していることになる。

  海運価格は大幅に下がってきている。

  半導体指数は新コロナの巣篭もり・テレワーク需要一巡と諸物価高騰のインフレにより下がってきている。タブレット・パソコン・電子家電製品需要減退。

指数と為替

21/9.

22/9.

下落率

バルチック海運指数

4,644

1,813

-61.0%

SOX半導体指数

3,261

2,398

-26.5%

対ドル円(円安)

111.356

144.783

30.0%

 

[ 2022年9月28日 ]

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