ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のLSEGオイル・リサーチのデータによると、2024年上半期のアジアの原油輸入量は前年同期比日量13万バレル減の同2716万バレルだった。
世界の原油需要の伸びをけん引するとみられていた予想に反して減少した。
世界最大の原油輸入国である中国の輸入が減ったことが主因。アジア2位のインドの輸入が増えたものの、中国の減少を補うことはできなかった。
中国税関総署の1~5月の統計やLSEGの6月の予想を基に試算すると、中国の上半期の原油輸入量は日量1108万バレルと、前年同期比同30万バレル減少した。
当局とLSEGのデータに基づくインドの上半期の原油輸入量は日量494万バレルと、前年同期から約9万バレル増えたが、小幅な伸びにとどまった。
アジアの24年通年の原油需要について、石油輸出国機構(OPEC)は前年比日量130万バレル増、IEAは同90万バレル増と予想している。ただ、上半期に同13万バレル減少していることから、通年予想達成には下半期にかなり大幅な増加が必要となる。
以上、ロイター参照
石油精製品は、
中国は国内需要と一帯一路戦略相手国中心に輸出、インドは国内需要中心で小規模だったが、22年3月の露制裁により、ロシアから安価な原油を輸入、精製して欧州へ大量販売している。
中国は民間石油会社が安価なロシア産を輸入することで利益を上げ、国有企業はイラン・サウジ産などをこれまでのように輸入している。
中国は原油の輸入量の増減により経済のバロメーターが判別されることから、今回のマイナスは経済がかなり深刻な低迷に陥っているようだ。
中国の1~5月までの指定規模以上の国営工業企業は総利益は27億5,438万元を達成し、前年比3.4%増加した。
1~5月までの規定規模以上の工業企業のうち、国営企業の総利益は前年同期比▲2.4%減少し9,438億4千万元。
外国企業および香港、マカオ、台湾投資企業は12.6%増の6,827億8千万元を達成、民間企業は7.6%増の7,329億3千万元を達成した。
1~5月までの鉱業の総利益は前年同期比▲16.2%減の5,024億5千万元、製造業は6.3%増の19億2,857万元。
ガスおよび水の生産および供給業界は▲29.5%増の3,233億6千元を実現した。
1~5月までの主要産業の収益状況は以下の通り。
非鉄金属製錬・圧延加工業の収益は前年同期比80.6%増加、
コンピュータ、通信等の電子機器製造業は56.8%増加した。
電力・熱生産・供給業が35.0%増、
繊維産業が23.2%増、
自動車製造業が17.9%増、
農業・副業食品加工業が17.1%増。
石油・天然ガス採掘業は5.3%増、
一般機械器具製造業は1.8%増、
化学原料・化成品製造業は▲2.7%減、
電気機械器具製造業は6.0%減、
特殊機器製造業は6.0%減。
石炭採掘産業は31.8%減、
非金属鉱物製品産業は52.9%減、
石油、石炭およびその他の燃料加工産業は黒字から赤字に転じ、鉄金属精錬業などの損失は増加した。
1~5月までの指定規模以上の工業企業の営業利益は前年比2.9%増の53兆3千億元、営業利益率は3.0%増の45兆2700億元だった。前年同期比0.02ポイント増加した。
以上、
鉱業の不振はEV向けのレアメタルや銅等非鉄関連が、EVの販売計画の世界的な未達から、在庫増により売上販売不振に陥っているものと見られる。
また、鉄鋼関連は建築需要が不動産業の不振から低迷、非鉄のアルミなども住宅や建築物向けが低迷し手いることが原因と見られる。景気回復期待のインフラ需要も中央も地方も不動産業界の回復に主眼を置いており、大きく増加していない。
70~80ドルとWTI原油価格が高止まりしているのは、OPEC+の生産調整と、世界最大の生産国である米国の生産調整が影響している。米オイル掘削リグの稼動数は最近のピーク22年11月の627本が現在479本(6月29日現在、ベーカーヒューズ社版)まで▲23.7%減少している。
直近の原油価格の上昇は中東問題(ユダヤ×ヒズボラの戦争懸念拡大)も影響している。また潜在的大量需要として米国の国家備蓄在庫の回復もある。
原油生産で、米国ほど企業任せで好き放題にさせている国はない。米原油生産は石油メジャーとシェール軍団だが、シェール軍団にはハゲタカ投資ファンドが投資しており、価格・利益統制をさせている。そのため、原油価格の高止まりが続いている。日本は4割り増しの超円安の大きく価格に影響しており、現在、東京ドバイ原油の先物取引価格は、先の22年6月の暴騰時の高値圏にある。22年6月82,900円/23年12月67,960円、24年7月3日82,320円。
成り行き任せで決断力0の岸田首相による超円安政策は、今になって少し調整しても市場は反応しないほど日本の信用は毀損している。政府子会社日銀の植田氏も前任の黒田氏のような抜本的な・ドラスチィックな方針提起さえできない。カタツムリどころかナメクジ。
スクロール→
↓今年(1~5月)の産業別状況(1元:21円)
2024年1月~5月までの指定規模以上の業種別の状況
|
業種
|
売上高
|
額
|
前年比
|
構成
|
(10億元)
|
(%)
|
|
合計
|
530,339.9
|
2.9
|
100.0%
|
石炭採掘・石炭産業
|
12,836.3
|
-15.6
|
2.4%
|
石油・ガス生産業
|
5,129.1
|
7.4
|
1.0%
|
製鉄加工
|
2,254.6
|
22.5
|
0.4%
|
非鉄金属鉱業加工
|
1,397.8
|
7.7
|
0.3%
|
非金属鉱物採掘加工
|
1,360.3
|
-0.6
|
0.3%
|
鉱山専門家と支援活動
|
982.9
|
10.8
|
0.2%
|
その他の鉱業
|
7.5
|
7.1
|
0.0%
|
農業・副業食品加工
|
20,098.2
|
-4.0
|
3.8%
|
食品製造
|
8,677.7
|
5.8
|
1.6%
|
飲料、製茶、酒の製造
|
6,639.5
|
5.2
|
1.3%
|
タバコ産業
|
7,121.5
|
2.4
|
1.3%
|
織物産業
|
9,217.6
|
4.6
|
1.7%
|
繊維衣料品、アパレル業
|
4,612.2
|
0.6
|
0.9%
|
皮革、毛皮、羽毛・履物
|
3,234.0
|
6.4
|
0.6%
|
木材加工、木材、竹、籐、ヤシ、わら製品産業
|
3,382.6
|
0.6
|
0.6%
|
家具製造
|
2,529.1
|
5.9
|
0.5%
|
紙および紙製品産業
|
5,751.2
|
6.4
|
1.1%
|
印刷・記録メディア再生産業
|
2,558.4
|
4.2
|
0.5%
|
文化、教育、産業、美学、スポーツ、エンターテイメント
|
5,314.0
|
7.4
|
1.0%
|
石油、石炭の燃料加工
|
24,700.5
|
0.5
|
4.7%
|
化学原料・化学製品製造
|
36,543.1
|
5.2
|
6.9%
|
医薬品製造業
|
10,037.1
|
-1.0
|
1.9%
|
化学繊維製造
|
4,718.8
|
16.2
|
0.9%
|
ゴム・プラスチック製品産業
|
11,568.5
|
6.6
|
2.2%
|
非金属鉱物製品産業
|
19,842.6
|
-10.6
|
3.7%
|
鉄金属精錬・圧延加工
|
32,891.2
|
-3.3
|
6.2%
|
非鉄金属製錬・圧延加工
|
33,113.6
|
13.0
|
6.2%
|
金属製品産業
|
17,879.9
|
3.6
|
3.4%
|
一般機械製造
|
18,333.7
|
2.4
|
3.5%
|
特殊装置製造
|
14,096.6
|
1.1
|
2.7%
|
自動車製造
|
38,965.7
|
6.8
|
7.3%
|
鉄道、造船、航空宇宙、その他輸送機器製造
|
5,206.4
|
10.9
|
1.0%
|
電気機械器具製造業
|
39,944.2
|
-2.0
|
7.5%
|
コンピュータ、通信等電子機器製造
|
59,533.9
|
8.5
|
11.2%
|
計器類製造業
|
3,701.3
|
3.2
|
0.7%
|
その他製造業
|
809.2
|
8.2
|
0.2%
|
廃棄物資源総合活用産業
|
4,613.2
|
9.6
|
0.9%
|
金属製品・機械器具修理業
|
850.6
|
16.7
|
0.2%
|
電気・熱生産供給業
|
39,498.4
|
4.7
|
7.4%
|
ガス製造・供給業
|
8,578.1
|
5.6
|
1.6%
|
水の製造・供給業
|
1,809.2
|
1.9
|
0.3%
|