アイコン 米国の債務上限問題は トム&ジェリーの関係

Posted:[ 2023年5月23日 ]

米国では与野党逆転の下院、こうした事態では債務上限問題は恒例となっている。さらに来年11月には大統領選を控え、民主党政権に辛く当たるのは共和党として当然なこと。
共和党内部には特に超保守のティーパーティ派(コーク兄弟バック)も一定勢力あり、小さな政府を目指し、政府主導とする民主党政権とは犬猿の仲となっている。

<現行予算上限は31兆4千億ドルと共和党の要求>
債務上限緩和で共和党がバイデン政権に要求しているのは、
1、バイデン政権の看板政策である再生可能エネルギーやEV=電気自動車などに対する税額控除の廃止または修正。
2、低所得者向けの医療保険制度「メディケイド」や食料支援を行う際の条件の厳格化。
3、石油・天然ガス・鉱物などエネルギー資源開発プロジェクトに対して政府の許認可プロセスを迅速にすることなども盛り込んでいる。
4、1,2などにより4兆5000億ドルの予算削減

国債がとかく問題視されるが、共和党が折れるまで一時的に利息を支払い、償還もそれまで待ってもらうほかない。
そこまでしないと共和党は反対した意味がなくなり、民主党政権にも少しはダメージを与えることができるというもの。
デフォルトに陥らせれば、共和党の受けるダメージは民主党より大きく、その後はことごとく負け戦となる。

23年4月の米政府債務残高は31兆4578億ドル(4278兆円/136円//22年のGDP比率は129%)、

 



スポンサーリンク

<オバマ政権下でも同じことが>
オバマ政権下の2011年、米国がデフォルトの深刻な危険にさらされていると最後に見られたとき交渉は決着したが、期限の数時間前に10年間で9000億ドルの歳出削減を含む妥協案が発表され、決着を見ていた。
当対立では、株式市場の暴落を引き起こし、同年だけで国民に少なくとも13億ドルの借入コスト増をもたらしたと推定されている。

<政府機関の資金枯渇>
米政府がさらなる借り入れを認めない限り、数週間以内に資金が枯渇し始める可能性がある。では、どのようにしてこの点に到達したのか?
16日、バイデン米大統領は、一か八かの予算交渉を再開するために共和党下院議長ケビン・マッカーシーと会談した。
米国議会がいわゆる債務上限を引き上げる合意に合意できなければ、世界的な金融混乱が起こるという悲惨な予測がある。
政治家らが合意に達しなければ、米国は債務不履行に陥る可能性がある。

<債務上限とは何か?>
これは債務制限とも呼ばれ、政府が請求書を支払うために借りられる金額の総額を制限する法律。
これには、連邦職員、軍人、社会保障、メディケアの支払いのほか、国債の利子や税金の還付も含まれる。
米国議会は、より多くの借り入れができるように、限度額の引き上げや停止を決議することが時々ある。
現在の上限は約31.4兆ドルとなっている。この制限は1月に突破したが、財務省は政府が何をすべきかを考えるまでの間、政府にさらに多くの現金を提供するために「臨時措置」をとった。
通常、議会が必要に応じて上限を引き上げるのは形式的なことだが、今回は条件で合意できそうにない。
イエレン財務長官は、さらなる借入がなければ、米国は早ければ6月1日にもすべての金融義務を履行するのに十分な資金を得ることができなくなると警告している。

<債務上限が引き上げられなかったらどうなるのか?>
実際にこのような事態が起こったことはないので完全にはわからないが、大きな経済的ダメージを引き起こす可能性があることだけは間違いない。
政府は連邦職員や軍職員の給与を支払うことができなくなり、米国の何百万人もの年金受給者が頼りにしている社会保障小切手の支払いも停止される。
政府の資金を当てにしている企業や慈善団体は危険にさらされる。

政府が債務の利払いを停止すれば、国も債務不履行=デフォルトに陥る。
一時的でも債務不履行に陥れば、毎日5000億ドル以上の米国債が取引される金融システムに衝撃を与えることになる。
ムーディーズは、膠着状態が長引けば株価は5分の1近く下落し、経済は4%以上縮小し、700万人以上の雇用が失われると予測している。
合意がなければ、米国は31兆4000億ドルの債務をデフォルトする可能性がある。

<共和党の予算枠拡大の条件>
共和党は債務上限引き上げへの支持と引き換えに、バイデン氏の立法上の優先事項のいくつかを潰すことを含む4兆5000億ドル規模の予算削減を要求している。

共和党は4月、債務上限を1兆5000億ドル、または3月31日まで停止する合意を提案した。
多くの共和党員は、国の現在の路線が最終的には経済的、社会的破滅につながるため、それが必要だと考えている。

民主党は概して、国家政府の権力を善のための力、つまりアメリカ人の生活を改善し、歴史的間違いを正す手段であると考えている。
彼らは、必要に応じて債務上限を引き上げることは、政府の運営を維持するために必要な調整であると考えている。
彼らの見解では、国債はすでに議論され承認された立法計画に資金を提供する手段にすぎない。

ホワイトハウスでは共和党のトランプ氏の発言で議論が薄れ、議会は大きな議論もなく上限を3回引き上げた。
バイデン氏が、その代わりに、次の会計年度中は主要政府機関への支出を2022年の水準に維持し、今後10年間の増加率を年間1%に制限する予定で、これにより4兆9000億ドルの節約につながる可能性がある。
しかし、この提案は、学生ローンの免除やEV=電気自動車に対するIRA法による税制上の優遇措置など、バイデン政権の重要な優先事項を廃止する内容となる。

バイデン氏は債務上限引き上げと財政赤字削減は別個の問題であるべきだと主張しているが、米国民の支持を得ていない。

以上、
バイデン大統領が大統領量就任祝いに、すでに経済が回復中の米国にうあり、2021年に新コロナ経済対策という大義により1.9兆ドルの政府投資を行ったことが、世界での資源高・高いインフレを呼び起こし、その半年後にはインフレ退治に高金利政策に転換し、新コロナでダメージを受けた各国の経済を物価高、外資不足などによりさらに悪化させる原因とさせている。
このように力により好き勝手な予算編成ができれば、債務上限はなくなり、財政規律もなくなり、戦後ほぼ一党独裁の日本のように底なしになり、世界経済は大金融緩和・超低金利で経済回復させるどころか超インフレに陥る危険性を孕むことになる。
米マスコミは民主党支持が多く、共和党を批判的に書く、金融関係者は自らの利に沿って発言する。根本問題がどこにあるのか、示さない限り、根本的な問題は解決しないだろう。
ただ、米国は日本と異なり土建国家ではないため、コントロールすることはできる。(小泉政権時代から聖域なき削減により公共投資が大幅に減らされ続けたため、その後の麻生政権下で大敗した。能無しの民主党政権は評価に値もせず、2012年12月から始まったABC政権のアベノミクスでは、公共投資のバラ撒き政策も核心の一つであり、それも今に至り、選挙では常に大勝している。企業好景気により法人税減税でも大幅増、一方で国債発行残も大幅増がそれを裏付けている。国交省の直接投資工事と地方交付税の増加により全国津々浦々の公共投資が行きわたっている。その限り政権は安泰。)



 

 


スポンサーリンク

HTML Comment Box is loading comments...



※記事の削除等は問合せにて。

 




スポンサーリンク

スポンサーリンク