経済政策の違いによるインフレ率の比較:米国と日本
消費者物価指数は前年前月比で表示され、前年同月が高い上昇率になっていれば、米国においてはインフレ退治の高金利策もあり、今年は低くなるのが当然である。それ明確に示しているのが米国のインフレ率であろうか。
日本の場合、資源自給率は限りなくなく、食料にしても輸入に依存しており、国際商品価格が下がったとしても、為替が関係し、基軸通貨のドルに対して円安が進めば、その円安率の分だけ、日本円ではさらに高く購入することになる。国際商品価格が下がっても、円安率により、以前より高く買い続けることになる。
今回の新コロナという異常事態下の資源・穀物価格等が暴騰すれば、日本は即、経済が疲弊することになる。経団連も日銀クロダも円安は日本経済にとって利益だとするが、GDPの過半を占める消費にとっては大きなマイナスとなる。
アベノミクス下、企業は最高益を続出させていたが給与を上げなかったことから、物価は上がらなかった。黒田氏はアベノミクスの実行部隊の総責任者でありながら、2%物価上昇を目標に掲げたものの、空念仏どころか詐称の目標といわざるを得ない政策を続けた。
米国の物価上昇は資源や穀物類の上昇もあるが、新コロナ政策からウィズコロナ策に早期に転換し、失業率が急速に減少、産業によっては労働力が逼迫して賃金上昇を招いた。 そのチン行上昇と労働者数の増加により、購買力が強くなり続け、物価を押し上げた。
日本の場合は労働力がいくら逼迫しても賃金は満遍なく上昇しない、増加させない政治政策が続いていることにある。
戦後一貫して同一政党政権が続いていることがそもそもの原因だろう。かといって一時、ほかの政党に変わったものの、国民の期待にこたえることもせず、茶番政治の素人三昧をさらけ出し、その反動政権は長期政権を実現して日本をさらに疲弊させ続けた。巨大政党が分裂すれば互いに切磋琢磨し、日本は少しはましな方に変わる可能性もあるが、分裂することもない既得権政党の先生方ばかりになっている。当然行政も政党に諂い、ともに日本を悪化させ元凶となっている。
40年後に4000万人人口が減る現実を前提に政治政策が必要だろうが、現世主義の政治ばかりが続いている。
米国も物価を下げたければ、金利を上げるしかなく、雇用を悪化させ購買力を低下させるしかない。
日本も政策的にバブルを崩壊させたのは0.25%から6.0%まで公定歩合=金利を急速に引き上げたことにある。米国も今回急速に金利を引き上げているが、その効果にはタイムラグがあり、また一方でインフレ促進策ともなるウクライナ軍需特需が発生しており、昨年8月施行のCHIPS法も今年1月のIRA法でも多くの巨大工場が建設中、多くの建設関連工事者が従事、完成後には生産の雇用が創出される。そうしたことからインフレを抑制させるには限度があろう。雇用数を減らす、失業率を高め、購買力を低下させるしかない。
米国はEV用電池に用いられるリチウムも生産しているが、現行、リチウム鉱石を生産し、中国へ送り、中国は石炭をぼんぼん燃やして、その鉱石からリチウムを抽出している。中国の電力価格が安価のためリチウム価格も現行水準であるが、そのためIRA法ではリチウムの原産国が北米のリチウムならば補助金対象にするとしている。しかし、実際は中国製。純粋に米国製ならばリチウム価格はさらに高騰することになる。そのため原産国だったらOKとして抜け道を作っている。
リチウム価格は19年12月58、000ドル/トン、22年11月には597,2500ドルまで10倍高くなった。その後ま今年3月に166,500ドルまで下がるが、再び上昇して227,500ドルとなっている。
スクロール→
|
米国の各種インフレ率 |
|||||||
基準 |
|
インフレ率 |
消費者 |
|||||
金利 |
|
全体 |
コア |
食料 |
家賃 |
サービス |
エネルギ |
CPI |
0.25 |
21/9. |
5.4 |
4.0 |
4.6 |
3.2 |
3.2 |
24.8 |
|
0.25 |
21/10. |
6.2 |
4.6 |
5.3 |
3.5 |
3.6 |
30.0 |
276.58 |
0.25 |
21/11. |
6.8 |
4.9 |
6.1 |
3.8 |
3.8 |
33.3 |
277.94 |
0.25 |
21/12. |
7.0 |
5.5 |
6.3 |
4.1 |
4.0 |
29.3 |
278.80 |
0.25 |
22/1. |
7.5 |
6.0 |
7.0 |
4.4 |
4.6 |
27.0 |
281.14 |
0.25 |
22/2. |
7.9 |
6.4 |
7.9 |
4.7 |
4.8 |
25.6 |
283.71 |
0.50 |
22/3. |
8.5 |
6.5 |
8.8 |
5.0 |
5.1 |
32.0 |
287.50 |
0.50 |
22/4. |
8.3 |
6.2 |
9.4 |
5.1 |
5.4 |
30.3 |
289.10 |
1.00 |
22/5. |
8.6 |
6.0 |
10.1 |
5.5 |
5.7 |
34.1 |
292.29 |
1.75 |
22/6. |
9.1 |
5.9 |
10.4 |
5.6 |
6.2 |
41.6 |
296.31 |
2.50 |
22/7. |
8.5 |
5.9 |
10.9 |
5.7 |
6.2 |
32.9 |
296.27 |
2.50 |
22/8. |
8.3 |
6.3 |
11.4 |
6.2 |
6.8 |
23.8 |
296.17 |
3.25 |
22/9. |
8.2 |
6.6 |
11.2 |
6.6 |
7.4 |
19.8 |
296.80 |
3.25 |
22/10. |
7.7 |
6.3 |
10.9 |
6.9 |
7.2 |
17.6 |
298.01 |
4.00 |
22/11. |
7.1 |
6.0 |
10.6 |
7.1 |
7.2 |
13.1 |
297.70 |
4.50 |
22/12. |
6.5 |
5.7 |
10.4 |
7.5 |
7.5 |
7.3 |
296.79 |
4.50 |
23/1. |
6.4 |
5.6 |
10.1 |
7.9 |
7.6 |
8.7 |
299.17 |
4.75 |
23/2. |
6.0 |
5.5 |
9.5 |
8.1 |
7.6 |
5.2 |
300.84 |
5.00 |
23/3. |
5.0 |
5.6 |
8.5 |
8.2 |
7.3 |
-6.4 |
301.83 |
5.25 |
23/4. |
4.9 |
5.5 |
7.7 |
8.1 |
6.8 |
-5.1 |
303.36 |
日本のインフレ率 |
||||
|
総合 |
コア |
食料 |
消費額 |
21/8月 |
-0.4 |
|
|
|
21/9月 |
0.2 |
0.1 |
0.9 |
|
21/10月 |
0.1 |
0.1 |
0.5 |
|
21/11月 |
0.6 |
0.5 |
1.4 |
|
21/12月 |
0.8 |
0.5 |
2.1 |
-0.2 |
22/1月 |
0.5 |
0.2 |
2.1 |
6.9 |
22/2月 |
0.9 |
0.6 |
2.8 |
1.1 |
22/3月 |
1.2 |
0.8 |
3.4 |
-2.3 |
22/4月 |
2.5 |
2.1 |
4.0 |
-1.7 |
22/5月 |
2.5 |
2.1 |
4.1 |
-0.5 |
22/6月 |
2.4 |
2.2 |
3.7 |
3.5 |
22/7月 |
2.6 |
2.4 |
4.4 |
3.4 |
22/8月 |
3.0 |
2.8 |
4.7 |
5.1 |
22/9月 |
3.0 |
3.0 |
4.2 |
2.3 |
22/10月 |
3.7 |
3.6 |
6.2 |
1.2 |
22/11月 |
3.8 |
3.7 |
6.9 |
-1.2 |
22/12月 |
4.0 |
4.0 |
7.0 |
-1.3 |
23/1月 |
4.3 |
4.2 |
7.3 |
-0.3 |
23/2月 |
3.3 |
3.1 |
7.5 |
1.6 |
23/3月 |
3.2 |
3.1 |
7.8 |
-1.9 |
23/4月 |
3.5 |
3.4 |
8.4 |
|