イプソスが8日発表した米大統領選に向けた支持率調査によると、民主党の大統領候補であるハリス副大統領が42%、共和党候補のトランプ前大統領が37%で、ハリス氏が5ポイント差でリードを広げている。
調査は8月2~7日に全米の成人2045人を対象に実施された。
7月22~23日に実施された同調査では、ハリス氏が37%、トランプ氏が34%で両者とも支持率を上昇させたが、3ポイントの差でハリス氏が優勢だった。
無所属で出馬している弁護士ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏への支持は4%と、7月調査の10%から低下した。ケネディ氏の支持票がハリス氏に流れたと見られる。イプソスの別の世論調査ででは、2020年の大統領選で接戦となったアリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシンの7州でも、ハリス氏がトランプ氏を42%対40%でリードしていることが分かった。
各州ごとの結果は示されていない。
また、「愛国者」という言葉について、ハリス氏よりもトランプ氏を連想するという回答が多かった。
さらに、ハリス氏の支持者の間で、トランプ氏をからかう言葉として使用されている「奇妙(weird)」についても同様の回答となった。
以上、ロイター参照
トランプ氏はハリス氏を個人攻撃しており逆効果になるだろう。
トランプ前大統領は、ハリス副大統領について以前はインド系だとアピールしていたのに「突然黒人になった」と個人攻撃。
カマラ・ハリス氏は以前から、タミール系インド人の移民の母親(医学者で著名な乳がん研究者)とジャマイカ系の父親(経済学者でスタンフォード大教授)を持ち、出自は黒人でかつアジア系だと説明している。カマラはヒンドゥー教の女神の名。
トランプの選挙活動や発言はすでにマンネリになっており、コアのトランプ支持者には受けは良いだろうが、個人的な批判ばかりでほかの有権者への訴求力に乏しい。
ハリス氏は副大統領としての実績に乏しいところが逆に新鮮味を醸し出しており、トランプ1でフェイク新聞社と名指しされていた大手新聞社各社が今回はハリス氏を取り上げ続けており、マスコミへの打ち出しの多さも奏功しているようだ。
5ポイント差は世論調査の誤差外であり、ハリス氏の勢いは止まらない。まずは9月21日の民主党大会で大統領候補として正式決定、9月7日に設定されたトランプ氏とのTV討論会により、ほぼ、趨勢は決定する可能性もある。
民主党から無党派で出馬を予定しているケネディ氏は、減っても4%の支持率を有し、民主党支持者や若者に支持者が多く、また、コロナワクチン害悪論を展開していたことから、共和党支持者にも一定食い込んでいる。勝ち目の無い同氏支持者がハリス氏支持にさらに鞍替えする可能性もある。
イーロン・マスク氏は完全にトランプ派に自ら組み込んだ。トランプ陣営へ毎月4500万ドル寄付を表明(7月)、200億円あまりを寄付することになり、個人の寄付としては前代未聞の多さとなる。マスク氏はXとトランプ氏のSNSとを統合させる計画のようだが、トランプ氏が大統領にならない限り、商品価値は偏重しておりその価値には限定される。
政治色を鮮明にしたマスク氏、環境派の多くは民主党支持者であり、EVはすでに多くのメーカーが手掛けており、テスラの売れ行きが悪化している原因にもなっているようだ。
22年11月、マスク氏はツイッター社を買収し、22年11月、旧ツイッターがトランプ氏のアカウントの停止を解禁を解禁していた。23年1月からEV補助金、8月には販売伸び率が大幅に減少、今年に入り、テスラ車は、米国でも中国でも販売台数が大幅なマイナスとなっている。
こうした悪材料に今年2月には株価は170ドル台まで落ちていたが、好材料が無いにもかかわらず、7月10日には263ドルまで再び上昇していた。しかし、今回の狂乱相場で190ドルまで下げている。
NY証券市場や仮想通貨市場は円キャリーバブルが生じており、今回、弾けそうだったものの、伏兵の日銀副総裁の一言で円キャリー安泰論が急浮上し、急速に回復に向かっている。ただ、日銀の金利高は今後も続き(目標は1%)、一方の米金利は下がり、両国の金利差は縮小し続け、その過程で一山も二山もありそうだ。
すでに多くのことが棚に上げられているトランプ政策、ただ、トランプリスクも大統領にならなければ生じない。