アイコン 米金利5.25%に引き上げ 危ない米銀8行銀行破綻リスクさらに高まる

Posted:[ 2023年5月 8日 ]

米FRBは5月3日、公定歩合を0.25%引き上げ5.25%とした。インフレ退治を最優先課題にしているこれまでのスタンスを継承した。
ただ、回復途上にあった2021年にバイデン大統領が1.9兆ドル(258兆円/136円)の新コロナ経済対策を講じた時には何も発せず、今になって金利を上げ続けるとはいかんともしがたいが、誰も責任を問われない政治の世界、アメリカらしいといえばそうであろうが、日本も歯止めのない国債残高や政府の財布に化した日銀の方がよほど脅威だろうが・・・。

 残念ながら、金利を上げて景気を悪化させない限り、インフレは収まらない。ここまで金利を上昇させても米国では総就業者数の増加が続いており、これまでに賃金も上昇、インフレは収まりそうにない。

米国ではシリコンバレー銀行(SVB)に続き、今回のファーストリパブリックまで、2ヶ月間で米国銀行4行(うち1行は任意整理)が相次いで経営破たん、銀行危機の恐怖がなかなか収まらない。

 



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今回も、米最大手銀行であるJPモルガンがファーストリパブリックを買収し、急場しのぎの火の粉を消したが、地域・中小銀行のドミノ倒産が続きかねないという懸念が頭をもたげている。
 同行は、サンフランシスコに基盤を置いて1985年に設立され、全米14位の銀行に成長したが、SVBの閉鎖後、取りつけ騒ぎに苦しみ崩壊の手順を踏んだ。
この影響で、ニューヨーク証券市場ではロサンゼルス基盤のウエストパック銀行が28%暴落するなど、全米の中小銀行の株価が軒並み下落した。地域銀行を集めた指数は、約3年前の水準に戻った。

 金融専門家たちは、「(金融機関の破綻は)今始まったばかりだ」という警告している。スタンフォード大学のアミット・セル教授は、最近の報告書で、「米国の4800行のうち半分近くが資本食い込みに陥り、潜在的に破たんリスクを抱えている」と試算している。 
最悪の場合、1600余りの銀行で、取り付け騒ぎが起きる可能性があると見ている。

  特に、新コロナ下でのテレワークの増加の伴う事務所縮小、さらに金利引き上げなどの影響で、米国の商業用不動産市場が低迷に陥り、地域銀行の不良を加速化させるという懸念が高まっている。
5兆6000億ドル(約760兆円/136円)に達する米商業用不動産融資の3分の1(約253兆円)が、中小銀行に集中している。
その商業用不動産の第1四半期の米オフィスの空室率は19%(地域によってはさらに悲惨な状況)で、31年ぶりの空き室率に陥り、大手機関投資家でさえ最近オフィス担保融資の利息を返済できず危機の兆候を高めている。
以上、

米銀は決算状況に関係なく、何かのきっかけが噂が噂を呼び、証券界で株価が大幅に下がり、また、預金者の預金引き上げ=預金剥がしにより危機に陥る銀行が急増している。
これまで金融機関は貸付先の貸付債権を貸付剥がしして企業に最期の一徹を食らわせていたが、今回はまったく逆の減少が生じている。
株価急落と預金の大量引き出し、その逆により、ネットバンキングの時代、今回の銀行破綻劇はいとも簡単に倒産の危機に陥ることを証明している。
米政府は、銀行破たんの預金は全額補償するとしているが、融資先・債権者や株主に対しては1円たりとて補償するものではなく、また政府予算は6月に底を突くとされ、共和党下院の動向しだいともなる。共和党は小さな政府、市場干渉を嫌う体質であり、どう決着するかわからない。


スクロール→

米全市場の銀行関連株(米市場に上場している海外銀行の含む)

全米市場の上場銀行関連株は325社となっている

3/1

 

 

3/1.

3/21.

4/28.

5/3.

5/4.

下落率

PACW

パックウェスト・バンコープ

27.99

12.21

10.15

6.42

3.71

-86.7%

HMST

ホームストリート

25.37

19.01

9.76

5.64

4.97

-80.4%

WAL

ウエスタン・アライアンス・バンコーポレーション

75.16

33.58

37.12

29.57

22.49

-70.1%

MCB

メトロポリタン・バンクHD

55.91

37.87

32.09

21.22

17.15

-69.3%

FRBK

リパブリック・ファースト・バンコープ

1.96

1.37

1.23

0.75

0.7

-64.3%

ZION

ザイオンズ・バンコープ

50.44

32.29

27.76

22.66

20.99

-58.4%

FHN

ファースト・ホライズン

22.14

16.13

17.55

15.05

9.31

-57.9%

KEY

キーコープ

18.45

12.76

11.26

9.53

8.69

-52.9%

MYFW

ファースト・ウエスタン・ファイナンシャル

26.27

20.10

17.76

14.69

13.51

-48.6%

EWBC

イースト・ウエスト・バンコープ

75.83

60.30

51.69

45.08

41.66

-45.1%

FULT

フルトン・ファイナンシャル

17.31

15.10

11.93

10.88

10.24

-40.8%

VLY

バレー・ナショナル・バンコープ

11.48

9.97

9.38

7.32

7.01

-38.9%

NTB

バンク・オブN.T. バターフィールド&サン

36.05

29.13

25.73

24.53

23.33

-35.3%

GCBC

グリーン・カウンティー・バンコープ

27.48

23.84

20.55

17.85

17.82

-35.2%

CZNC

シチズンズ&ノーザン

22.35

21.91

19.10

16.99

16.71

-25.2%


<ファースト・ホライゾン>

カナダのトロント・ドミニオン(TD)銀行と米金融サービスのファースト・ホライゾンは五月4日、昨年発表していた合併計画の取り消しに「双方が合意した」ことを明らかにした。合意の条件に基づきTDはファースト・ホライゾンに対して2500万ドル(約33億円)を払い戻すほか、さらに現金2億ドルも支払う。

<ウェスタン・アライアンス・バンコープ>

米地銀ウェスタン・アライアンス・バンコープは、「会社全体もしくは一部事業の売却を含む複数の選択肢を検討している」とする英フィナンシャル・タイムズ(FT)の4日の報道は事実ではないとしてこれを否定した。身売り説を否定した。

 

<パックウェスト・バンコープ>

米地方銀行(A Pacific Western Bank)の持株会社パックウェスト・バンコープは3月以降の預金残高が増加していることを明らかにした上で、複数の投資家候補との協議を確認した。パックウェストの株価は時間外取引で一時▲60%下落し、次に経営状態が危ぶまれる米地銀として注視されている。

 

 


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