テスラは1月24日業績報告書を発表し、昨年10~12月期の売上高を前年同期比で3%増の251億67百万ドル(約3兆7160億円)と発表した。
営業利益は同比47%減の20億64百万ドルだった。
販売台数は通年で計画の180万台を達成、23年第4四半期は前年同期比20%増の48万54百台を販売している。
EVは高価格、インフラ未整備、耐用年数(バッテリー8年/16万キロ保証)、下取価格問題などが浮上して、米国など主要市場でEVが売れなくなり、同社は年初および第3四半期から値下げに入っており、さらに11~12月も販売価格を引き下げたとみられる。
さらに最近では、極寒地での充電に時間がかかる問題が発生している。低温では化学反応が遅く、充電に要する時間が長くかかり、充電所での渋滞問題が発生しているという。
EVが一番普及しているノルウェーは90%が各家庭に充電装置を設置しているという。米国でも家庭用充電装置についても補助金が必要だろうが、老人のバイデン大統領にわかるはずもない。
米国では中部までは冬季大寒波が襲来することから、エンストも含め極寒地域住民は利用しづらい。
テスラは今年の業績について「車両販売の伸び率が2023年に比べ大幅に低下する可能性がある。テキサスのギガファクトリーで次世代電気自動車販売に向けた作業をしている」と明らかにした。業界は今年の電気自動車市場の成長率が昨年を下回ると予想している。
中国BYDなどが電気自動車市場で激しく追撃しているのもテスラにとっては危機。BYDは昨年10~12月期の電気自動車生産台数でテスラを抜いて世界トップになった。
テスラは、リン酸鉄リチウムイオン電池は一部中国でしか対応しておらず、BYDはバッテリーメーカー(CATLに次)でもあり、電池代だけでも3割前後安く、車両価格でもBYDにまったく適わない。それにBYDはバリエーションも豊富に展開している。
ただ、米中貿易戦争で米国へ中国勢の車両や中国勢のバッテリーメーカーが進出できないことから、補助金がつく米国では、テスラはEVではまだまだ独り舞台となっている。
テスラは2万5000ドル程度の次世代低価格電気自動車を準備している。
低価格電気自動車で市場の流れを変えようという戦略。
ロイター通信は最近、「テスラが普及型電気自動車モデルを2025年半ばから生産するだろう」と報じた。
これに先立ちイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は2020年にも「低価格電気自動車を生産する」と発表したが生産には至らなかった。
販売台数は2023年の計画どおり180万台を達成させたが、販売するために大幅値引きを繰り返し、結果、営業利益を大幅に悪化させている。
営業利益率が10%切れば既存の自動車メーカーと変わらなくなってしまう。今後、EVもテスラの独壇場ではなくなってくる。すでにEVの生産も販売台数も世界一は中国BYDとなっている。
テスラでは3トンのサイバートラックの開発費用や開発中の廉価版新テスラ車などコストも嵩んでいる。2024年の計画販売台数は60万台増の220万台。
テスラは2030年には2000万台販売するとアドバルーンどころかロケット計画を打ち上げている。人を衛星に乗せ打ち上げ、月でも火星でも飛行させても、帰ってこなければ・・・。
23/12期の利益はまだ調整が必要。
スクロール→
テスラの決算推移
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売上高
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営業益
|
率
|
税前利益
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株主利益
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2018/12.
|
21,461
|
-388
|
-
|
-1,044
|
-1,062
|
2019/12.
|
24,578
|
-69
|
-
|
-655
|
-775
|
2020/12.
|
31,536
|
1,994
|
6.32%
|
1,154
|
862
|
2021/12.
|
53,823
|
6,523
|
12.12%
|
6,343
|
5,644
|
2022/12.
|
81,462
|
13,656
|
16.76%
|
13,719
|
12,587
|
2023/12.
|
96,776
|
8,927
|
|
16,600
|
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直近四半期ベース
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22/3Q
|
21,454
|
3,688
|
17.19%
|
3,636
|
3,331
|
22/4Q
|
24,318
|
3,901
|
16.04%
|
3,983
|
3,707
|
23/1Q
|
23,329
|
2,664
|
11.42%
|
2,800
|
2,539
|
23/2Q
|
24,927
|
2,399
|
9.62%
|
2,937
|
2,614
|
23/3Q
|
23,350
|
1,764
|
7.55%
|
2,045
|
1,878
|
24/4Q
|
25,167
|
2,100
|
8.34%
|
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